なぜオープンカーは屋根が無いのに高級なのか?【ソフトトップorハードトップ】

誰もが一度は乗ってみたい、オープンカー。風を切って走る爽快感、まるでスターになったかのような気分になれる非日常感はいつもの屋根付きでは味わえません。

そんな珍しいオープンカーの中でも特徴的なのがやはり“ソフトトップ”。スマートに街を走るソフトトップの姿は目を引きますが、「どうして布なんだろう…?」と疑問に思ったこともあるのではないでしょうか。そして、「屋根が無いのに(布なのに)価格が高いのはなぜなんだろう」とも。

今回は「なぜオープンカーは高価格なのか」を探り、その良さや手入れの方法までソフトトップについて幅広くご紹介します。

オープンカーとソフトトップの始まり

自動車が生まれた黎明期、ほとんどすべての自動車はオープンカーでした。自動車に屋根をつけても車体重量が増えるだけで速度が出ないからです。そのため、当時の馬車では普通だった箱型の客室ではなく、屋根があっても重量の小さい簡単な幌(ほろ・防水用の布)を取り付けるだけでした。この幌がソフトトップの起源というわけです。

なぜオープンカーは高級なのか?

現代の自動車はモノコック構造(外板に必要最小限の加工を施して強度を高める構造)が主流です。モノコック車は開口部分があると強度が低下します。つまり、オープンカーのように屋根が無いと強度が弱い車になってしまうのです。
そのためオープンカーは強度を確保するための工夫が求められます。強度確保のために、通常の屋根付き車両より多くの部品点数が必要となり、開発時間もかかります。その結果、コストも重量も増えるので、高価格となるのです。「なぜ屋根が無いのに高級なのか?」の答えは、「屋根が無いから」だったというわけです。

また、耐候性のあるインテリアや車内への風の巻き込みを防ぐ仕組みなど、ソフトトップ特有の装備が必要となることも高価格になる要因です。

ソフトトップは雨漏りする?メリット・デメリット

自動車黎明期から続くオープンカーですが、現在は自動で開閉するハードトップも多くあります。自動車選びにおいて“安全”というのは欠かせない基準のひとつですよね。布やビニールでできた幌と金属の板、どちらの方が安全そうかと聞かれれば金属の板でしょう。
それでもなおソフトトップが選ばれる理由は何なのでしょうか?

ソフトトップの懸念・デメリット

特徴的なソフトトップですから、それ特有の気になる点も多くあります。まずはハードトップと比較したソフトトップのデメリットを確認しましょう。

耐久性
やはり耐久性はハードトップの方が高いです。ソフトトップの素材は布やビニールですから気温や天候による影響を受けて劣化しやすいのです。また、特徴的な見た目ということもありイタズラの被害に遭うことも多いそうです(車上荒らし、カッターで切り傷をつけられるなど)。

気温の影響
耐久性でも触れましたが、素材だけではなく乗員にも気温の影響があります。夏は暑く、冬は寒いのです。夏は屋根を閉めてエアコンを効かせるより、開けるほうが涼しいとか。一方、冬は暖房が効くので“頭寒足熱”。意外と温かいという声もあります。

雨漏り
雨漏りがあるんじゃないかと不安ですが…劣化や傷がない限りソフトトップから直接雨漏りすることはありません。ただ、車体と屋根との結合部分(ウェザーストリップ、いわゆる“パッキン”など)から水が入ってくることはあるようです。


雨が降ればパラパラと、高速で走行すればバサバサと風を切る音が鳴ります。そのため、あまり質の良いオーディオは設置しないという傾向があると聞きます。

リアウインドウにヒビ
アクリル製、ビニール製のリアウインドウが経年変化によって曇ったりヒビが入ることがよくありました。近年はガラス製のものが増えており、リアウインドウの透明度・耐久性は高くなっているようです。

視界が悪い
ソフトトップ車はクローズ時の後方・側方の視界が圧倒的に悪いです。運転の際には、厳重注意が必要です。もちろん、オープン時は360°全方位の視界が良好です。

ソフトトップのメリット

デメリットばかりではありません。ハードトップと比べてソフトトップが優れていることもあるんです。

軽い
車は軽ければ軽いほど運動性能は上がります。スポーツカーなら運動性能は重視したいところですよね。同グレードの車でもソフトトップはハードトップと比べて80㎏も軽いものも(ロードスターRS)。

安い
ハードトップ車と比べて価格がかなり安いです。ロードスターRSで比べると、車体価格は50万円以上の違いがありました。ただし、ソフトトップ車の幌は消耗品であり、パーツ代だけで少なくとも10万円程度はかかります。長期的に見ればそれほど金額の違いはないかもしれません。

収納が広い
ハードトップはトランク内に収納するタイプが多いので、荷物が多いと屋根を開けられない場合があります。ホンダS660のようにソフトトップの中にはボンネット内に収納することが可能なものもあり、ハードトップよりはトランクの場所を取らないというメリットがあります。

一番の良さは「オープンカーに乗っている!」という感覚

ここまでを振り返るとデメリットが多いように見えます。ですが、ソフトトップ何よりの良さは“オープンカーらしい”ところだと思います。気温や音などは不都合な面もありますが、自然を肌で直接感じられるのはオープンカー、中でもソフトトップならではの良さです。

ソフトトップの色を数種類から選べるというのもオープンカーらしさがあります。ボディの色に合わせてコーディネートする楽しみはハードトップや他の車では味わえません。ハードトップを閉めると、それは単なるクーペになってしまいます。ソフトトップは閉めた状態でもオープンカーであり続けるのです。

ポルシェ・718ボクスターの幌は4種類から選べる。ボディ、内装のカラーバリエーションも非常に豊富。オリジナルの一台が手に入る。

「オープンカーといえばライトウェイトスポーツ」というイメージをお持ちの方も多いかもしれません。既に紹介したように、ハードトップは重量があります。スポーティな軽快さ、機敏に走り回る爽快感が得たいならソフトトップ一択です。

現代の乗用車にはより快適な車がある中でソフトトップが今なおつくられ続けている理由は、オープンカーの雰囲気や情緒が色濃く残りながらも走行性能があるからでした。「運転を楽しむ」という車の原点がそこにはあったんですね。

ソフトトップは洗車できる?手入れの方法

ソフトトップの魅力は充分にお伝えできたかと思いますが、デメリットが多かったのもまた事実です。消耗品であるソフトトップですが、その手入れはどのようにすれば良いのでしょうか。

基本的には手洗いで

まずは柔らかいブラシで砂埃など大まかな汚れを取り除きます。
そして水洗いです。柔らかい布やブラシを使います。水は車体上部からかけ、水圧は強すぎないようにしてください。

油脂類などの目立った汚れがあれば、幌専用のケミカル剤(中性洗剤)を使用して落としましょう。異なった洗剤を使うと、幌が硬化したり、色合いや光沢を失う原因になります。必ず正しい道具を使いましょう。

大切なのは、日頃から手入れをすること。幌に汚れが着いたままで長時間放置しておくと、汚れが落ちにくくなります。

洗車機は利用しちゃダメ?

車を洗いたいときに自動洗車機を使うのは楽ですが、硬いブラシや水圧の強さのせいで傷がつく恐れがあります。できるかぎり自動洗車機の利用は避けたほうがよいでしょう。

一方で、4代目マツダ・ロードスターの開発主査である中山雅さんは「洗車機のワックスコースの利用は、購入後すぐのうちなら幌にコーティングをしてくれる効果がある」と語ります。自動洗車機の利用は自己責任ではありますが、効果は期待できそうですね。

幌を収納するときは

洗い終えた幌を収納するのは、必ず乾燥させてからにしましょう。幌がカビたり縮む原因になります。ですが乾燥させる際には直射日光は避け、車庫などの屋根がある場所に保管します。実は幌が痛む一番の原因が直射日光なんです。そのような場所がない場合は、ボディカバーをかけましょう。

最後に・・・

「なぜオープンカーは高級なのか?」という些細な疑問から始まり、ソフトトップの魅力を紹介してきました。ソフトトップが人気であり続ける理由、また基本的に手入れはこまめに手洗いを行うということからも、「オープンカーに乗っているんだ」という特別感が欲しい人にとっては乗るべき車なのではないでしょうか。

今回は比較対象でしたが、ハードトップには「快適さ」という優れた点があります。“屋根を開けることもできる現代の車”という印象を受けます。電動開閉の先進的なかっこよさは唯一無二です。ハードトップの「カッコイイ快適さ」か、ソフトトップの「伝統ある楽しさ」か―――。悩ましいところです。

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