ポルシェ356は1978年に生産が終了したのち、ブラジルやメキシコで生産、最終的には、メキシコ・プエブラ工場でつくられた2152万9464台目が最後のビートルとなった世界のベーシックカーです。
ポルシェ356の歴代モデルからレストア情報についてまとめてみました。
ポルシェ356
ポルシェの名を冠した初の車
ポルシェ356は1948年に登場したロードスター型プロトタイプで、ポルシェの名を冠した初の車という事で「ポルシェNo.1」と呼ばれており、以降356は改良を重ねていきます。
また、356.001とも呼ばれており、ベルリン–ローマラリーに出場するためにポルシェが制作したレースカー「フォルクスワーゲン・ベルリンローマ速度記録車」を参考に作られました。
356.001は1台しか作られておらず、その後作られたリアエンジンの量産版356と違いミッドエンジンとなっています。
現在356.001はポルシェ博物館に展示されています。
試作2号車
356.001の次に登場したのが、356/2と呼ばれる試作2号車です。
ロードスターの356.001とは違い、クーペボディでリアエンジンという現代のポルシェに通ずるものとなっています。
コストダウンのためフォルクスワーゲン・ビートルと同じレイアウトが採用され、室内スペースが大きく向上ししています。
プロトタイプの他に49台ほど生産されました。
最も有名な356A
1949年に356プレAが登場し、大きく改良したモデルが1955年に1956年モデルとして356Aが発売され、新たに曲面のフロントガラスと二重のエンジンカバーが採用されました。
356Aは名探偵コナンの悪役「ジン」の愛車として度々登場するため、車に詳しくない若者の間で知名度が高く、現行ラインナップを知らなくても356Aは知っているという方が多くいます。
・ポルシェ公式サイト
https://www.porsche.com/japan/jp/accessoriesandservice/classic/models/356/356/
ポルシェ356の歴代モデル
356.001
1948年に登場し、1台のみ作られたプロトタイプ。
ポルシェの名を冠した初の車という事で「ポルシェNo.1」、356.001と呼ばれており、ベルリン-ローマラリーに出場するためにポルシェが制作したレースカー「フォルクスワーゲン・ベルリンローマ速度記録車」を参考に作られました。
356.001は1台しか作られておらず、その後作られたリアエンジンの量産版356と違いミッドエンジンとなっています。
現在356.001はポルシェ博物館に展示されています。
試作2号車
356/2
同年に作られたクーペタイプ。
ロードスターの356.001とは違い、クーペボディでリアエンジンという現代のポルシェに通ずるものとなっています。
コストダウンのためフォルクスワーゲン・ビートルと同じレイアウトが採用され、室内スペースが大きく向上ししています。
プロトタイプを入れて50台(推定)生産。アルミニウム製ボディとフラットなバンパー、バーで分割された2ピース・フロントウィンドウが特徴。
356プリA
1949年にシュトゥットガルト本社で作られたドイツ製ポルシェの第1号車。
ボディとフラットなバンパー(1953年モデル以降はボディから分離及びバンパーガード付き)、角型テールライト(1953年モデル以降は丸型テールライト)、フラットな丸型フロントインジケーターライト(1954年モデル以降はホーングリルに一体化)、テールライト下部の丸型リアインジケーターライト(1953年モデル以降はテールライト横に配置)、ライセンスプレートライト及びブレーキライト(1953年モデル以降はテールライト一体型)が特徴。
356A
356プレAの改良モデル。
合成革が標準装備。
このモデルには5種類の4気筒エンジンが用意された【 356 A 1300(最高出力:44PS)、 356 A 1300スーパー(最高出力:60PS)、 356 1600(最高出力:60PS)、 356 A 1600スーパー(最高出力:75PS)、 356 A 1500 GSカレラ(最高出力:100PS)】。
ボディから独立したガード付きバンパー、曲面形状のシングルピース・フロントウインドウ、フロントインジケーターはホーングリルに一体化され、全モデルともポルシェ クレストが嵌め込まれた新しいフロントリッドハンドルを装備。
1957年3月以降は、テールライトが“ティアドロップ型”が採用。
356B
1959年フランクフルトショーで発表。
このモデルのエンジンが生む最高出力は、356 B 1600が60PS、356 B 2000 GS/GT Carrera 2では140PSにおよんだ。
クーペ、カブリオレ、ロードスターの3種類。大型化されたリムガード付のフロントバンパー、高い位置に装備されたヘッドライト、リアバンパー下部中央に設置されたリバースライト、ドーム型ハブキャップが特徴。
356C
356Bのマイナーチェンジ版。
足回りが大きく変更される。
そして、エンジンは3種類となり、最高出力60PSのエンジンは製造が中止されたが、新たに75PSを誇るB 1600スーパーのエンジンを導入。
356 C 2000 GSカレラに搭載された最もパワフルなエンジンは、最高出力130PSを発揮。356Bと外観に大きな違いはありませんが、フラットなハブキャップ付きの改良型ホイール、丸型のドアミラーが特徴。
エンジンについて
ポルシェブランドとしての第1号356こそは、ビートルのエンジンをベースにチューンナップした空冷4気筒エンジンを搭載 。
エンジン以外にもビートルとの共通点が多かった356は、要するに「やたらと頑丈でこっ速いスポーツ版ビートル」以外の何者でも無かったのです。
2名乗車でミッドシップレイアウトだった試作車から、量産車で4名乗車を実現するためリアエンジンになったことでその傾向はさらに強くなっています。
歴代ポルシェ356の中古車価格
356の中古車価格は多くの中古車情報サイトでASKとなっており、2017年8月末時点で判明している価格は、
1959年式クーペタイプ(走行距離不明)の356Aが10,800,000円
1962年式クーペタイプ(走行距離不明)の356Bが7,500,000円
となっており、どれもプレミア価格となっています。
・Goonet中古車一覧
http://www.goo-net.com/usedcar/brand-PORSCHE/car-356/index.html
ポルシェ356のおすすめモデル
ポルシェ356で一番有名なのが356Aです。
合成革シートが標準で、オプションで本革シートが用意されました。
今まではキーを差し込みエンジンスターターボタンを押してエンジンをかけていましたが、356Aからは一体型となりお馴染みのかけ方に変更されています。
356Aはレプリカが多く作られ、世界一作られたレプリカ車としても知られています。
ボディタイプはクーペとカブリオレが存在し、カブリオレは登場時はスピードスター、1958年モデルからコンバーチブルDに変わりました。
356Aの燃費
ポルシェ356Aのグレードは
356A 1300(最高出力:44PS※)、
356A 1300スーパー(最高出力:60PS)、
356A 1600(最高出力:60PS)、
356A 1600スーパー(最高出力:75PS)、
356A 1500 GSカレラ(最高出力:100PS)
が存在しますが、公式燃費記録はどこにも存在していません。
参考として356B(1959年~1962年生産のT5モデル)の
356B 1600(最高出力:60PS)、
356B 2000 GS/GT Carrera 2(最高出力:140PS)
のどちらかの燃費が1Lあたり約8.0km/L~約10.0km/Lと記録されています(356Bオーナーブログより)。
※PSは当時使われていた仏馬力で、現在はHP(英馬力)が一般的に使われています。
356Aの維持費
・年単位でかかる費用
自動車税:39,675円~45,425円※1
車検代:100,000円~1,000,000円※2
・毎月かかる費用
ガソリン代
(1年1万km&カタログ燃費×軽油110円、レギュラー120円、ハイオク130円):130,000円~162,500円
駐車場代:1万円
任意保険代(年齢30歳、免許証ブルー、30歳以上限定、本人限定、車両保険無し、新規で申込、年間走行距離11000km以下)
※1新車新規登録から13年を超えた車に重税される自動車税のグリーン化により34,500円と39,500円に15%プラス。
※2在庫のないパーツを新たに製作することが稀にあるため。
ポルシェ356のオススメのオプション
本物は一味違う
ポルシェ356Aはオプションに本革シート(価格不明、356Aレプリカのオプション価格は約100,000円)が用意されています。
標準は合成革シートですが、やはり本革と比べると滑らかさや香りが違います。
また、座り心地も合成革シートは若干硬さが感じられるのに対し、本革シートは肌に吸い付くような肌ざわりで温もりを感じることができます。
現代では当たり前の装備
ポルシェ356Aには現代では当たり前のエアコンが装備されていません。
オプションでも存在していないので、後付け(356Aレプリカのオプション価格は約200,000円)する必要があります。
二つのエアダクトが助手席前のダッシュボード下部に装着されます。
ただし、エアコンを付けるには廃熱処理をする必要があるため、価格は参考価格です。
付いていたらラッキー
ポルシェ356Aにはサンルーフ(価格不明)が用意されています。
現代のサンルーフはガラスの下にサンシェードがあるタイプが一般的でしたが、356Aのサンルーフは当時では当たり前だったルーフパネルとシェードが一体型のタイプで、中でも天井のフックを掴んでルーフを開けるとルーフパネルごとスライドするVシェイプと呼ばれるサンルーフが付いている356Aは価格が跳ね上がります。
ポルシェ356のまとめ
誰もが手にすることができる車ではない
ポルシェ356Aの中古車は数が少なく、現存する356Aのほとんどはオーナーが大事に乗っており、まず中古市場に出回ることはありません。
中古市場に出回っても状態関係なくほとんどが高値を付けられ、すぐに新たなオーナーの元へと旅立っていきます。
お金があっても簡単に手にすることができない車なので、過去に356Aを取り扱ったことのある中古車業者と繋がりを持つか、マメに中古車情報サイトを確認すると手に入る確率が上がります。
356Aを手に入れることができた方は幸運と言えるでしょう。
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