歴史あるクラッシクカーの祭典〝La Festa Mille Miglia 2015〟が10/16から本日19日までの3日間で開催されました。
イタリアで行われていた伝説的な公道レース〝Mille Miglia〟
もともとは1927年にイタリアで始まったイベントで非常に歴史のある公道を使ったレースです。
イタリアの北部にあるブレシアからスタート。南に進みローマで折り返し、再びブレシアを目指します。
その距離1000マイル…イタリア語で「 ミッレ・ミリア(Mille Miglia) 」を競うことから大会の名前が付けられました。
当時は多くの有名自動車メーカーが参加していて、中にはメーカーの支援を国が行っているところもありました。昔から多くの人が関心を寄せるビックイベントだったのです。
開催の中止
そんな盛り上がりを見せる中【第2次世界大戦】が勃発。
戦争中はやむを得ず、大会は中止されていました。
しかし人々に本当に愛されていたイベントだったため、再開に向けて多くの人が動き、なんと終戦からわずか2年足らずで大会が再開されました。
再開後は戦後の新興メーカーも多数参加し、よりイベントは愛され、盛り上がるようになっていきました。
そんな大盛況を見せていたこの大会ですが、1957年に悲しい惨事が起きてしまいます。
大会中に観客を巻き込む大事故が発生しました。この事故でドライバー2名と観客11名(うち5名は10歳以下の子供)が亡くなってしまいます。
(参照元)
事態を重く見たイタリア政府は、以降の大会中止を主催者に命じ、30年間の歴史ある大会は幕を閉じることになりました。
復活、そして日本へ
20年間の沈黙を経たのち、「当時参戦した実車とその同型車」のみの参加で、レースの方式もタイムトライアル方式に変えられ、公式クラシックカーレース「 ミッレミリア・ストーリカ(Mille Miglia Storica) 」として復活。
現在も情熱的なレースが行われています。
そんな熱いレースが日本に来たのは1992年のことです。
テレビ局がレースをまるごと日本に招き、〝Mille Miglia〟の日本版として始まったのが〝La Festa Mille Miglia〟なのです。もちろん本場同様1000マイルをの距離を競います。
その後、バブル崩壊や震災の影響から大会名や運営が変わるなど、様々なことが起きたましたが2013年には名称も戻され、1997年に今の形に落ち着いてから今年で19回目となる今大会に至ります。
〝La Festa Mille Miglia 2015〟
今回はスタート地点であり、ゴール地点でもある原宿の明治神宮にてスタート前の様子や筆者が気になったクラシックカー数台をご紹介いたします。
当日はあいにくの雨でしたが、多くのレーサーと観客が集まりました。
Bugattiが多く出場しているように見受けました。
エントリーNo.105 1953年式 バンディーニ750スポルト
なんと1955年に本場イタリアで行われていた〝Mille Miglia〟に出場していたマシンそのものです。
いかにも昔のイタリア車という、流れるような美しく、それでいてとても躍動的なボディラインが目を引きます。
現存するのは世界に9台という非常に珍しいスポーツカーであり、「ミッレミリア」の名を冠したイベントに登場するのに、これほどふさわしい車はありません。
エントリーNo.36 1929年式 ブガッティT44
1934年の「ル・マン」に出場するなど数々の戦績を持つ、戦前のツーリングカーがT44です。
ブガッティというメーカーは昔の名門イタリアンスポーツカーメーカーとして非常に有名で、1990年代に復活後はヴェイロンなど超高級スーパーカーを作っています。
そのブランドを支えているのが、戦前に大活躍したこれらのスポーツカーであり、クラシックカー・イベントには欠かせません。
リア部分も今の車とはだいぶ違います。
エントリーNo.138 1968年式 トヨタ2000GT
今回参加した中で一番新しい車ですが、日本の生んだ名車の一台ですから定番中の定番と言えます。
それでもこうしたイベントでも無いとなかなか見られない車です。
マイナーチェンジは1969年8月なので、これは前期型になります。
前期型には純正色が3色しか無く、トヨタ2000GTといえば定番のペガサスホワイトが多い中、この車はソーラーレッドと希少なボディカラーです。
出場するためには
歴史あるイベントですので、当然簡単に参加はできません。
まずクラシックカーの祭典ですので、普通の車ではもちろん出場出来ませんし、クラシックカーであればいいというわけでもありません。
具体的には1919年1月1日~1958年1月1日~1967年12月31日に製造された車輌で、さらにオリジナルであること。つまりレプリカモデルの車両は認められず、「FIVA ID-CARD」もしくは「FIA Historic Regularity Car Pass」が発行されていなければなりません。
この製造期間のなかでもランクが分かれており、古く希少なものほどランクが高くなります。
さらにそこから大会運営側からの審査があるのです。
つまり条件をクリアしていても、参加できない可能性が非常に高いのです。
審査では車輌自体のランク、ある程度社会的に地位、大会出場者からの推薦の有無など様々な点から判断されます。
他にも参加費用600, 000 円(2 名/1 台分)、車輌の情報、写真、保険など様々なものを用意しなければなりません。
出場すること自体、かなり難しいことですが、心底クラシックカーを愛する人であれば、いつかこの名誉あり歴史もあるこのレースに出場することを目指してみてはいかがでしょうか?