日本では改造車検の壁が結構高いが、海外では多いエンジンスワップ
単にエンジンルームに収まればいいというものではなく、そのエンジンパワーに対して駆動系などが十分な強度を確保しているかなど、強度計算を行った証明書などの書類が必要になるため、おいそれと改造車検が通らないからです。
そのため、エンジンスワップといっても同じメーカーの同系統のエンジンで、駆動系なども流用されているため強度証明などの申請が容易な場合などが多く、仮に軽トラやコンパクトカーにV8エンジンを載せてしまう、などのチューンをしようとしても、かなりの手間がかかります。
そのため、そうしたエンジンスワップ車ではナンバーを取らずに公道走行を断念してサーキットなどクローズドコースに特化したものが多く、そもそもモータースポーツ自体があまり盛んでは無い日本ではエンジンスワップが盛んになりようも無いのです。
しかし規制のゆるい海外ではエンジンスワップは結構盛んで、日本車も時々とんでも無いエンジンを積んで走っているケースがあります。
スズキ エブリィバンにハイパワーロータリーターボを積むとこうなる
こちら、1982‐1985年まで生産された初代スズキ エブリィバンなんですが、550ccの30馬力も出ない非力なエンジンを何とロータリーターボ、たぶん13Bターボに換装したものです。
しかもパワーに合わせて足回りを強化したり太くてグリップのいいタイヤを装着するといった事も無く、軽1BOXバンの見た目はそのままにいきなりのバーンナウトでもうもうたる白煙!
エンジン音が高まるもののホイルスピンするだけでなかなか進まない…と思いきやいきなり1回転!
さらにタイヤスモークを吹き上げてスピンしまくり、エブリィが見えなくなるほど!
見た目は本当にフロントバンパーにインタークーラーがついた程度で軽1BOXバンのままグルングルンしているのですから、横転するのではと心配になりますが、むしろ華麗なフィギュアスケーターのようなターンを決めまくりです!
日産S14シルビアにアメリカンV8を載せてみた!
アメリカンV8エンジンというのはそのイメージとは裏腹にOHVで全高が低い事などコンパクトな事からありとあらゆるクルマに「とりあえず積んでみよう」という感じで載せられる事が多く、このS14シルビアもそんな1台です。
2リッターターボのシルビアに対し、シボレー コルベット用の6.2リッターV8を積んでいるんですから、とにかくトルクフル!ドリフトも進入スピードが結構速く、激しいタイヤスモークを上げながら踏みっぱなし流しっぱなしでコーナーを駆け抜けていきます。
しかし、アメリカンV8エンジンというと排気干渉でドロドロしたアイドリング音のイメージがありますが、排気系をキッチリ仕上げるとレーシーな音を立てますね。
RX-7も海外では「あえてV8」のケースが多い
マツダ RX-7と言えば言うまでもなく3代に渡ってロータリーエンジン搭載スポーツカーの傑作であり、特に最終型のFD3Sなどロータリーエンジン特有の低いボンネットが特徴です。
日本ならそこで「ロータリーをカリカリにチューンして、究極のロータリースポーツを作る!」という方向性でRE雨宮をはじめ各ショップ頑張るわけですが、実のところロータリーエンジンは今となってはレシプロエンジンと比べて熱効率や冷却系補機類の重量はかさみますし、その割にそれほどパワーを上げる事も、高回転型エンジンにできるわけでも無いので、現在ではロータリーエンジンのメリットはエンジンフィーリングや独特の排気音以外に無くなりかけているのもまた事実です。
そんなわけで北米を中心にFDなどロータリースポーツに、あえてアメリカンV8エンジンをスワップしてしまうチューニングは結構ポピュラーだったりします。
排気量の割にコンパクトなアメリカンV8ならFD3Sの低いボンネットにも収まりますし、パワーもトルクもロータリーのまま出ますし、燃費もロータリーより良いのです。
それでいていわゆるアメリカンマッスルカーより軽量で空力も優れているので、日米混血の素晴らしいマッスルカーができてしまうというわけでした。
というわけでこのFD3Sも6.2リッターV8エンジンを搭載した上にツインターボで武装、1,000馬力オーバーを発揮する化物マシンとなっているんですね。
日本なら「せっかくのロータリーがもったいない!」と言われてしまいそうですが、海外ではわりと「アリ」なんです。
以上、日本では考えにくいエンジンスワップの行われた、海外の日本車でした!