【歴史に残る名車】メルセデスベンツW124ってどんなクルマ?

【ラインナップ、車両概要】

ここからは、W124がどんなクルマなのか具体的にご紹介していきます。まず、W124は大きく分けて1985〜92年式までが前期型、1993年式が中期型、1994〜95年式が後期型となっており、中期型までは「ミディアムクラス」と呼ばれ、後期型は現在と同じ「Eクラス」と呼ばれています。また、セダンが「W124」、ステーションワゴンが「S124」、クーペが「C124」、カブリオレが「A124」と同じ世代のモデルでもボディー形状によりコードネームが異なります。

次に、エンジンはガソリンとディーゼルの2種類の設定があり、ガソリンエンジンは2.2リッターの直列4気筒エンジンから5リッターのV8エンジンまでモデルライフを通して8種類のエンジンがラインナップされ、ディーゼルエンジンは3リッター直列6気筒ターボがラインナップされていました。また、3リッター直列6気筒エンジン搭載モデルには「4MATIC」と呼ばれる四輪駆動モデルも設定されるなど、ボディー形状やエンジンバリエーション、駆動方式などのラインナップの多彩さはW124の人気の理由の一つといえます。

~設定ラインナップ~

◆前期型、中期型

・220E、220TE

・230E、230TE

・260E

・280E

・300E、300TE、300CE、300Dターボ、300E 4MATIC、300TE 4MATIC

・300E-24、300TE-24、300CE-24

・320E、320TE、320CE、320CEカブリオレ

・400E

・500E

◆後期型

・E220

・E280

・E300ターボディーゼル、E300 4MATIC

・E320、E320カブリオレ

・E400

・E500

 

◆S124

◆C124

◆A124

【W124の魅力】

W124は、オーバークオリティともいえる高品質な作りと高い耐久性から、デビューから35年以上が過ぎた今もなお高い評価を受けています。

金庫に例えられるほど重厚なドアや矢のように突き進む直進性、高い車体剛性による優れた安定性や路面に吸い付くようなフラット感ある足回りなど、しっかりとコストをかけ丁寧に作られていることが感じられます。

また、その丁寧な作りから耐久性が非常に高く、走行距離20万、30万キロ程度はまだまだ序の口で、中には100万キロを超えても未だ現役バリバリの車体あるほどです。ドイツではタクシーのベース車両としても重宝され、現在でも現役で活躍している車両もあります。

また、ボディーがしっかりとしているため、走行距離を重ねていてもマウントやブッシュ類をリフレッシュするだけで新車の乗り味がよみがえるともいわれています。

このように高い品質と耐久性から、今でもW124を研究し開発に生かしている自動車メーカーもあるほどです。

【W124の注意点】

ここまでご紹介したように高品質を誇り名車と名高いW124ですが、最終型でも四半世紀を超えるクルマですので、各部の劣化は避けられません。

まず、重さのかかるマウントやブッシュ類、紫外線やエンジンの熱などの影響を受けやすいホースなどのゴム製部品や樹脂部品などは経年劣化により本来の性能を発揮できていない場合がありますので、しっかりとリフレッシュすることが大きな故障の予防につながります。とりわけ、W124はマウントやブッシュ類の劣化が早く、ディーラーでは定期交換部品に指定されているほどですので、交換履歴が確認できない固体の場合は早めにリフレッシュしてあげることが大切です。

また、W124は比較的水温が高くなりやすいクルマのため、夏場の渋滞時などにオーバーヒートするリスクがあります。そのため、より放熱性の高いラジエーターに交換するのも一つの手です。当然それなりに費用はかかりますが、オーバーヒートしてエンジンがダメージを負うことを考えると、あらかじめ対策しておく方が良いでしょう。

そのほかにもW124に限らず年式の古いクルマに共通していえることですが、オイル漏れやオルタネーター、エアコンのコンプレッサーの劣化などにも注意が必要です。

【500Eについて】

W124を語る上で外すことができないのが、500Eの存在です。500Eとは1991年に発売が開始されたW124の高性能グレードで、当時のメルセデスの2ドアクーペである「R129型500SL」に搭載されていた5リッターV8自然吸気エンジンを詰め込んだモデルです。

500Eは、当時生産能力が不足していたメルセデスが経営危機に陥っていたポルシェに開発・生産を委託したモデルで、特に前期型は通称「ポルシェライン」と呼ばれ、現在でも高い人気を誇っています。

500Eの外観上の特徴としては、R129型500SLから移植された5リッターV8自然吸気エンジンを収めるために大幅に拡幅されたフロントフェンダーと低められた車高が挙げられ、これらによりどっしりと迫力あるスタイルとなっています。

また、0-100km/h加速が6.1秒、最高速度250km/h(リミッター作動)という当時4ドアセダンとしては飛びぬけた高性能と、乗員がゆったりと過ごすことができる高級サルーンとしての快適性が両立された非常に完成度の高いモデルといえます。

こうしたことから500Eは名車と名高く、W124の中でも別格の人気を誇ります。

 

◆500Eの特徴である拡幅されたフェンダー

【中古相場について】

W124の中古相場は500Eかそれ以外で大きく分かれており、500E以外のモデルはおおよそ30~250万円程度、500Eはおおよそ250~1000万円超と、価格の幅が非常に広いです。

この理由はそれぞれの車両の程度によるところが大きく、車両価格が安い車両はこれまであまり整備がされていないか、整備歴が不明で車両の程度があまり良くないことが大半です。

いくら高品質・高耐久のW124とはいえ、最終型でも登場から25年以上が経過している車両のため、あまりに安価な車両に手を出すと、購入後にトラブルが多発し多額の修理費用が必要となる可能性が高いといえます。そのため、多少高値でもこれまでの整備歴が明らかで必要なメンテナンスがしっかりとされてきた車両を選ぶか、比較的安めの価格帯の車両を購入し、納車整備と合わせ+50~100万円程度をかけて必要な部分のリフレッシュを行うというのがおすすめの購入方法です。

また、これはW124に限ったことではありませんが、低年式の車両の場合、走行距離が少ないからといって車両の程度が良いとは限りません。走行距離が少ない場合、長期間不動状態だった可能性もあり、各部の動きが悪くなっていたり多くの部品が劣化していたりすることがあります。このため、走行距離よりも整備歴を重視するようにしましょう。また、購入後に信頼してメンテナンスを頼めるショップを見つけることも大切です。

【まとめ】

「最善か無か」を掲げた最後のメルセデスとして、コストを度外視した高品質な作りとそこからくる高い耐久性、現代でも通用する性能の高さによって名車として名高いW124は、一生モノの価値があるクルマといえます。皆さんもこの機会に手に入れてみてはいかがでしょうか?

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