国産エンジン史エコカーその13最終回・今後登場するのか・未来の自動車用パワーユニット

ハイブリッド、EV、PHV、FCV、次は?

今から20年ほど前まで、クルマの動力といえばほとんどがガソリンエンジンか、ディーゼルエンジンでした。
特殊用途ではEV(電気自動車)もありましたが、乗用、貨物ともに、公道を走る自動車はガソリン、軽油、タクシー用などにLPG、海外まで含めてもアルコール燃料、そのいずれかを燃料にして燃焼させたエネルギーで走る、内燃機関ばかりだったのです。
それがHV(ハイブリッド車)プリウスの登場でバッテリーとモーターでも発進やパワーアシストができたり、改良を重ねるうちにモーターだけでもある程度走れるようになってきました。
バッテリーが発達して、エンジンだけでなくコンセントから充電するPHV(プラグインハイブリッド車)が登場する頃には、EVの乗用車もi-MiEVやリーフが登場。
かつては「水素でもエンジンは駆動できるが、熱効率が悪いので実用に向かない」とされてきた水素自動車は、燃料電池の実用化に目処がつくと、FCV(燃料電池車)の燃料として注目を浴びるようになり、ついにMIRAIとクラリティ・フューエルセルが発売されています。
内燃機関の発展もめざましく、昔はエコカーの目標とされてきた、「3Lの燃料で100km走る、3Lカー」は、今は現実となり、さらなる高みへ。
一時は将来が危ぶまれたディーゼルエンジンも、今はクリーンディーゼルとしてマツダのSKYACTIVE-Dのように、高性能環境エンジンとして見られています。
1997年にプリウスが発売されてから20年もたたないうちにこれだけ変わったのですから、この先20年で、どんな新しい動力が登場するのでしょう?

EVは効率化がカギ

既に実用化されて久しいEVですが、現状では必ずしも理想的な形とは言えません。
今までのクルマでエンジンがあった場所にモーターを置き、同じようにドライブシャフトで車輪を駆動しているうちは、EVとしての魅力を存分に発揮できないでしょう。
車内のスペースが旧来のクルマと変わらないので、いわば「充電はガソリンや軽油を入れるように早くできないし、走れる距離は短いし不便なだけでいいところと言えばエンジン音や振動が無いだけ。」なんです。
しかも電気代がどれだけ安くとも、EV自体が補助金で差額を多少埋めてもなお高価なので、コスト面でのメリットもありません。
この状態が続く限り、そしてガソリンや軽油が買える限り、EVを積極的に買う理由は無いでしょう。
逆に言えばまだ伸びしろがあるという事で、それは4輪それぞれ、あるいは2輪だけでも良いので、タイヤ1つにつき1つのモーターを持つ、「インホイールモーター」の実用化です。
今のところコストや技術的な問題で量産に至っていませんが、実現すれば今までエンジンやドライブシャフトに占拠されていたスペースが丸々使えるようになるので、一気にEVの価値が高まります。
EVの未来は、インホイールモーター、あるいは類似の新技術の実用化で、車体からモーターや駆動系を追い出せるかどうかにかかっているでしょう。

FCVはまず燃料や水素供給の確定から

既に実用車が販売されているとはいえ、現実にはまだまだ実用化にはほど遠いと言えるのがFCVです。
何しろ水素を直接水素スタンドで入れようとしても、水素スタンドの整備が進みませんし、整備が進んでFCVが増えた時に、水素の供給をどうするのか、という問題が解決できていません。
現状はいわば「勇み足」とも言える実用化をやってしまっているわけですが、問題解決の目処がいつごろつきそうなのか、目標ばかりで具体的な道筋が出てこないのですから、困ったものです。
そのため、FCVの形そのものが未来は変わる可能性がまだあります。
水素を生産、あるいは外部から運び込む水素スタンドから直接水素をクルマに注入するのではなく、水素の原料をクルマにガソリンや同じように「給油」する方法です。
SOFC(固体酸化物型燃料電池)と呼ばれるこの方式は、以前はトヨタも研究していたものの実用化の方法として選ばなかったもので、2016年になって日産が開発を進めている事で話題になりました。
バイオエタノール燃料を「給油」して車内の水素発生装置で燃料電池に水素を送り込むので、インフラ整備は水素スタンドより安くて早いのがメリットです。
他にも、水加ヒドラジンなど他の燃料を使う方法もあり、FCVはまず「どれがFCVの方式として最適なのか」を探す道のりが、今後20年は続くでしょう。

内燃機関の未来はどうなる?

ハイブリッドシステムの有無を問わず、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンを積んだクルマは全て「内燃機関のクルマ」と定義すれば、この先20年程度では無くならないでしょう。
EVやFCVがその理想的な形にあと20年で行き着いたとして、それまで販売された内燃機関のクルマが一通り入れ替わるには、また20年かかります。
つまり今から40年はまだガソリンエンジンやディーゼルエンジンのクルマが走り回るわけで、現在自動車メーカーが開発している内燃機関は、「あるいは最後の20年となる。」事を考えて作られていると思った方がいいでしょう。
マツダのように、「発電で生じるCO2と同等の低排出ガス車を作れば、EVに対抗できる。」という考え方をするメーカーもあるので、まだ技術革新で伸びしろがあるかもしれません。
EVやFCVが決定的な優位を確保する技術革新があれば、内燃機関はもはや航続距離延長用の発電機としてしか使われなくなりますが、そこにあと20年で行き着くかどうか。
個人的には、発電機用エンジンとしてロータリーエンジンが復活したり、あるいは今までと全く異なるエンジンが発電用に最適と登場すると面白いと思います。


「プリウス登場からの20年」でこれだけ自動車を取り巻く環境が変わった事を考えると、ありえない話では無いかもしれませんから、期待して今後を見守ってみましょう。
国産エンジン史エコカー編は今回が最後となります。ありがとうございました。

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