【ロードキル】車で動物を轢いたときの対処法 | 法律・罰金や保険について

ドライブ中に動物が飛び出してきて驚いた経験はありませんか?道路に突然動物たちが現れることによる事故が跡を絶ちません。車との衝突による動物の事故死のことを「ロードキル」といいます。このロードキルは思いがけず起きるもの。いつ自分の身に降りかかるかわかりません。

「動物が突然飛び出してきたら?」「動物を轢いた…どうしたらいい?」そんなお悩みを解決します。

動物の死亡事故における現状

各高速道路会社によると、全国の高速道路で起こったロードキルの件数は1年間に約5万件だったそうです(2017年)。一方で高速道路の落下物全体では約35万件でしたので、高速道路に落ちている物の14%がロードキルに遭った動物だという計算になります。もっとわかりやすく言うと、高速道路に落ちている物の7つに1つが事故死した動物だということです。こう考えるとすごく多いですよね。一般道も含めるとさらに多いことが予想されます。

ロードキルを防ぐ施策

ところで皆さん、「けもの道」って聞いたことありますか?なんだか怖い名前ですが、まあ要するに「けものが歩く道」です。山にいる動物たちが動き回ることで自然にできた道のことですね。実は、人がつくった「“人工”けもの道」なるものもあるんです。これは高速道路を中心に設置されている設備で、道路の下や上を動物が通行できるものです。

ロードキルが発生するそもそもの原因は、建物や道路の建設によって野生動物の生息地域が分断されることにあります。けもの道をはじめ、動物が道路へ侵入するのを防止する柵の設置など、生息地域の問題を解消するための対策が実施されています。

皆さんに一番馴染み深いのが「警戒標識」。黄色地に黒い枠がついたひし形の標識ですね。野生動物が道路に飛び出す恐れがあることを注意喚起するためのものです。その図柄はタヌキやシカといったよく見るものから、カメやカニ、ウシまで多種多様。各地域特有の動物が描かれていて、見かけたときにはちょっと嬉しくなりますよね。実際にウシが現れたらめちゃくちゃ怖いですけど…。

こうした対策を実施しても交通事故を避けられるまでには至っていません。動物の行動を制限するのって簡単じゃないですからね。

動物との事故を未然に防ぐには?

では、車に乗る私たちはロードキルを起こさないためにどうしたら良いのでしょうか?

速度を落とす

警戒標識があるということは、野生動物の出没が多いということ。警戒標識のある所では、動物の飛び出しを想定して、速度を落とした運転を意識しましょう。

ハイビームを使う

夜間の運転ではハイビーム(上向きライト)を利用して、遠い所にいる動物を見つけましょう。動物の目は強い光を反射するので見つけるのにとても役立ちます。暗い夜間でも夜行性の動物は活発に行動しているので特に気をつけてください。ちなみに、ロードキル一番の被害者はタヌキで、全体の約4割を占めます。その理由の一つが「びっくりすると身体を丸めて動けなくなるから」。車が近くまで来てからでは逃げられないということです。距離に余裕があるうちに発見したいものですね。

動物による危険を常に想定

あらゆる所にたくさんの動物たちが生息しています。ですので、いつ動物の急な飛び出しがあってもおかしくありません。1匹だけでなく群れが続いて飛び出てくる場合もありえます。また、すでに事故死した動物をエサとして求め道路に侵入してくる動物もいます。これはロードキルの2次災害につながります。こうした運転の際の危険予測が動物の、何より自分の身を守ります。

動物が道路に飛び出して来たら?

どれほど警戒していても相手は動物。山間部だけでなく市街地にも潜んでいます。ちゃんと心構えができていても、いつどこから飛び出してくるか予測もつきません。では実際に目の前に動物が現れたときにはどうすべきなのでしょうか?

小動物が出てきたならぶつかるしかない

残酷ですがこれが現実です…。ドライバーとしては小動物であれ何であれ事故は避けたいところ。ですが、ひと思いに(動物思いに)轢くしかないのです。急ハンドルや急ブレーキは後続車や対向車と追突する危険がありますし、車の横転の恐れもあります。心苦しいですが、避けられない状況では無理な操作はせずに自分や周りの安全を守りましょう。

大型動物はぶつかる前に急ブレーキ

ではシカなどの大きな動物にぶつかりそうになったときにはどうしたら良いのでしょうか?ここで急ブレーキにまつわる道路交通法24条を見てみると、「車両等の運転者は、危険を防止するためやむを得ない場合を除き、その車両等を急に停止させ、又はその速度を急激に減ずることとなるような急ブレーキをかけてはならない」とあります。この文章で大切なのが“やむを得ない場合を除き”という部分。シカなどの大型動物と衝突すればひとたまりもありません。車や乗員が大きな怪我をしたり、場合によっては命にかかわります。ですので、大型動物との衝突は「やむを得ない場合」だといえます。急ブレーキを踏み、自分の身を守ることに専念しましょう。

動物をひいたときの対処はどうする?

動物との事故では警察に電話しよう

直前で避けられず動物をひいてしまったときには、まずは警察に電話してください。動物との衝突事故に限らず、警察への電話には抵抗がある人も多いかと思います。ですが、「事故証明書」の発行には警察への連絡が必要です。この事故証明書、自動車保険の適用に欠かせないものなんです。ですので、車の傷の度合いや動物の生死にかかわらず、必ず警察に連絡しましょう。

交通事故による免許証の減点が気になる人もいるかもしれませんが、安心してください。動物との事故は物損事故。警察への連絡が点数に影響することはありません。
警察への連絡の際、乗員の負傷、構造物の破損や他車との衝突があればそのことも伝えましょう。

すでに事故に遭った動物を見つけたときにも、道路管理者(国土交通省、都道府県や市町村など)や保健所に連絡しましょう。そのまま放置していることによる2次災害を防ぐためです。

動物は生きているかどうかで処置が異なる

やむなく轢いてしまった動物にはどう対処したらよいのでしょうか?もちろん見て見ぬふり、放置するなんていうのは間違いです。

動物が生きている場合は、動物病院・保護施設に連れていきましょう。動物病院の中には無償で手当・治療を行うところもあります。事前に無償治療をやっているか調べてから行くことをおすすめします。一方、動物が死亡している場合には交通を妨げないよう路肩に移動させましょう。

また、動物を触る際には素手で触れないようにしてください。感染症の恐れがあるので、軍手やタオルなどを利用して動かしましょう。毛やフンなどを吸い込むことで感染することもあるのでマスクを装着するとより良いです。

高速道路での事故では車から降りて動物を運ぶことができません。そんなときのため、道路緊急ダイヤル(#9910)を覚えておくことをおすすめします。全国どこからでも通話料無料で24時間対応。動物の事故だけでなく、道路の損傷や落下物など道路の異状を取り扱っています。

動物との事故で保険はきく?

動物とぶつかると多くの場合で車は傷つきます。このとき、自動車保険は使えるのでしょうか?

自動車保険の種類によっては補償される

野生動物と衝突したことによる車の破損は、単独事故(自損事故)扱いとなります。この場合、すべての車の所有者が加入している自賠責保険では対象外となります。ですので、車の修理には任意保険の車両保険が使われます。

車両保険には補償範囲が広い「一般型」と補償範囲を絞った「エコノミー型」の2種類があります。一般型であれば問題なく補償を受けられます。しかし、エコノミー型は単独事故の補償が対象外のため、動物事故では補償を受けられない恐れがあります。ただし、鳥などの飛来による接触があったり、窓ガラスのみ破損した場合にはエコノミー型の車両保険でも対応可能なケースもあります。

このように動物との事故による車の破損では、自動車保険によって補償が受けられるか否かが変わります。その動物が野生かペットか、2次的な被害が起きたかどうかなどでも適用される保険が異なります。動物との事故が起きた際には必ず保険会社に事故の詳細を説明して、補償が適用されるかについて確認するようにしましょう。

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