ポルシェ パナメーラV6について
概要
今回はAncarに掲載中の中古車 ポルシェ・パナメーラV6を紹介していきます。
皆さんは「カレラ・パナメリカーナ・メヒコ」というレースをご存知でしょうか?1950年代前半にメキシコで行われた、世界一ワイルドで過酷な幻の公道レースです。毎年ドライバーの死亡事故が多発したため、たった5年間のみ開催されました。パナメーラの由来は911「カレラ」と同様にこのレースからインスピレーションを受けたとされています。
ポルシェ初のフル4シーターの4ドアセダンで、一流のスポーツカーでありながら高級サルーンの快適さを兼ねるモデルとして誕生しました。日本では、2009年11月20日から23日に開催された「名古屋モーターショー」(第16回)にて、一般向けとしては初めてのお披露目となりました。2016年にモデルチェンジされ2代目も発売されておりますが、今回ご紹介の車両は1代目になります。新車価格は1000万円以上。
外装
パナメーラをセダンと呼ぶのはちょっと無理じゃないか? と思う人も多いでしょう。何故その様なデザインになったかというと恐らく、ポルシェがメルセデスやBMWに対抗して高級サルーンの車を出したいけれど、ポルシェらしさも出したい、4ドアでもパッと見でポルシェだと認識してもらえるものを作りたいという思いで出来た為でしょう。
「パッと見でポルシェに見える」これはエンブレムが付いていればいいだけの話ではありません。たとえポルシェのエンブレムを付けていたとしても、それがごく普通の3ボックスセダンだったら、長い歴史と伝統をもつメルセデスのSクラスやBMW7シリーズに勝つことは難しい。しかし、見た目と内容でポルシェらしさを色濃く打ち出すことができれば話は別。パナメーラに興味をもち、購入を検討している人にとっては、セダンのセオリーを忠実に守っていることよりも、“ポルシェに見えること”のほうがずっと強い説得材料になるはずだと思いこの様なエクステリアデザインにたどり着いたのでしょう。
事実、パナメーラのルックスはライバルとは明らかに違うと思います。顔つき、そして何よりファストバックスタイルが、ポルシェ一族であることを高らかにアピールしています。フォーマル感はライバルに及ばないものの、そもそもパナメーラは運転手付きで後席に乗る人をターゲットにしたクルマではないので自らステアリングを握り運転を楽しみたいし人や荷物も乗せたい。そんな考えを持っている人たちに、911を連想させる様なパナメーラのフォルムは強くアピールします。
今回ご紹介のパナメーラはテックアートの21インチホイールにカスタムしてあり、大きな割に色がブラックの為、あまり派手過ぎず足元が締まる印象でとてもクールです。またマフラーも純正オプション品の4本出しになっておりキマっています!
ガラスコーティングを施せれている為ボディーの塗装の状態は艶がありとても綺麗です。
内装
スイッチの羅列やウッドパネルはスポーティーさを感じられず、ポルシェとしてどうなのよ? と思いますが、高い位置で傾斜したセンターコンソールのデザインおかげで、スポーツカー的な囲まれ感、コックピット感が得られると思います。
オートエアコンは前席後席共に左右独立調節が可能で、助手席のスライドやリクライニングまで遠隔操作できるなど、運転手が運転するような高級車を意識したような装備もありますが、パッケージングに関しては前席優先で運転する楽しさを追求したというメッセージが伝わってきます。
後部座席に関してですが、足元の広さを確保する為2人掛けのシートが通常のセダンより後方に置かれていて広いです。左右のシートの間隔は、ホイールハウスを避けている為、前席よりは狭いです。
座席の中央には高めのセンターコンソールがあり、左右を仕切っています。後席にも前席に似たハイバックのセパレートタイプを採用したことで、「ポルシェらしい」という褒め言葉をもらったパナメーラのシートですが、実は構造上の必然でもあったのですね。
荷室は奥行きがあるけれど、フロアは高いです。トランク式のセダンだったら不満が寄せられたでしょう。しかしハッチバックなので、マイナスな印象は受けません。 しかも、彫りの深い後席は、背もたれを倒せばきちんとフラットになり、とても便利です。
スペック
エンジン・燃料系
最高出力 300ps(220kW)/6200rpm
最大トルク 40.8kg・m(400N・m)/3750rpm
種類 V型6気筒
総排気量 3604cc
圧縮比 12.5
過給機 なし
燃料供給装置 ダイレクト・フューエル・インジェクション(DFI)
燃料タンク容量 80リットル
使用燃料 無鉛プレミアムガソリン
足回り系
ステアリング形式 パワーアシスト付きラック&ピニオン
サスペンション形式(前) アルミダブルウィッシュボーンサスペンション
サスペンション形式(後) アルミマルチリンクサスペンション
ブレーキ形式(前) ベンチレーテッドディスク
ブレーキ形式(後) ベンチレーテッドディスク
タイヤサイズ(前) 245/50ZR 18
タイヤサイズ(後) 275/45ZR 18
駆動系
駆動方式 FR
トランスミッション 7AT
300psを発生するV6は、カイエンのV6(フォルクスワーゲンと共同開発)とは別物で、簡単に言えばパナメーラSのV8の2気筒を削り取ったもの。400Nmの最大トルクを3750rpmで発生するこのエンジンは、下から分厚いトルクを発生しつつ、回せばポルシェらしい最高のエンターテインメント性を発揮する。回転フィール、加速フィールともに粗さはなく、きわめて高度な洗練性を備えたエンジンです。
ポルシェ パナメーラ V6の走り
当然ながらV8やターボと比べれば絶対的な動力性能は落ちますが、V8やターボモデルの重厚な動きとは全く異なる軽さを感じます。アクセルを強く踏めば、気持ち良いエンジン音と共に自然吸気エンジン特有のアクセルペダルとリンクしたようにスピードを上げていきます。PDKはどんな状況下でも自動的に適切なギヤを選択してくれるので、マニュアル操作の必要性を感じさせません。
乗り心地は4シーターとしても良く、軽くステアリングに手を添えるだけでビタッと路面に張り付くように直進する。コーナーに進入すると最小限のハンドル操作で長いボンネットがスーとインに向かい、アンダーステアとは無縁の操縦性です。
V6はパナメーラの中では文句なく一番コーナーを楽しめるでしょう。ブレーキは廉価モデルと言ってもフロント:6ピストン、リヤ:4ピストンで他のモデルと同様であり(オプションでPCCBも用意)、車両重量の軽さにより制動力も優れています。
もともとパナメーラは、極上の乗り心地をもつ一方で、ワインディングロードでペースを上げれば上げるほど、小さく軽いクルマを操っているような感覚が強まるという不思議な特性をもっています。そこがライバル車たちとの決定的な違いなのですが、フロントが軽いV6ではさらにそんなイメージが強まり、まるでボクスターかケイマンに乗っているかのような気分になるくらいです。また、ゴキゲンなサウンドなど、計算され尽くした刺激性がドライバーのツボを憎らしいほど的確に捉えるあたりはまさにポルシェマジックです。
まとめ
パナメーラは「ポルシェの形をした高級セダン」ではありません。実際にステアリングを握って走ってみれば「高級セダンの要素を惜しみなく注ぎ込んだポルシェ」であることがはっきりと体感できるに違いないでしょう。
ぜひこの機会にいかがでしょうか。