マツダ以外にもこんなにあった!ロータリーエンジンの歩み

今ではロータリーエンジンはマツダの専売特許のように思われていますが、こんな歴史があったんです。


ロータリーエンジンの歴史

今やロータリーエンジンとはいえばマツダの専売特許のようになり、2015年の東京モーターショーでも次期ロータリーマシン「RX-VISION」が展示されました。
しかし、ロータリーエンジンはかつて「未来の夢のエンジン」という扱いだった事もあり、様々なメーカーが実用化に向けて動いていた時期があります。。
今回はその一部を紹介しましょう。

◆ ヴァンケル博士が発明したロータリーエンジンを搭載した「NSU・ヴァンケル・スパイダー」

NSU・ヴァンケルスパイダー http://fd3styperbathust.blog60.fc2.com/blog-category-13.html

「ロータリーエンジン」と言っても、実は昔の航空機用エンジンを指す事もあります。
大昔、第一次世界大戦の頃までの飛行機のエンジンには、プロペラを回すのではなく、プロペラが取り付けられたエンジンごと回転する「回転式エンジン」が存在し、それを「ロータリーエンジン」と言う場合もありました。
そのためなのか、自動車用ロータリーエンジンは厳密には「ヴァンケル式ロータリーエンジン」と言われます。
ドイツのフェリクス・ヴァンケル博士が1950年代に発明したヴァンケルロータリーは、1964年に「ヴァンケルスパイダー」にシングルローターエンジンが搭載され、NSU(現在はアウディの一部)から発売されます。
NSUはさらにFFセダンの「Ro80」にも2ローターエンジンを搭載しましたが、熟成の上で問題を克服したマツダと異なりエンジントラブルが多発し、NSUの経営が傾いてアウディに吸収される原因となってしまいました。

◆ 新しもの好き、変わりもの好きのシトロエンがリリースした「GSビロトール」

http://nagoyatempaku.citroen-dealer.jp/cgi-bin/WebObjects/13539213b0a.woa/wa/read/cd1_14c366a2e18+0++/

大衆車のサスペンションにエアサスの一種である「ハイドロニューマチック・サスペンション」を採用して、後に油圧が抜けて走行困難になるトラブルが続出させたこともあるシトロエン。
時代を先取りした上に、やや身の丈を越える新技術を投入する癖がかつてのシトロエンにはあったのですが、ロータリーエンジンも興味が湧き、1973年発売のFFコンパクトカー「GSビロトール」に採用しました。
搭載されたのはNSUと提携して開発した2ローターエンジンでしたが、NSUでの欠陥がそのまま受け継がれてトラブルが続出し、販売期間わずか1年半、販売台数もたったの847台で終了しました。
生産中止直後にシトロエンを傘下に収めたプジョーの意向で販売されたGSビロトールのほとんどが回収され、スクラップにされて終わるという黒歴史になりました。

◆ 幻に終わった日産ロータリー・シルビア

実際にはロータリーエンジンを積まれなかったS10シルビア。人気車種としては初代と、3代目のS110以降で、デートカーとして爆発的ヒットを記録したのは5代目のS13 http://s11silvia.web.fc2.com/photo/081025zama/

日本でヴァンケル式ロータリーの特許を購入したのはマツダだけではなく、数社が購入していました。
日産もその一つで、新型の小型FRスポーツクーペに搭載する軽量ハイパワーエンジンとして、2ローターエンジンを開発しています。
まずはB110サニークーペに搭載して1972年の東京モーターショーに出展し、実用化の際には新型クーペに搭載する予定でしたが、オイルショック で燃費や環境対策第一となり、日産のロータリーエンジンは開発中止されました。
新型クーペは後に二代目のS10シルビアとして世に出ますが、凡庸なデザインに凡庸なエンジンという組み合わせで、ロータリーエンジン無しでは取り立てて魅力のある車では無かったので、歴代シルビアの中でももっとも影の薄い存在となっています。

◆日本で唯一のロータリー・バイク「スズキRE-5」

http://lainoctdennett.blogspot.jp/2010/06/suzuki-re5.html

ロータリーエンジンは自動車だけではなく、産業機械や航空機などにも使用されましたが、軽量ハイパワーという特性がピッタリな二輪車にも当然採用例がありました。
海外ではノートンが実用化に成功し、1990年代まで様々なモデルを量産していましたが、日本で実用化して量販車を販売したのはスズキだけです。
そのスズキの「RE-5」も輸出専用車で、アメリカ向けに2万台の注文を受けていたものの、やはり第一次オイルショックの影響でキャンセルが相次ぎ、最終的には2年間で6000台程度を販売したに留まります。
その頃、ヤンマーも特許を購入してヤマハと共同で二輪車用ロータリーを開発していましたが、世に出る前にオイルショックが到来して、機を逸しました。

◆実はマツダ以外にさまざまなロータリーが今でもある

アウディがコンセプトカー「A1 e-tron」のリア床下に搭載した、EVの航続距離を延長する「レンジクステンダー」用の小型ロータリーエンジン http://www.ieahev.org/by-country/austria-industry/

マツダ以外にもかつては多数のロータリーエンジンが登場する予定でしたが、1973年の第一次オイルショックで、四輪のマツダと二輪のノートン以外はことごとく開発を中止せざるをえませんでした。
旧ソ連でもヴァンケル式ロータリーエンジンを搭載した航空機や高級自動車が多数生産されており、今でも愛好家が存在しますが、実際にどの車がどの程度生産されたかとなると、今に至るまで明らかではありません。
特許を購入せずに無断コピーから独自改良してきたという経緯があるからかもしれません。
いかがでしょうか?
自動車用としては今はマツダのみとなりましたが、ハイブリッドカー用の軽量低振動エンジンとして再び脚光を浴びたり、軽飛行機やモーターグライダー用、船舶用、発電用などの用途ではマツダやノートンのものを含めロータリーエンジンが使われているケースもあります。
通常のピストンエンジンと比べると振動や騒音が少ないだけでなく、水素などガソリン以外の燃料でも駆動するので、燃料電池が本格的に実用化されるまで、ロータリーエンジンの新しい出番は意外とまだまだあるのかもしれません。


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