F1(えふわん)
Formula1(フォーミュラ・ワン)の略…といっても、さすがにこの記事を見るような人でF1を知らない人はいないでしょう。
レース専用のフォーミュラカーと呼ばれるマシンで戦われるレースでは、そのサーキットにおけるトータル性能で「世界最高」のマシンによって戦われるもの。
単純にどれだけ最高速が出るか、という話であれば、アメリカのインディカーやフランスのル・マン24時間耐久レースに出るマシンの方が速いこともあるでしょう。
ただし、それが直線ばかりではなく連続するコーナー(カーブ)もクリアし、「どれだけ速く一周してくるか」という意味では、現在においても「F1マシンに敵うものは無い」、そう言われています。
もっとも、英雄アイルトン・セナも含めた複数の死亡事故が立て続けに起きた20年少し前から「速いだけでなく、より安全に速く」という方向性に移ってきました。
それに対して批判的な意見もありますが、世界最高峰レースで培われたドライバーの安全を守る技術が、より下のカテゴリーの安全性にも生きるのであれば、大いに意義があるはずです。
そう、F1の下には国や地域によって名称は異なりますが、様々なフォーミュラマシンによるレースがあり、日本では上からスーパーフォーミュラ、F3、F4、FJなど。
基本的には下から上にステップアップしていきますが、いわゆる「飛び級」もあるので、若くしてF1レーサーになる人もいれば、日本人で言うとタキ井上のように年を取って営業力を身に着けてからF1ドライバーになる人もいます。
レースはお金がかかるので、単に速いだけではなく、いろいろな努力の結晶なんですね。
F1タービン(えふわんたーびん)
上記F1と関係がちょっとだけあり、1980年代のF1がターボエンジン全盛だった頃に開発された、当時としては最新技術だった、軸受けにボールベアリングを使った大型ターボチャージャー、IHI RX-6タービンのこと。
90年代に描かれた漫画なんかでも最上級のチューニングパーツとして登場することがあります。
何しろF1用に開発されたタービンがベースなので、レスポンスやブーストの伸びが良いだけではなく、耐久性にも優れていたので、ハイパワーとステージを選ばない扱いやすさを求めるなら高価でもブチ込んだ方がいいという決定版タービンです。
実際にはバブル崩壊で猛烈な不景気の中、そんな超高価パーツを使える人は限られていましたが。
FC / FD(えふしー / えふでぃー)
この記号はそれぞれ単体ならいろいろな略語にも使われていて意味はひとつでは無いんですが、「FCかFDか」などセットで使われた場合、あるいはロータリーエンジンやその搭載車の話をしていた時なら、間違いなくマツダ RX-7のこと。
2代目RX-7の型式がFC3S(ただしオープンカーのRX-7コンバーチブルだけはFC3C)、3代目RX-7がFD3Sなので、縮めて「FC」や「FD」と呼ばれます。
ちなみに初代の型式は「SA22C」なので、「SA」と言ったりしますね。
なお、ホンダ党がFDと言ってる場合は、FD2型3代目シビックタイプRのことを指しているかもしれません。 クルマオタクは会話のテーマによって記号や略称の意味が変わるので、注意しましょう。
FCR(えふしーあーる)
今ではキャブチューン、つまりエンジンへの燃料供給にコンピューター制御で燃料を噴射する電子制御インジェクターではなく、機械的に霧状にした燃料と空気をエンジンに送り込むキャブレターという装置をチューニングする人なんて、あまりいません。
しかし、現在のように車がコンピューター制御の塊になってしまって、専門家でないとなかなか手が付けられなくなったり、あるいはまだエンジンコンピューターのレベルが低くて細かい制御ができなかった時代とそれ以前は、キャブレターチューンも多かったんです。
簡単に言えば、ノーマルよりドバっと燃料を流してエンジンでどんどん燃焼爆発させ、高回転で猛烈なパワーを発揮させるキャブレターを装着するわけなんですが、その中で流行ったのがケイヒン製のFCRキャブレターでした。
元々バイク用なんですが、スロットルレスポンスが非常に良くて、細かいコントロールにも向いていたので車のエンジンにも使われ、AE86(昔のハチロク)のFCRチューンなんてのは90年代までチューニング誌でよく紹介されていたものです。
ただし、キャブレターチューンはコンピューターよりセッティングが面倒で経験を蓄積しないと良いセッティングに辿り着かないため、手軽なコンピューターチューンに駆逐されてしまい、今はほとんど見かけません。
今でもいたら、その人こそキャブチューンに血と汗を流した職人で、貴重な存在ですね。 それくらい、バイクではともかく車ではキャブ職人は絶滅種です。
以上、今回ちょと濃い目の話が多かった気もしますが、次回も「F」です。