SUPER GTとは
SUPER GTは日本国内最高峰のカーレースシリーズで、時には1レースで9万人以上もの観客動員数を記録する巨大モータースポーツイベントです。レースを走るのは「GTカー」と呼ばれる市販車ベースのレーシングカーで、日本からはトヨタ、ホンダ、日産、スバルらが参戦し、国外からもアウディ、フェラーリ、メルセデス・ベンツなどといった馴染みある、あるいは憧れのスーパーカーが熾烈な争いを繰り広げています。
SUPER GTの魅力
SUPER GTには世界的に見ても珍しい特徴が様々あり、レベルの高さとエンターテイメント性を両立したモータースポーツの魅力を最大限に味わえるイベントです。例えば「GT500」と「GT300」というスピードの異なる2つのクラスの混走、獲得ポイントに応じた「ウェイトハンデ」の導入、複数タイヤメーカーによる競争(通称「タイヤ戦争」)、1チーム2人のドライバーが交代制で走る「ドライバー交代」と言った様々な制度により、戦い抜くために高い戦略性を要求され、毎戦どこのチームが勝つか最後までわからない魅力があります。
GT300クラスに参戦するAudi Team Hitotsuyama
Ancar Channelでもたびたび取り上げている「Hitotsuyama Racing」は20年以上の歴史を持つ老舗レーシングチームで現在SUPER GTにはGT300クラスに「Audi R8 LMS」車両と共に参戦しています。現在はアウディジャパンやドイツ本国のアウディスポーツからも支援を受けるアウディのセミワークス格のチームでもあり、さらには海外のアウディ系トップチームで数々のシリーズを制覇している「WRT」と提携し、強豪揃いのGT300クラスを戦っています。
モデルチェンジしたAudi R8 LMS
今年の車両はフルモデルチェンジした最新型の「Audi R8 LMS」になっており、戦闘力が大きく向上しています。
「旧型車両はECUがノーマルに近い仕様で水温・湯温が上がるとすぐにエンジンを守るセーフモードが動作してパワーがセーブされてしまっていたが新型では大幅に改善されており、昨年まで苦戦していた夏場のレースも今年は戦えるんじゃないかと思っています。」 (一ツ山亮次 チーム代表)
これまでは日本の気候に車が合わず苦戦を強いられていたAudi Team HitotsuyamaとR8でしたが、アウディスポーツやWRTへのフィードバックにより改善されたとのことで、ようやく本当の勝負ができる体制が整ってきました。
ライバル車両も軒並み新型に
ただし今年モデルチェンジしたのはアウディだけでなく、メルセデス・ベンツ、BMW、フェラーリ、ランボルギーニと言った欧州各メーカーもこぞって新型を投入してきており、激戦が予想されます。
ちなみに一ツ山さんにライバル車両を伺ったところ、やはり同じドイツ車のメルセデス・ベンツとBMWの名が挙がりました。今シーズン、メルセデス・ベンツやBMWの一角にアウディがどう食い込んでいくかも見所となるでしょう。
悲願の優勝を目指して開幕戦に臨むAudi Team Hitotsuyama
年間で8レースが行われシリーズチャンピオンを競うSUPER GTの開幕戦が岡山国際サーキットで開催されました。SUPER GTのレースはコース1周のラップタイムの速さを競う予選と、レースを行って最終的な順位を決める決勝で構成されています。決勝の上位10チームに、順位に応じたポイントが加算され、年間で合計獲得ポイントのもっとも多いチームがシリーズチャンピオンとなります。
「旧型の時には優勝できていないので最低でも1勝して、最終戦までシリーズチャンピオンを争える位置にいるのが目標です」
優勝を目指して臨んだ開幕戦ですが、予選を目前に車両トラブルに見舞われるなど苦しい開幕となりました。
トラブルを乗り越え予選6位
実は予選前に行われた練習走行中にトランスミッションについていたボルトが圧力によって外れ飛んでいってしまうトラブルが発生していました。幸いにもピットに戻ってくる直前の出来事でエンジンが壊れるような事態には陥らずに済んだものの、パーツの予備がないため急きょ近隣の町工場に依頼してボルトを作ってもらう事態になっていました。幸いにもパーツの用意が間に合ったものの、新しい車両にはこうした初期トラブルがつきもので不安が残る中予選が始まりました。
予選の順位で決勝のスターティンググリッドが決まるため、レースを有利に進めるために1つでも上位に行きたいところで、Audi Team Hitotsuyamaは6位となりました。GT300は30台近く出走しているため前方に位置する結果ではありますが、同時にライバルの速さも垣間見える予選となりました。
レース終盤で見せた新型車両の底力
決勝レースでは序盤にライバル車両をオーバーテイクするシーンも見られましたが、履いていたソフトタイヤの磨耗が激しく中盤でジリジリ順位を落とす苦しい展開となり、結果的に予選から1つ順位を下げ7位でのフィニッシュとなりました。
ドライバー交代時に固めのタイヤに履き替えたこともあり終盤でもペースは落ちず、逆にペースの落ちてきたライバル車両を最終盤で追い抜いて順位を取り返すなど新型車両のポテンシャルは伺えましたが、目標達成に至らなかったためチームスタッフの表情は悔しさで滲んでいました。
「悔しいところはありますが、最後の5周くらいで一気に2台を抜く見せ場も作れたし、まずは新型での初戦、昨日までトラブルも起こっていた中で完走してポイントを取れたことは大きかったと思います。次の富士スピードウェイは車の特性上(ストレートが速くないため)得意なサーキットではないですが、苦手なサーキットなりにポイントを重ねられるよう取り組んでいきます。」
昨年まで苦汁を飲まされてきただけに、新型車両への手応えを何としても結果につなげたい強い思いで臨む2016年シーズン、Audi Team Hitotsuyamaの大いなる活躍に期待しましょう!
おまけ
助手席美人第1弾に登場してくれた宮本サキちゃんもレースクイーンとして活躍中です。