【プロレーサー山口礼】レーシングドライバーはアスリート?

レーシングドライバーのタフさ

初対面の方とのお話の中で
「レースをやっている」という事をお話すると、ほとんどの方に意外がられることがあります。
それはレーシングドライバーたる者、同時にアスリートでなくてはいけない、という事です。

「え?車を速いスピードで運転してるだけでしょ?」

ほとんどの人にそう言われます。
まあそう言ってしまえばそれまでなんですが・・・・

僕はそんな時に
「要するにレーシングカーの運転って、悟空やベジータがトレー二ングしてた重力室にサウナ機能をつけて、その中で腕立て伏せ&スクワットしながらマラソンしてるようなもんなんです」
と、超適当に説明します(笑)

でもその例えは、あながちデタラメでもないんです。

「スピードが速い」ということがどういうことなのか

当然レーシングカーは速いスピードで走ります。
スピードが速い、という事は同時にその車が纏っているエネルギー値が非常に高い、という事なんです。
エネルギー値なんて言葉を使うと、物理アレルギーの人は読むのを止めたくなるかもしれませんが、
そんな難しい話ではありませんのでご安心を。

要は、
「スピードが速いから、身体にメチャクチャな負担がかかる」
ということなんです。
車によって違いはありますが、例えばF1のひとつ下のGP2というカテゴリーの車両でも、
ブレーキング時に5G以上のGがかかります。

アスリートたる所以

レース中の疲労と熱中症で意識を失う久保 凛太朗 選手。居眠りしているわけではありません。

要するに、体重が5倍以上になって、前方向への重圧となって身体にのしかかるということ。
そして、車両を少しでも軽くしたいので、快適装備なんてほぼありません。
なので、車内温度が65℃なんてこともザラにあります。

さらには重いハンドルを絶えず左右に操作しながら、重いペダルを何度も何度も、しかも正確に踏まないといけません。
ハンドルの重さは、エンジンを切った状態で止まってる一般車のハンドルを力いっぱい切る感じと想像してください。
そしてブレーキペダルを踏む時は、
180kgの力でブレーキベダルを踏まなくてはいけない車もあります。

ミスをしたら命を落としかねないというスピードと緊張感の中で、レースの駆け引きや戦略を計算しつつ
この運動を正確に繰り返すのがレーシングドライバーの仕事であり、その結果レーシングカーに乗っている時の
ドライバーの心拍数は170以上というデータがあります。

モータースポーツというのは、あくまで「スポーツ」である、ということなんですね。

参考までに、以下の動画もぜひ御覧ください。
すこし古い映像ですが、ドライバーの大変さが少しは伝わるかと思います。

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