国産エンジン史スポーツカー編・【GT-R】全てを変えた怪物RB26DETT

国産エンジン史スポーツカー編その17は、90年代ハイパワーエンジン群の代表格、RB26DETTの登場です。


L型後継のRBエンジンは、主力のはずでは無かった?

現在に至るまでRB26DETTを筆頭に「日産の名機」と讃えられるRB系の直列6気筒エンジン。
実は、当時の日産にとって「主力の本命」では無かった事は、あまり知られていません。
当時の日産は将来を見越し、コンパクトなV型6気筒エンジンへのシフトを決めており、その主力となるエンジンはV6のVG系エンジンでした。
Z31フェアレディやF31レパードに搭載され、その当初から3リッター大排気量ターボがラインナップされるなど、トヨタの7M-GTなど直6エンジンに対して、日産はV6エンジンで迎撃する構えだったのです。
しかし、それまで長らく2リッター以上の日産車を支えてきた直列6気筒L型エンジン搭載車を、いきなり全てV6エンジンに切り替える事はできません。
そのため、極力L型の生産ラインを生かしつつ、VGとシリンダー内径などは同一にして共通性を高め、低コストで過渡期のエンジンとして作られたのが、次世代直6エンジン、RB系でした。

その当初、「重くて回らない」と酷評されたRBエンジン

あくまで過渡期のエンジンとして作られたRBは、まずC32ローレル用として、さらにR31スカイライン用として搭載されましたが、DOHCターボのRB20DETも含め、その評価は芳しいものではありませんでした。
L型の生産ラインを流用したため鉄製の重いエンジンとなり、オールアルミ製のVGのように軽量コンパクト、ハイパワーエンジンでは無かったのです。
その上、スカイラインにも搭載されていたとはいえ、基本的には高級グレード用のジェントルなエンジンに留まっていた事から、スポーティに吹け上がる事は無く、「RBは重くて回らない」と酷評されたのでした。
それでもVG自体も未成熟だった事や直6エンジンのフィーリングを好むユーザーもいた事から、VG搭載車のZ31フェアレディZにも、保守系ユーザー向けにあえてRB20DET搭載グレードを設定。
R31スカイラインにも、グループAレース用にパフォーマンスを向上させたRB20DET-Rを搭載したスカイラインGTS-Rを設定するなど、地味に熟成が続けられたのです。

もうひとつのRBエンジン、RB26DETT

一方、レース用には「もうひとつのRBエンジン」が準備されていました。
旧態依然で重量ハンディはあるものの、L型での実績から強度面・耐久性では申し分の無いRBをベースにさらに補強を加え、6連スロットルを導入するなど、型式こそRBを名乗るものの、実質的には別物のエンジン、RB26DETTです。
RB20DET-R同様にグループAレース用に開発されましたが、レース参戦時のチューニングエンジン出力目標を600馬力に定め、搭載されるマシンには新開発の電子制御スプリット式4WD、アテーサE-TSを導入。
かつて無敵を誇ったスカイラインGT-Rの再来にふさわしいマシンのため重量やパワーに見合ったタイヤサイズなども考え抜かれた結果、レースでのターボ係数(当時のグループAだと、ターボ車は排気量1.7倍で換算された)を掛けて4.5リッター以内に収まるよう、2.6リッターエンジンとされました。

無敵のRBエンジン、BNR32スカイラインGT-R

1989年にデビューした2.6リッター直6ツインターボエンジン「RB26DETT」は、搭載されたBNR32スカイラインGT-RのアテーサE-TSによる電子制御サポート、そしてベースのR32スカイラインGTが本来持っていたポテンシャルの高さにより、一躍無敵の存在となります。
確かに基本的には旧式エンジンなので重量過大、それに加えてツインターボ化や、パワーに見合った冷却系の導入で、搭載したマシンはスカイラインGT-Rに限らずひどいフロントヘビー傾向を示しました。
しかし、それを補って余りあるアテーサE-TSの制御やタイヤ技術の進化もあって、スカイラインGT-Rはその図体に似合わぬ軽快なコーナリングマシンとして、それ以外にRB26DETTへ換装された車種でも、ドラッグレースやドリフトなどで現在に至るまで活躍する事になります。
そのデビュー直後、レースでは連戦連勝、公道でもそれまでのチューニングカーをブーストアップ程度のチューンで置き去りにするなど、圧倒的なパフォーマンスで日本車のベンチマークを一気に引き上げる原動力となったのが、RB26DETTだったのです。
それはまさに、旧時代の国産スポーツカー用エンジンに終わりを告げた、「怪物」でした。

次回はZ32フェアレディZ用エンジン

次回はそのRB26DETTの対極にあった、本来の日産新世代エンジン。
「怪物にはなれなかった」ものの、しばらく続いた280馬力自主規制のきっかけとなったZ32フェアレディZ用エンジン、VG30DETTをご紹介します。

Ancar | Ancar(アンカー) - 中古車の個人間売買
Ancar | Ancar(アンカー) – 中古車の個人間売買www.ancar.jp

 

【おまかせ出品体験談】

K様 ディーラーより「90万円」高い額で売却に成功!



K様のコメント
 
「愛車のボクスターがディーラーより90万円も高く売れて満足しています。」

「改めて走りに行く用のクルマを買いたいと考えているので、買い替えの際はまたAncarにお願いしたいと思っています!」
CTA画像
クルマが買取店やディーラーより高く売れる『おまかせ出品』

無料でカンタン査定!まずはあなたのクルマを査定してみよう!


〜今までよりもクルマを安く購入できる新しい方法〜


中古車販売店より安く購入できる 『Ancar』

『Ancar』で、びっくりするくらいクルマが安く購入できるかも!?