返り討ちにあった日本車キラー、クライスラー ネオン
今でもアメリカの大統領が「アメリカでは日本車がたくさん売れているのに、アメ車が日本では売れないのは不公平だ!」と言っておりますが、根本的な原因はアメ車が悪いのではなく、市場調査にに問題があるのではないでしょうか? 実際、アメ車の中でも歴史と伝統を誇り、アメ車らしいルックスをした「ジープ」ブランドの各車は日本市場でも素晴らしい販売台数を誇っています。 FCA(フィアット・クライスラー)の日本法人は、BMWミニが「ミニ」専門ディーラーを立ち上げてそのブランド力をフルに生かしているように、FCAディーラーの一部を「ジープ」専門ディーラーへ改装するプロジェクトを進めていて、今後も販売台数が伸びそうです。 その一方、FCAがまだビッグ3(米3大メーカー)の一角、クライスラーとして独立していた頃には、「日本でも売れるサイズのアメ車なら、日本でも売れるはずだ」と考えて、何車種かが実際に輸入されました。 それが「日本車キラー」として堂々デビューした、GM系のサターンとシボレー キャバリエ(日本ではトヨタ キャバリエとして販売)、それにクライスラー ネオンです。 結果的に、「アメリカらしさが無いなら、日本車でいいですわ」と日本のユーザーから評価を得られずいずれも不人気車で終わってしまいましたが、実際これらにアメ車らしさがあればどうだったでしょうか? 「ジープ」ブランドの好調を見ると、ユーザーが求めていたのは「日本車っぽいアメ車」ではなく、「日本でも魅力的なアメ車」だったのだと思います。
日本に輸入されていれば!2代目ネオンの痛快なモデルSRT-4
1996年6月の発売後日本では泣かず飛ばずだった初代ネオンですが、2000年には2代目の右ハンドル日本仕様が発売されました。 外装は初代よりスタイリッシュで質感も上がったものの、ミッションが相変わらず3速ATのままなど、日本基準ではおよそ2リッタークラスの車とは言えず、しかもセダン不況の時代に4ドアセダンのみだったので、もちろん売れません。 これはアメ車だけではなく日本車でもセダンが売れない時代でしたからネオンの責任では無いのですが、何とも間が悪かったのは事実です。 実際、ネオンをアメ車風ボディに仕立てただけの5ドアハッチバック/2ドアカブリオレ車、クライスラー PTクルーザーは、日本でもヒットしました。 実用性とアメ車らしさを兼ね備えていれば、日本人でもアメ車をちゃんと買うのです。 しかし2代目ネオンが惜しかったのは、いかにも日本人受けしそうなモデルが輸入されなかったことです。 それが、パっと見ではラリーでも活躍した日本の某メーカー車に似ている高性能スポーツセダン、ダッジSRT-4でした。
2.4リッターターボ搭載のコンパクトスポーツセダン、レーシングバージョンもあり!
北米では、クライスラーのスポーティブランドで、ウルトラマッスルカーのバイパーも販売していた「ダッジ」ブランドでもネオンは販売されていました。 そのダッジが日本車に対抗できるコンパクトスポーツを作ろうとチューニングしたのがダッジ SRT-4です。 2004-2005年モデルはFFながらエンジンは最高出力230馬力、最大トルクは図太く34.5kgfをわずか2,400回転から発揮し、0-100km/h加速は5.3秒とFF車としてはまずまず! 最高速度も246km/hを発揮します。 開口部の多くスポーティなフロントマスクや、トランクリッド上の高いリアスポイラーもやる気を感じさせる姿で、しかもACRと呼ばれるレーシングベースモデルや、純正チューンナップキットも用意されており、ステージ3チューンでは実に335馬力までパワーアップ可能。 日本車サイズで、リアから見れば左右2本出しマフラーとリアスポイラー以外はネオンそのものにも関わらず、アクセル一発でバックミラーの車を点にできる実力は、これこそ日本のファンが求める「小さなアメリカンマッスルカー」だったのではないでしょうか? 残念ながらSRT-4が日本に世紀輸入されることはありませんでしたが、「あまり見かけないレアな羊の皮をかぶった狼」が欲しい人は、ダッジ SRT-4を探すか、個人輸入してみるといいかもしれません。
次回は、今回もちょっとだけ触れたPTクルーザーと同じ、「小さくともアメ車らしい車」プリムス プロウラーをご紹介します。
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