旅行や里帰りなど遠出する時の天敵と言っても良いのが渋滞。どこへ行くのにしても遠出する時には渋滞の心配が付きまといます。そんな私たちにとってあまり良いイメージのない渋滞ですが、みなさんは渋滞が起こる原因について考えたことはあるでしょうか。いつも気づいたら渋滞が解消されていたということが多いと思います。渋滞の先頭では一体何が起こっているのでしょう。今回はそんな渋滞の仕組みについて、そして渋滞をなくすことはできるのかについてお話していきます。
渋滞は“坂”が原因?
渋滞が起こる原因は何パターンかあると言われていますが、一番その多くを占めているのが坂による渋滞です。なぜ坂があると渋滞になるのでしょう。
坂による渋滞の先頭で起こっていること
坂による渋滞の先頭では一体なにが起こっているのかと言いますと、実は何も起こっていません。運転手は普通に運転しているだけです。ではそれがなぜ渋滞に繋がるのか、それは普通に運転しているからこそ気づかない速度の低下が起きているからです。当然ですが坂では同じアクセルの踏む量でも速度が変わってきます。下り坂なら速度が上がり、上り坂では速度が落ちます。これはもちろん高速道路でも起こっていて、実はこの下りと上りの速度の差がたくさんの車で起こることによって渋滞は生まれているのです。
後に渋滞の先頭となる車たちが走っているとしましょう。それらの車はまず下り坂に差し掛かった時に自然と速度が上がります。そして、下り坂を下り終えた時に次に待っているのは上り坂です。そこで今度は逆に全体の速度が遅くなっていきます。しかし、先頭の車がこの上り坂を登り始まる時に、先頭の車たちの後ろの車は下り坂を下っているので速度は当然速い速度で走行しており、先頭の車と後続の車の車間距離は徐々に狭まっていきます。そうなってしまうと後続の車は速度を落とさざるを得なくなりますね。そこで速度が落ちた後続の車のさらに後ろの車は同じように車間距離が狭まり…。連鎖して渋滞の出来上がりというわけです。
坂以外の原因では?
一番多くの割合を占めている原因が坂ということは先ほどお話した通りです。では坂以外の原因では何があるのかと言いますと、合流やトンネルによる渋滞です。こちらも根本的な仕組みに関しては先ほど説明した坂による渋滞とさほど変わりません。先頭車両の速度が落ち、後続車との車間距離が狭まることで後続車は速度を落とし、さらにその後ろの車も速度を落とし…という風に渋滞します。しかし、速度を落とす理由が変わってくるのです。まず合流による渋滞。おそらくみなさんが想像している通りだと思いますが、合流する時は合流してくる車を前に入れさせるために速度を落としますね。次にトンネル。トンネルに入る時は急に暗くなり視界がしっかりと確保できなくなるので速度を落としましょうと教習所でも教えられますし、実際に多くの人がトンネルに入る時に速度を落とします。とそれによって渋滞が起こってしまうのです。
日本で渋滞が起こりやすいポイントは?
坂が主な原因と言うことは日本で坂が多いところでは自然と渋滞が起こる確率も上がってします。日本で坂が多いポイントはどこになってくるのでしょうか。
東名高速上り 海老名JCT〜横浜町田IC
東名高速上りの海老名JCT〜横浜町田IC区間はもう有名な渋滞区間ですね。実際に平成30年度の国土交通省により作成された、渋滞によって失われる時間をランキング化した渋滞ランキングでは1位となっています。この区間は利用者が多いのもさることながら、坂も多い上にトンネルもあるという渋滞の要素が全て詰まっているようなポイントとなっていて午前中はほぼ毎日のように渋滞が起きています。
中央道上り 調布IC〜高井戸IC
こちらも通勤の時間などは毎日のように渋滞しており、渋滞ランキングでは2位となっています。ここの区間ではまず、坂があることが一つの原因、そしてそれプラス調布のICでの合流の影響で車の速度が低下し渋滞が起こっています。また、調布のICの降りた先の信号の切り替わりの遅さにも渋滞の原因はあるようです。
中央道上り 小仏トンネル付近
こちらはここまで紹介した二つのポイントほど頻繁に渋滞が起こるわけではありませんが一回起こると非常に長くなることで有名となっています。ここはトンネルのある場所自体が上り坂になっておりトンネルに入って速度が下がる+暗くて分からないうちに上り坂で速度が下がることによって大幅に速度が落ち長い渋滞が起きてしまいます。
渋滞をなくすことは可能なのか
渋滞の原因や起こりやすいポイントについてお話してきましたが、根本的な問題として渋滞をなくすことは可能なのでしょうか。
自動運転になっても可能とは限らない
渋滞をなくすための一番の方法は全ての運転者が速度と車間をきっちりと守って運転をすることです。しかし、現実的にその解決方法は厳しいと言わざるを得ません。そこで、まず思い浮かぶのが自動運転です。昨今はとてつもない勢いで自動運転に関しての技術が発展しており高速道路においてハンズフリー運転ができる車も登場してきました。人間ではないコンピューターなら気づかないうちに速度が落ちることも、車間距離が狭まることもないように思えます。しかし、自動運転が普及したとしても完全に渋滞が起こらないとは限りません。
いま日本を走っている車が全て自動運転になったとすると確かに大幅に渋滞の数は減ります。しかし、自動運転が普及してくると何が起こるのかと言うと、ライドシェアや無人タクシーのような車が爆発的に増えます。電車よりも自動運転車を移動手段として使う人も非常に多くなり、ひっきりなしに街中を自動運転車が人を運んでいる状態です。そうなってしまうと全体的な車の数も走っている車の数も今よりも大幅に増えるのでいくらコンピューターと言えども完全に渋滞をなくすことはできなくなってしまうのです。
とはいえ、人よりも渋滞の頻度や長さは確実に減ります。渋滞の時間ロスを少なくするためにもなるべく早く自動運転が普及することを願います。