よく映画やMVで見ることのあるトラックの荷台に乗って移動するシーン。トラックの上で楽器を演奏していることもあれば、寝っ転がって乗っていることもありますね。よく考えると、今はシートベルトをしていないのが違反と多くの人が常識的に知っている世の中なのに、シートベルトは愚か自分を固定するものが何もない荷台に人が乗るのは法律的に違反ではないのでしょうか。今回はそんなトラックの荷台に関してお話していきます。
荷台に人を載せるのは違反?
では早速、荷台に載せるのは違反なのかについてお話していきます。
基本的には違法
まず最初に結論から申しますと、トラックの荷台に人を載せるのは違法となります。つまり、気軽に荷台の後ろに乗って移動すると言うことは基本的にはできないと考えてもらえれば問題ありません。
よくある違反
よくある違反のケースとしては、地方の農家では頻繁に子供を荷台に乗せて移動するといったケースが挙げられます。こういった違反は道交法でアウトなのはもちろん、安全という面においても子供を荷台に乗せることは非常に危険なのでやめるようにしましょう。
人を乗せてもOKな場合
しかし、基本的には違法ですが人を乗せてもOKな場合もあります。
荷物の見張り
車両の運転者は、当該車両の乗車のために設備された場所以外の場所に乗車させ、又は乗車若しくは積載のために設備された場所以外の場所に積載して車両を運転してはならない。
ただし、もつぱら貨物を運搬する構造の自動車(以下次条及び第五十七条において「貨物自動車」という。)で貨物を積載しているものにあつては、当該貨物を看守するため必要な最小限度の人員をその荷台に乗車させて運転することができる。 ー道路交通法 第55条 第1項
まず、荷物の見張りとして荷台に人を乗せるのは違反ではありません。上記は道路交通法の第55条第1項で示されている積載の方法なのですが、しっかりと貨物自動車では最小限度の人員を乗せて運転できると書いてあります。荷台に荷物を載せていない場合に人が荷台に乗ったら違反となってしまいますが、荷物を載せていてその荷物の見張り役であれば問題ないのです。これは見張り役がおらず、荷物が道路に落ちる方が交通に支障をきたすからでしょう。ただし、乗っている人も積載重量の中には入るのでそこは注意するようにしましょう。
警察に許可を得ている場合
貨物自動車の運転者は、出発地警察署長が道路又は交通の状況により支障がないと認めて人員を限つて許可をしたときは、前条第一項の規定にかかわらず、当該許可に係る人員の範囲内で当該貨物自動車の荷台に乗車させて貨物自動車を運転することができる。 ー道路交通法 第56条 第2項
次に、警察に認可を得ている場合。人を荷台に乗せて走る車の出発点を管轄している警察に許可を取れば、例え荷物を乗せていなくても問題なく走行できます。よくパレードのように大通りをゆっくりと移動するお祭りがありますが、そういったお祭りには、大抵大型トラックの荷台に乗っている演者が踊ったりパフォーマンスをしていますね。そういった行事を行う場合には主催者が地元の警察に許可を得て行っているということです。
自衛隊は許可なく荷台に人が乗っても合法?
では、大きな車の荷台に大人数が横向きに座っているイメージのある自衛隊は大丈夫なのでしょうか。
自衛隊は特例的に合法
第百十四条道路運送車両法(昭和二十六年法律第百八十五号)の規定は、自衛隊の使用する自動車のうち、政令で定めるものについては、適用しない。
2 道路運送車両法の規定が適用されない自衛隊の使用する自動車については、防衛大臣は、保安基準並びに整備及び検査の基準を定めなければならない。 ー自衛隊法 百十四条
自衛隊には自衛隊法という法律があり、そこでは自衛隊の車は道路運送車両法が適用されないと記されています。そのため、構造が一般の車とは違くても防衛大臣が定めた基準を満たしていれば法的に認められますし、ナンバーも取得できます。構造が違うので一般車に適用されている道交法と同じように適用はされません。つまり荷台に人が乗っても違法ではないというわけです。