「ロボット刑事」とは?
1973年から石ノ森章太郎の漫画原作と同時進行でTV放映された特撮ヒーローものが「ロボット刑事」です。 言われてみると何となく「キカイダー」などあのへんのメカメカしいキャラクターの漫画版と雰囲気が似ている気がしますが、ロボット刑事のメカはスケルトンタイプでは無いので、特撮版では何となく着ぐるみ感がありますね。 どのみち40代後半以上の読者でなければ「ロボット刑事」をリアルタイムで見た記憶は無いでしょうし、筆者は40代前半ですが再放送でも見た記憶が無く、初の特撮ロボット刑事と言えば「宇宙刑事ギャバン」です。 そう考えると宇宙刑事ギャバンやロボコップのご先祖的と言えないこともないのですが、「ロボット刑事」の主人公は改造人間ではなく、純然たるロボットなのが特徴でしょうか。 警視庁特別科学捜査室所属の犯罪捜査用ロボット「K」が主人公で、犯罪ロボットレンタル組織(何げに斬新な気が)「バドー」と、Kと人間による混合捜査チームが戦うというお話であります。
Kの愛車「ジョーカー」
その「K」にはジョーカーという愛車があるのですが、警視庁の捜査車両にあるまじき派手ぶりです。 むしろあまりにカラーリングが派手すぎて、誰も警察の捜査用車両とは思わないのでは? ウルトラマンシリーズに登場したポインターやマツダ・コスモスポーツも派手でしたが、あれはウルトラ警備隊などにとってリクルート用広報宣伝車も兼ねていると思えばわからないでもありません。 しかし、流線型のフロントノーズに赤白のツートーンカラーボディ、青い矢印で三色トリコロールです。 「K」自体もハンチング帽に赤いブレザー、それでいてネクタイはシックな紺色とそこだけお堅い公務員っぽいので、警察組織としてどうこうという以前に、そのカラーセンスにチグハグ感を感じますが、西部警察などはもっと凶暴なので、硬いことを言ってはいけません。 それよりジョーカーですが、割と斬新なのは後部がステーションワゴン風になっており、様々なメカニズムを搭載した超兵器感があります。 この手の特撮モノだとスタイル重視でセダンかクーペ、あるいはオープンカーにこだわり、スペース効率など細かいことは考えないものですが、1970年代前半でステーションワゴン風というのは画期的ではないでしょうか? 当時はステーションワゴンといえば「ライトバンの5ナンバー版」にほかならず、貧乏臭い雰囲気がありましたから、ステーションワゴンが主役メカというのは斬新かもしれません。
ナイトライダーのご先祖と言われたらどうする?
実際、高度な電子頭脳や飛行機能を搭載しており、その意味では「ナイトライダー」のAI搭載マシン「キット」のご先祖だと言えます…が、そう言われて納得いく人がいるでしょうか? ちなみにベースは「ヨタハチ」ことトヨタ・スポーツ800だそうです。 モノコックボディで高価だったであろうヨタハチよりも、トラック同様シャシーにスポーツカーボディを含む各種ボディを載せたダイハツ コンパーノあたりを使った方が作りやすかったと思うのですが、ヨタハチを使った理由は何だったのでしょう? 仕上がり具合を見ると、上からベタベタとハリボテを貼ったにしては完成度が高すぎる気もします。 本当はコンパーノがベースでは?と思ったところで、似たようなクルマがダイハツにありました。
ジョーカーの先輩?ダイハツ P3
それが1966年の日本グランプリに出走したダイハツP3で、コンパーノをベースにしたレーシングカーです。 前述の通り、コンパーノはフレームの上にボディを載せた古い作りの乗用車でしたから、自由にボディを載せ替えることができました。 ホンダS600などホンダスポーツも同じ作りだったので、ダイハツより先に「カラス」や「マクランサ」などを作っていましたが、ダイハツもエアロダイナミクス(空力)に優れた軽量ボディを載せ、エンジンをDOHCレーシングエンジンに換装したのです。 黄色いボディに鳥のクチバシのようなノーズから、サーキットでは実況アナウンサーに「ピー子ちゃん」と名付けられたP3でしたが、海外同クラス勢を退けてクラス優勝を遂げています。 このP-3のルーフを延長してステーションワゴン風にすると「ジョーカー」にとても似ているのですが、どうでしょうか。 1966年のレーシングカーが流れ流れて1973年の特撮ヒーローもの連続ドラマで使われるとはちょっと考えにくいですが、もし本当にそうだったらと想像するのも面白いかもしれません。
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