季節外れの夏のような暑さで開催されたカーイベント「モーターファンフェスタ2018」。自動車系雑誌を多く発行している「三栄書房株式会社」が富士スピードウェイで開催したイベントです。
今回のイベントプログラムの中で、BMWのモータースポーツ活動の歴史で必ず話題に上がるレーシングカー「BMW M1 ProCar」、「BMW 3.0 CSL」が登場し、富士スピードウェイを走行しました。
BMW初のスーパーカーとして輝かしい歴史を残すはずだったM1
1970年代のハコ車レースの中でもトップカテゴリーの位置づけだった「グループ4」・「グループ5」は同郷のポルシェが送り出した「934」「935」の独壇場でした(935は今回のイベントに出展)。BMWモータースポーツは、ヨーロッパ選手権用に開発された3.4L 直列6気筒エンジンとカロッツェリア名門・イタルデザインとランボルギーニの協力を得て「BMW M1」を開発しました。
しかしながら、ランボルギーニの経営不振や生産工程の複雑さから当初の目標であった「グループ4」参戦をあきらめ、F1の前座レースとしてワンメイクレース「プロカー・レース」のマシンとして表舞台に登場しました。その後、特例としてグループ4参戦が認可されましたが、直後に「グループC」規定の登場によりわずか1年足らずの参戦となってしまいました。
「モーターファンフェスタ2018」に出展された車体は、製作されてから1度もレースに参加していない「奇跡」の個体です。東京都千代田区にある高級自動車ディーラー「ビンゴスポーツ」が保管しています。「要相談」ですが、販売可能とのことです。
BMW初のCSL。「3.0 CSL」
1970年代のツーリングカー選手権でポルシェと激闘を繰り広げていたBMW。
元々航空機の技術だったターボチャージャーを搭載した「2002 ターボ」で成績を残し、次なる手として伝統の6気筒エンジンを搭載したクーペモデル「2500/2800」をベースにしたレーシングカー開発に取り掛かりました。2002に比べると大柄な車体。当然重量も大きく増加してしまいます。
そこでレース認可モデル(ホモロゲーション)として左右のドアをアルミ製に、リアウィンドウをアクリル製にし、パワーウィンドウモーターを取り外し、ベースとなった「3.0CS」から驚異の200kg減の1200kgを達成した「3.0 CSL」を発売しました。
「CSL」とは、Coupe(クーペ)、Sport(スポーツ)、Lightweight(軽量)を意味します。
これをベースに製作されたレーシングカーは1972年のスパ・フランコルシャン24時間耐久レースでの優勝をはじめ、1973年ではヨーロッパのツーリングカー選手権のタイトルを獲得し、1970年代いっぱいまでトップクラスマシンとして活躍していました。
出展車両は、1973年に製造された個体で「ビンゴスポーツ」大阪店にて販売中です。ヒストリーの詳細は不明ですが、完璧なレストア(元々のコンディションも極上であったはず)をし、45年が経過した現在でも官能的な直列6気筒サウンドをサーキットに響き渡らせます。