パワーこそ正義の時代!1990年代スポーツエンジン総括、インテグラやS2000

80年代に開発されたエンジンが一気に花開いた1990年代

1990年代を通してバージョンアップを重ねて高性能化していったスポーツエンジンは、その多くが1980年代前半から中盤にかけてデビューしたものでした。 トヨタの3S-Gや4A-Gや3S-G、日産のRB系などがそうですね。 その時代のエンジンで面白いところは、基本設計で高いポテンシャルを秘めていたので、チューニングされてレース用エンジンとしてはかなり高いパフォーマンスを誇るものの、一般公道用としてはまだまだ地味な性能だったことです。 たとえば有名なトヨタAE86カローラレビン / スプリンタートレノ用の1.6リッタースポーツDOHCエンジン4A-Gなど、デビュー当時の基準(グロス値)では130馬力でしたが、現在の基準(ネット値)で言えば110馬力程度しかありませんでした。 いかに車重が900kg台と軽かったとはいえ、今なら1.5リッタークラスの実用エンジンでも楽々出せる程度のスペックで、それを高回転までブン回してようやくヒネり出す、そんな時代です。 しかし、同時にコンピューター制御で燃料の噴射量からバルブの開閉タイミング、燃焼効率などが劇的に改善されていった時期でもあり、手を加えれば加えるほど馬力、トルクともにグングン上がって行き、低回転から高回転まで使いやすくなっていきました。

280馬力自主規制は、かえってパワー競争を生んだ

大排気量ハイパワーエンジンでひとつの転機となったのは、1989年から始まった280馬力規制です。 日産やトヨタが相次ぎ300馬力級エンジンを開発する中、交通事故の増加でパワー競争を危惧した運輸省(現在の国土交通省)から日本自動車工業会を通じて、加盟各メーカーが自主的に最高出力をの上限を280馬力と決めました。 そのため日産VG30DETTもトヨタ2JZ-GTEも三菱6G72も北米版は約300馬力ながら、日本国内版のカタログ出力は280馬力に収めらています。 実際には「カタログ出力より劣らなければ、偽っていることにならない」ため、日産RB26DETTのように実際は300馬力級というエンジンもありましたが、それをカタログでうたうことは許されなかったのです。 しかし、それは同時に「パワー競争のゴールが見えた」ということでもあり、それまで280馬力に達していなかったエンジンにとっては、むしろ目標となって、より過激なパワー競争が行われました。 中でも激しかったのは2リッターターボの三菱4G63とスバルEJ20で、小排気量でありながら、1990年代半ばには280馬力に達し、その終わりには最大トルクすらRB26DETTの初期バージョンを超えてしまったのです。 最高出力に制限があるならトルクを増せば良いとばかりパワーウォーズに明け暮れた結果ですが、ゴールが見えない競争よりよほど熱い戦いだったと言えます。

リッター100馬力がNAエンジンのステータス

NA(自然吸気)エンジンも1989年デビューの2代目ホンダ インテグラが搭載したB16Aがリッター100馬力の160馬力を達成。 以後、各メーカーともNAで可変バルブタイミング機構つきのDOHCエンジンを限界までブン回し、リッターあたり出力を競うようになりました。 中でも激しかったのは「テンロク」と呼ばれる1.6リッターエンジンで、ホンダを皮切りに三菱や日産がこのバトルに参戦。 かつてこのクラスはいすゞ4XE1-WTの1.6リッターターボで180馬力が最高でしたが、1997年EK9シビックタイプRに搭載されたホンダB16Bが185馬力でNAながら最強となり、最終的に日産 SR16VE N1仕様が200馬力に達します。 「小排気量の超高回転型エンジンを遠慮なくブン回し、気持ちよく最高出力で突き抜ける」というのが良しとされた時代で、結局1.6リッターの日産SR16VE(最高200馬力)、2リッターのホンダF20C(250馬力)がリッターあたり125馬力で1990年代のトップでした。 ホンダVTECに代表される可変バルブタイミング機構の誕生で、高回転ハイパワーと低回転の実用トルクが両立された結果です。 ただし、F20Cを搭載したホンダS2000が1999年に登場した頃には、そのような高回転で本領を発揮するエンジンはウケなくなり、低~中回転での実用性や扱いやすさが重視される時代が始まっていました。

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コメント:
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