なぜ、メルセデス・ベンツ Gクラスは人気なのか?

メルセデス・ベンツ Gクラス。
通称ゲレンデ、街中でも非常に良く見かける車種の1つだ。
四角い無骨なボディーに丸いヘッドライトが特徴で、車にあまり詳しくない人でも、「あ、ゲレンデ」と、ひと目でわかるデザインと存在感…

今回は、そんな「メルセデス・ベンツ Gクラス」の魅力や人気に迫っていく。

メルセデス・ベンツ Gクラスの歴史


「メルセデス・ベンツ Gクラス」の誕生は、 1972年に当時のダイムラー・ベンツとシュタイア・ダイムラー・プフの協力によって、産業用、官公庁用、軍事用などを想定として開発が始まった車両だ。

そして、NATO軍に正式採用されたこの車両は、ドイツ語でオフローダーを意味する「ゲレンデヴァーゲン」(Geländewagen)という名称だった。

1979年、ゲレンデヴァーゲンを民間用にアレンジさせたものを、メルセデスが販売開始したのが、現在の「メルセデス・ベンツ Gクラス」に繋がるのである。販売が開始された初代W460モデルでは、ショートホイールベースとロングホイールベースの2パターンが存在し、そして、なんと2ドアのコンバーチブルモデルもラインナップされていた。

エンジンは2.3リッター直列4気筒、後に3リッター直列5気筒のディーゼルターボが用意されており、トランスミッションもATMTのどちらも用意されるなど、当初から幅広いラインナップでユーザーニーズに対応していたのだ。

元々は軍用として誕生している背景から、民間用ではないモデル、W461やW462も引き続き生産されていた。

W461では、電圧は24Vに設定されていたり、副変速機の切り替えによって路面状況により2/4輪走行の切り替えが可能であったりと、軍用使用に沿った作りとなっていた。そして、各種防空灯や自動小銃の取り付けが可能となっている。

W462で
は、より限定されたモデルとなっており、ギリシャのトラック・バス・軍用車製造メーカーでのELBOに向けて製造されたモデルだ。

1989年にW460を引き継ぐ形で誕生したのがW463モデルだ。
W463モデルでは、『乗用車』としての性能が大きく高められ、高級感の向上が図られた。W460との大きな違いはフルタイム4WDとなったこと、そして外装はオーバーフェンダーとサイドステップが装着されたりと、基本設計は変わらないものの『乗用車としてのGクラス』がスタートしていったのだ。

冒頭でも記述したが、おそらく皆さんが街中で良く見かける「Gクラス」は、このW463モデルではないだろうか?
W463モデルは1989年から2018年までの29年間の間、様々な改良やグレードを誕生させながらロングセラーとなった。

そして、2018年に”大幅改良”されたNEW Gクラスが誕生した。
骨格となるラダーフレームや内外装のデザイン、その他にも、ほぼ”フルモデルチェンジ”と言っていいほど改良されたのだが、実は、メルセデスベンツはあくまで”商品改良”としているのだ。

商品企画責任者ミヒャエル・ベルンハルト氏は下記のように答えている。
「ひとつは”型式463″を継承することにあった。463を継承することにより、全く新しいモデルではなく、これまでのヘリテージをきちんと踏襲しているということを示したかった」と。

そう、新型Gクラスも型式(コードネーム)はW463のままなのだ。この背景には、「”Gクラス”は新しくなっても”Gクラス”のまま」という意思表示なのかもしれない。

Gクラスって実際に乗るとどうなの?


Gクラスの乗り心地や実用性、乗った感覚的なところは賛否両論あるかと思われる。
正直なところ、同価格帯のSUVに比べて、お世辞にも”快適で乗り心地の良い車”というワケでもない。

近年のNEWモデルでは改善されてきているが、噛み砕いて書くと下記のような声もある。

・ステアリング、アクセル、ブレーキのひとつひとつの操作が重い。
・ハンドルが切れない、小回りが効かない。
・曲がった後は自分でハンドルを戻さないと戻らない。
・高速走行時のふらつき、バタつき感、風切り音。
など良く聞く特徴だ。

だがしかし、そもそもGクラスは快適性やハイスピードでの走行性能を目指して開発された車ではない。
最強のオフロード車として生まれてきたワケで、そこを求めるのであればカイエンなどに乗った方がマシだ。

Gクラスは上記のような走行にまつわる部分意外にも、色々と”独特の特徴”がある。

ドアハンドルは握って引くだけではなく、鍵穴を親指で押して引く、ドアを閉めるときはかなり強く閉めないと、普通の車の感覚で閉めたら高確率で半ドアになる。


着座位置は高く、フロントガラスが立っており、ダッシュボードの奥行きがない、なんとなく、トラックを運転しているかのようなドライビングポジションも特徴である。

しかし、そんな独特な特徴やクセも「Gクラスに乗ってるぞ感」があり、他とは違う”らしさ”があるのでは無いかと思う。

メルセデス・ベンツ Gクラスの魅力


車を選ぶのに、どこを重点に置いているかは人それぞれかと思う。
そんな中でもGクラスは様々な魅力が詰まっている車と言えるだろう。

【デザイン】

Gクラスは誕生当時から長年、大きなデザイン変更がされていない。
無骨な四角いボディーに丸いヘッドライト、フロントのガラスは直角に近いほど立っており、いかにも頑丈そうな”箱感”や、クラシックな雰囲気は唯一無二の雰囲気を醸し出している。

中身や装備、安全性能などは年々、格段に進歩しているにも関わらず、外見は当時から”変わらない”というところも魅力のひとつ。

【走行性能】

元を辿れば軍用車として開発されてきたオフローダー。
オフロードでの走破性はもちろんの事、オンロードでもサスペンションの改良などにより、現行モデルでは、以前の「ふらつき感やバタバタ感」が無くなった。

G63などはアクセルペダルを踏み込む事を躊躇するほどトルクフルなパワーと加速、サウンドが味わえる。
年々性能を向上するパワーユニットや最新の安全性能などもそのひとつ。

【豊富なバリエーション】

約40年間の間、様々な改良がされてきており、年式によってそれぞれ仕様も異なってくる。
そしてその間、多岐にわたるグレードや特別仕様車なども排出されてきた。

日本では人気のグレード、350d(ディーゼルモデル)からハイパワーエンジンのAMG G63、近年では、特別カラーのクレイジーカラーリミテッドや、350dヘリテージエデションなどの限定車、W461(軍用モデル)をベースに販売された本格オフロード仕様のG300CDIプロフェッショナルなどもある。

【ステータス性】

人気が人気を呼び、世界中で多くの著名人やセレブが愛車として使用していることでも知られるようになった。
富裕層などからの需要も増え続け、インテリアは新しいモデルほど豪華さが増していき、G63デジーノエクスクルーシブインテリアパッケージなどでは、シートにも豪華なステッチが施され高級感は抜群だ。

軍用オフローダーから、いつしかステータス性の高い『高級車』というイメージが定着いるのも事実である。

一括りにGクラスと言っても年式やグレードによって内容が様々で、今でも中古車市場では、NEWモデルばかりが人気というワケでは無い。
Gクラスを探している人の中では、「この年式のこの色が良い」など新しいモデルには無い色、あえて古い年式を探されている方や、「この年式のAMG G55が良い」などノンターボのV8を探していたりと、各年代のモデルがそれぞれ人気なのも、他の車にはあまり見かけられない光景かもしれない。

そしてGクラスは自分仕様にカスタムする方が非常に多い車種のひとつでもある。

どの年代の、どのグレードにもファンが居る。
そして、やはり四角いボディーの圧倒的な存在感、ステータス性、どこかクセがあるが、それも含めて「Gクラス」なところが人気のひとつかもしれない。

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