国産スポーツの代表格『RX-7』は、アニメや映画でも主役級を張るほど人気な車。しかし、見かけることは沢山有っても、果たして乗り味はどうなのか気になりますよね。今回は特にスパルタンなグレードと言われる1997年式のTYPE RZに乗った上で、見た目と乗り味の魅力や購入に当たってのチェックポイントまでお伝えしちゃいます!
運転席に乗った瞬間「非日常」
座席に座った瞬間に迫る、ただ操縦することだけを考えたコックピットは圧巻。
ドアトリムからメーター、センターコンソールでドライバーを包むジェット戦闘機をモチーフにしたレイアウトに心が踊ります。また、TYPE RZ標準装備のフルバケットシートがこの運転席に絶妙にマッチ。ガッチリ体を固定された感覚がピュアスポーツに乗る実感とコーナリングの絶対的な安心感に直結しています。
ペダルの配置はかなり特徴的で、クラッチペダルは中央に来るほど右にオフセットされ、アクセルペダルも想定しているよりだいぶ手前にあります。
最初はかなり戸惑いましたが、次第にスポーツカーとしてこのレイアウトは一つの最適解ではないか?と思えるようになりました。運転する上でON-OFFが最も頻繁に繰り返されるペダルはクラッチですから、センターにあるとドライビングのテンポにメリハリがつくのです。手前に置かれたアクセルペダルも低速では確かに使いにくいですが、高速帯で細かなスロットル調整を行い易くなっています。
ラゲッジは運転席&助手席後ろと後部ハッチにあるものの、前者はスーツケースをすら収納困難、後者はかなり底が浅く、あまり期待できません。
両方合わせて2人2泊分の荷物なら頑張って入るかも?というレベル。とはいえ実用性なんてある程度犠牲にされていても、この車に魅了された人は気にしないのではないのでしょうか。パッケージングの全てが「非日常」のためにあるといっても過言ではないでしょう。
「ドライバーを離さない」とはこの事か!
何処までも伸びるエンジン、リズムよく決まるハンドリングは、「力強くも美しい」という表現がピッタリ。
3,000rpmを過ぎると目前にブラックホールが現れ、吸い込まれるように加速し初めます。ターボは効き始めは明確で十分すぎるパワーを絞りだしながら、その過吸の仕方は寸分違わぬ美しい曲線を描くよう。シームレスでスベスベに回るエンジンはまったくフリクションを感じさせず、野太いエギゾーストサウンドだけが後ろから響いてきます。フィーリングに限ればEVに近いかもしれません。
心地よい加速で立ち上がり、続いて少しキツめのコーナーを目の前にしてハンドルを切るとこれまた驚愕。
FR特有の車体全体で持っていくコーナリングフォースは勿論完璧です。それに加え「ステアリングの重み」「サスペンションの反発」「かっちりとしたボディ」が、車を曲げる理想的なポジションへ舵角一発で決まります。そのままコーナーを筋肉質な足回りがガッシリ路面を捉え吸い付くようにクリアしていく。
その感覚が気持ち良くて病みつきになり、何度も何度もコーナーに飛び込んで加速を繰り返す。
次第に速度が上がって、ふとメーターをみて慌てて自分をセーブ…この車は下手すれば免許を失います。要注意。
一体感ある操縦席との相乗効果で、次第にこの車へ取り込まれていくような感触を覚え、やがては車から降りたくなくなる。
『魔性の車』と表現する他ない、キケンな香りに満ちています。この車は少しでも魅了されたら最後、もう一生貴方を離すことはありません。
車を降りるたび、何度でも惚れるフォルム
FD3Sが持つ真のデザイン哲学は、この車の乗り味を知って初めて垣間見ることができます。
最初に外見をレビューをしなかったのは、そういう理由から。運転席周りの空気感や車の挙動がドライバーとリンクした有機的な味わいだと実感した後に、このスタイリングを見てください。なんと艶かしく、それでいて力強い、肉感的な美しさを帯びていることか!
エクステリアのデザインが車の乗り味と驚くほどにリンクしています。
それもそのはず、FD3Sは開発時のテーマを「志 凛 艶 昂」という言葉で表現し、乗り味からデザインまで全てこのテーマをもとに開発を進めるようにしていたからです。そのため、角型のリトラクタブルランプやリアの丸目ランプ等、語り切れないほどあるこの美しさを構成する要素全てが統一感に満ち溢れています。
ボリューミーなシルエットでありながら実は意外とコンパクト。
具体的には4280mmX1760mmX1230mm、全長で言えばトヨタ86と変わりません。街中の取り回しは非常にしやすい部類に入りますね。
買いたい!と、飛び付く前に確認しよう
ここまで読んで、若しくは読むまでもなく欲しくてたまらない方は多いでしょう!
しかし、何も考えず買ってしまう前に必ず考えなければならない現実があります。何せ初期型販売から実に30年以上経過している車。経年劣化という四文字は避けられません。
特にロータリーは圧縮比がポイントだと言われています。
一般的には8.0あれば良いとされていますが、オイルによって大きく変わる(合成油は低め 鉱物油は高めで出る)ため、そこを念頭に置きながらお店と相談しましょう。流石に7.0切るレベルで「大丈夫ですよ!」と言われたらそのお店は怪しいかもしれませんね。
RX-7に限った話では無いですが、旧車は信頼できるお店のバックアップなしに購入・維持することは極めて困難です。
ある程度の知識がなければ状態の悪い個体を摑まされることは十分ありえます。既にオーナーとなっている人や、車種系専門店とよく相談して車を購入することをお勧めします。
さて、最後に夢のようなこの車の最も現実的な話題、「燃費」を暴露しなければなりません。
正直、少しでも踏めば相当悪い結果が出てしまいます。今回はほとんどの箇所を高速で走ったにもかかわらず 5.75km/L!給油の段階で現実に引き戻されました。
最後に
しかし、そういったデメリットを全く気にする必要が無いほどに感動体験ができる車です。皆さんもぜひAnyca(https://anyca.net/car/25391)でレンタルをして、この刺激を味わってみてください。わかりますよ、欲しくなりますって。一度乗ったら二度と忘れないんですから、どうせなら一生この車と付き合っちゃいましょうよ。
今回も動画でこの車のインプレッションをさせていただきました。こちらの方はより生々しい感想を漏らしているので、ぜひ見てくださいね。
※動画内では本車を2000年式のTYPE RZと紹介していますが、正確には1997年式です。大変失礼しました。