スズキが次々とSUVを導入した理由とは?
スズキの作戦と変貌の理由
◆軽自動車では成功した「集中戦略」と「弱者の戦略」
スズキは、日本国内の自動車会社としては、トヨタやホンダのような大きな企業ではありません。
そんなスズキの経営戦略は「集中戦略」と「弱者の戦略」と言われています。
トヨタやホンダそして日産に対抗して、全体に受け入れられるクルマを多く作るのは、企業規模からいっても不可能です。
そこでスズキは大手が参入しない「軽自動車」に一本化し、限られた資源を集中するということで独自性を保ち、見事に軽自動車トップのメーカーとして生き残りました。
これが「集中戦略」です。
「弱者の戦略」の基本としては、トヨタが強者で後は全て弱者という考え方で、著名な理論「ランチェスター理論」にもとずくものと言っていいでしょう。
強者であるトヨタと競合しない限られた地域での市場での販売戦略です。
スズキは軽自動車市場にそれを求め成功しました。
◆ 普通乗用車の販売比率を上げることが生き残る手立て
しかし、軽自動車のシェアが幾ら高くても軽自動車は利益が薄く、企業が生き残るためには登録乗用車の販売に重点を移す必要があります。
そうでなければ独立性を保つことは難しく、ダイハツのようにトヨタの子会社化されるしか生きる道がなくなってしまいます。
しかし手を広げすぎるとリスクも大きくそれだけの企業体力はありません。
だからこその軽自動車に特化した戦略でした。
普通乗用車を拡販するにしても狙いを絞らなくてはいけません。
現在スズキにはコンパクトカーの「スイフト」と「ソリオ」という評価の高い車種がありますが、同じクラスでは意味がありません。
◆ここでも「弱者の戦略」 イグニス登場
そこでやはり「集中戦略」と「弱者戦略」に沿った結論が、より利潤が見込めて人気の高いクロスオーバーSUVの集中した導入です。
まず手っ取り早く欧州生産の「SX4 S-CROSS」と「エスクード」を国内にも導入して、スズキのSUVラインナップを拡げることで注目を集め、そしてライバルのいない1.2Lクラスへ新機種の「イグニス」を発表しました。
最近のスズキのTVCMはこの「イグニス」が大半を占めていることでも、その期待度の高さがうかがえます。
これがスズキの思惑通りに登録乗用車の拡販につながり、鈴木会長の笑顔を引き出せるのか、興味は尽きません。