日本初の軽自動車メーカー、日本オートサンダル自動車

恐らく日本初の軽自動車メーカーであろうと言われているのが、今回紹介する日本オートサンダル自動車です。


スバル360以前の暗中模索時代

1945年8月、第2次世界大戦に敗れてから1958年にスバル360が初の本格量産軽自動車として大ヒットする頃までの日本自動車業界というのは、わからない事の方が多いです。

1947年に限定的ながら乗用車の生産再開が許可され、1949年に全面解禁されてから現在まで4輪乗用車を作り続けているのはトヨタと日産くらいなもので、それ以外のメーカーは現存するものも含めて「何をしていたのか今ひとつハッキリしない」時代だったと言えるでしょう。

乗用車やトラックなどでそれですから、1949年に初めて規格が誕生した軽自動車などはもっと不明で、今の目で見るとブリキのオモチャのようなちんまりとしたクルマの不鮮明な画像でも残っていれば御の字、例え不動でも実車が残っていれば歴史的遺産と言うべきです。

日本オートサンダル自動車のFSもかろうじて実車が残っている1台で、1951年に発売開始されたこのFSが、おそらく最初の軽自動車だったのだろうと言われています。

というのも、1949年に誕生した最初の軽自動車規格(4サイクルエンジン車が150cc以下、2サイクルが100cc以下)も、1950年の改訂規格(同300cc以下、200cc以下)も、実車が作られなかったらしいからなのです。

本当はあったのかもしれませんが、いずれにせよ現在まで記録が残っているのはオートサンダル FSが初、という事になります。

元はオート三輪「ヂャイアント号」を作っていた

日本オートサンダル自動車を創設したのは中野 嘉四郎という人物で、元々昭和初期から名古屋で「ナカノ自動車商会」という会社を開き、それが「ヂャイアントモータース」という会社と合併して「ヂャイアントナカノモータース株式会社」になったのが、1931年(昭和6年)。

そこで「ヂャイアント号」というオート三輪を生産・販売して中京地区で好評を得ていた…のですが、どうも名前に見覚えのあるこのオート三輪、前々回に紹介した愛知機械工業が戦後生産していた「ヂャイアント号」そのもののようです。

戦前のヂャイアント号は当初500ccエンジンで、搭載していたのはスイスのMGA製とも、名古屋にあったオートバイメーカー、みづほ自動車製作所のオートバイ「キャブトン」用という説もあります。

1933年(昭和8年)に小型自動車が750cc上限に拡大したのでヂャイアントナカノモータースで650ccと750cc2種類のオリジナルエンジンを開発しました。

しかし、その開発費や生産設備への投資が負担となったものか、ヂャイアント号の製造権を1937年には手放してしまいます。
その製造権が巡り巡って、戦後は愛知機械工業で生産していたわけですね。

ヂャイアントナカノモータースそのものは、1942年の「戦時企業整備令」で多数の民間企業を集めて統合、生産集約するために消滅したようです。

戦後、中野自動車工業を経て日本オートサンダル自動車へ

1948年の「戦時企業整備令廃業者復元令」によってヂャイアントナカノモータース復活のチャンスもあったようですが、その前年には愛知機械工業(当時の名称は愛知起業)がヂャイアント号の生産を再開してしまったので、中野氏はオート三輪生産には戻らなかったようです。

それとは別に中野自動車工業という会社を立ち上げており、1951年に開発したのが初の軽自動車、オートサンダル FSでした。

旧三菱重工系の中日本重工が製造していた350cc汎用エンジンを搭載した、リアミッドシップエンジン配置の車です。

1951年に軽自動車規格が改訂され、4サイクルエンジン車が360ccまで、2サイクルは240ccまでに拡大されたので、これなら実用の見込みが立つと考えて早速作ったのでしょうか。

わずか5馬力のエンジン、駆動力は垂直に押し当てる金属製の円盤2枚の摩擦力で伝達するという、「フリクションドライブ」と呼ばれる原始的な方式で、チェーンドライブですらありませんが、一応無段変速機の一種でもあります。

これで最高速度45km/h、最大積載量200kgで箱根の山も軽々超えるという宣伝文句でしたが、現存するFSの実働動画からは、ちょっと想像がつきません。

その後の消息は今ひとつ不明

1952年には社名を「オートサンダル軽自動車製造株式会社」さらに「日本オートサンダル自動車株式会社」に改称し、12月からオートサンダル FSの販売を開始。

ミッションを手動変速(2速、後に3速)に変更し、エンジン搭載位置も後退させてリアエンジン車となったオートサンダル FNも発売しています。

1954年までにFS、FN合計で200台ほど生産した後の「日本オートサンダル自動車」がどうなったのか、確たる資料はありません。

同一所在地でポピュラーN4という奇妙な軽自動車を1958年頃に作った「名発自動車工業」という会社がオートサンダルの後進とも言われます。

オートサンダルが廃業したと思われる直前、1954年に開発していたFN-Lというモデルが水冷2サイクル2気筒エンジンを搭載したFF車と、排気量を除けばポピュラーN4と似ている部分もあるため、何か関係はありそうな気もします。

この時代に限らず、浮かんではいつの間にか消える零細企業が多かった中で、これだけ消息の手がかりがあるだけ、オートサンダルは研究が進んでいる方なのかもしれませんね。


次回は、キャビンスクーターの名作イセッタからスーパースポーツセダンまで作っていたイタリアの「イソ」をご紹介します。

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