初めて聞いた?!世界のマイナースーパーカー「チゼータ モロダーV16T」(伊/米)

戦後唯一のV16エンジン?!(しかも横置き)

チゼータ モロダーV16Tはかつてランボルギーニに在籍していたクラウディオ・ザンポーリと、アメリカのミュージシャン、ジョルジオ・モロダーの2人が設立したチゼータ・モロダーURL社唯一の量産車。 「誰も見たことが無いスーパーカーを作ろう!」 と考えた結果、奇想天外すぎて第2次世界大戦後は誰も市販車に積もうと思わなかったV型16気筒エンジン搭載車を考えつきます。 結果、「誰も見たことがない」というより、「メンドクサイので誰も作ろうとしない」スーパーカーが誕生することになり、それが1988年のジュネーブモーターショーで発表され、1991年から販売されたチゼータ モロダーV16Tでした。 6リッターV16エンジンというだけで既に「え?V12じゃないの?V16?」と驚くところですが、それを横置きに搭載しているから、また驚きです。 つまり片バンク8気筒もの長いエンジンを横に置いているわけで、ボルボやランチア車で直6エンジンを横置きする例は確かにあrますが、8気筒となると相当幅広いボディになります。 フロントに積むより左右に余裕ができるミッドシップ配置とはいえ、V16Tが全幅2,060mmと、V12エンジン縦置きのフェラーリやランボルギーニよりほんの少し幅広程度で収めたのは、うまくまとめた方だと言えるでしょう。 あるいは、どのみちその程度の全幅にするならば、横置きにした方がミッドシップ配置の中でもさらにエンジンを重心近くに配置できるという計算があったかもしれません。 ただ、もちろんミッションを直列配置はできないのでそちらは常識的な縦置きとなり、エンジンとミッションがT型配置になることから「V16T」と命名されたようです。

ガンディーニデザインはディアブロのボツ案?

そしてデザインはどこかで見たような…というより、ランボルギーニそのものという形でしたが、それもそのはず、ランボルギーニ ディアブロをデザインしたアレッサンドロ・ガンディーニの作です。 クライスラー傘下だった頃のランボルギーニでガンディーニがディアブロのデザインを起こした案のうち、ボツ案のひとつがチゼータに採用されたと言われています。 ですからV16Tがランボルギーニにソックリだったとしてもそれは当たり前の話で、パクリだの何だのといった話は筋違い。 何しろデザイナーは同一人物ですし。 ただし、ここまで「どこかで見たようなスーパーカー」ですと面白くない人物や企業には困らなかったようで、V16Tはイタリアで生産に入ろうとしたところ、地元部品メーカーから供給を拒否されてしまいます。 しかも、共同創立者だったモロダーがフェラーリとその親会社フィアットからの圧力でチゼータの経営から手を引いてしまうという憂き目にあったのでした。 正確にはチゼータ モロダーV16Tであるにも関わらず、現在車名がチゼータV16Tと伝わっているのはこのためでしょう。

チゼータの倒産と復活?

相次ぐ反発と世界経済の悪化により、V16Tをわずか15台生産しただけでチゼータそのものが倒産してしまい、一度はV16Tは単なるレア車で終わるところでした。 しかしそこは「誰も見たことがないスーパーカー」を作りたかった創業者のザンポーリ氏、「レアすぎて誰も見たことが無いスーパーカー」だけはゴメンだと思ったのか、2003年にアメリカで再起します。 新しくカリフォルニア州で設立されたチゼータUSAでザンポーリ氏は今でもV16Tのオーダーを受け付けていると言われており、ホームページも一応現存。 ただし、2009年に米連邦当局は排ガスや安全基準を満たしていないことを理由に、V16Tを米国内で運転することを禁止してしまいました。 どこまでも多難なV16Tですが、それゆえに「誰も見たことが無いけど、名前だけは知られているスーパーカー」として、現在も唯一のV16エンジンスポーツカーとしてその名を残しています。

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