国内で開催される自動車レースで、トップクラスの人気を持つのがスーパーGTです。2004年まで開催されていた全日本GT選手権を引き継ぐ形でスタートし、GT500クラスとGT300クラスで争われています。これらのクラス名称は、発足当初の最高出力がそれぞれ500PSと300PSだったことから付与されたものです。
レースごとに数万人の観客を集めることでも知られるスーパーGT。その魅力をご紹介します。
魅力1:異なるレギュレーションのレースカーが混走
スーパーGTの最大の特徴は、GT500クラスとGT300クラスという、別々のレギュレーションに基づき製作された性能の異なるレースカーが、同じコースを混走する点にあります。
これにより、GT500クラスのレース車が、速度の遅いGT300クラスのレース車を回避して追い抜くといった巧みなレース運びが必要となりますし、場合によってはコーナーでGT300クラスのレース車がGT500クラスのレース車を追い抜くといった展開も起こります。
実際、同一クラスのレース車両だけで開催される通常のレースでは見られないような、クラスの差を超えたデッドヒートが各所で繰り広げられ、観客を魅了しています。
また、一般的なレースでは、豊富な資金力や技術開発力を持つチームが独走でぶっちぎる展開もよく見受けられますが、スーパーGTでは、シリーズ成績によってウェイトハンデ(重りを積んで加速性能やブレーキ性能を低下させる)を課すなどの措置により、上位チームと下位チームの差を軽減させるレギュレーションを導入しています。
魅力2:エンターテインメントを重視
スーパーGTで使用されるレースカーには、GT500クラスはレクサス、ホンダ、日産の市販車ベースの改造車が使われています。ボディは市販車のシルエットを残しつつ、カーボン素材のカウルを装着することで空力特性を大幅に向上させています。
一方、GT300クラスは、いくつかのカテゴリーに細分化されており、トヨタ、日産、ホンダなどの国産車や、ランボルギーニ、ポルシェ、シボレー、アウディなどの輸入車が多数参戦。バラエティに富んだ市販車ベースの改造車が、フォーミュラカーとは違った親近感をもたらしています。
とりわけ、プリウスやCR-Zといったハイブリッドカーや、大衆車のカローラアクシオをベースとするレース車も参戦して、国内外の名だたるスポーツカーと混走したり、アニメキャラクターを描いた、いわゆる痛車が力走したりといったカオスぶりも、スーパーGTの魅力のひとつとなっています。
加えて、レースを通じて、将来の自動車ファンを増やすことを狙い、小児や学生、ファミリー層の誘致にも積極的に取り組んでいます。たとえば、ピットウォークでは選手やレースクイーンと交流できたり、パドックを見学できたり、コースをバスで巡る見学会が開かれたり、さらにはレース車に同乗し迫力ある走りを体験できたりといった、さまざまな取り組みを実施し、ファン層の拡大を図っています。このように、大人から子供まで楽しめるエンターテインメント性も、スーパーGTの大きな魅力です。
まだ観戦に行ったことのない人は、ぜひ気軽にサーキットに足を運んでみてはいかがでしょうか。