巻き返す三菱とマツダのスポーツカーエンジン(KF-ZE, 6G72, 6A12, 4G92)

スポーツカーにはついに搭載されなかった名機、マツダKF-ZE

90年代以降のマツダを代表するスポーツカーと言えば? ある人にとってはやはりロータリースポーツのRX-7かもしれません。 当時の2代目FC3S、3代目FC3Sは、現在に至るまで名スポーツカーとして未だに現役の個体も多いのですから。 一方、2017年2月現在に至るまで絶えず進化を続けてきたスポーツカーと言えば、ロードスターでしょう。 初代のNA型以降、ロードスターに搭載されるエンジンは決してスポーツカー向けではない実用エンジンがベースでしたが、マツダはそれをチューニングによって純スポーツカーであるロードスターに最適化していました。 しかし、それらに搭載されることこそ無かったものの、それ自体が名機と言われた90年代マツダのエンジンがあります。 それがKF-ZEです。

まるでアルファのV6のような

アルミブロックで軽量化を図りつつも、その他の部分は炭素鋼鍛造、あるいは鋳鉄を用いて耐久性を持たせた2リッターV6エンジン、それがマツダ KF-ZEです。 スペックそのものはさほど過激なものではありません。 最高出力160馬力 / 6,500回転、最大トルクに至っては18.3kg・m/5,500rpmですから、多気筒化によるピークトルクの薄さというデメリットが出ている印象すらあります。 ピークパワーも、ホンダのようにもっと回せば出たのでは無いかとも。 ただし、KF-ZEを搭載したマツダ車、ことにランティス・クーペなどは、マツダファンに限らず通好みなクルマでした。 スタイルもさることながら、KF-ZEは気持ちよく吹け上がる、とても良いエンジンだったからです。 特に喜んだのはヨーロッパ車ファンで、「これはまるでアルファ・ロメオのV6エンジンのようだ!」と大絶賛。 マツダが危うく潰れかけたバブル時代の多チャンネル(販売店系列)体制の中で生まれた、「クロノス」シリーズ各車にも搭載されましたが、この時期の品質低下気味だったマツダ車の中でも、V6エンジンの評判だけは高いまま。 しかし、重度の経営危機に陥ったマツダがフォードの傘下に入った時、この名機に代わって押し付けられたのはフォードのV6エンジンで、これがまた不評でした。 ひどく評判の悪い時期のマツダで数少ない光明のように見えたKF-ZEでしたが、その時期にしか生きられなかったがゆえに、今でも覚えている人は少なくなっています。

「レーシング・ブルドーザー」の心臓、三菱6G72ツインターボ

90年代不遇のスポーツエンジンと言えば、三菱GTOが搭載していた6G72ツインターボもそんなエンジンでしょう。 同期のライバル、トヨタ 2JZ-GTEや日産 RB26DETTと同じくらいに評価されてもおかしくないのですが、重い・デカイ・曲がらないと散々な評価を受けた上に、フェラーリ風スーパーカーボディにFFベースの4WD。 GTO自体は少々重すぎるだけで決して悪い車では無いのですが、スポーツカーとして見た場合にスープラやスカイラインGT-Rのような華が無さすぎでした。 搭載されている6G72エンジン自体はディアマンテと共通の3リッターV6エンジンをツインターボ化したものですが、少々変わっています。 最大トルクの数値そのもの(42.5kg・m)は同期のライバルと同等、ある時期までのRB26DETTより高いくらいでしたが、それを2,500回転というスポーツカーとしては超低回転で発揮したのです。 エンジンは当時のこととて280馬力に制限(北米仕様は325馬力)されていましたが、おかげでGTOは「とにかく下からのトルクはすごい車」として紹介され続けることになりました。 雪道のトラクションなどは最高でまるでブルドーザーか戦車のようでしたが、スポーツカーとしてはその下からモリモリ来るけどもその先が無いフラットトルクが演出としてアダになったかもしれません。

突き抜ける快感も作れた三菱6A12と4G92

では三菱のエンジンがトルク一辺倒だったかと言えばさにあらず、上まで突き抜ける快感を持ったエンジンもちゃんとありました。 それがFTOに搭載された200馬力仕様の6A12と、ミラージュやランサーに搭載された175馬力仕様の4G92です。 どちらもホンダVTEC同様、可変バルブタイミング&リフト機構を備えて高回転高出力に特化した、スポーツDOHCエンジンという意味では共通。 ただし6A12は2リッターV6、4G92は1.6リッター直4エンジンという違いはありました。 両方とも太いトルクのある低~中回転から、MIVECによりカムが切り替わった瞬間に高回転まで一気にカーン!と吹け上がる爽快感があり、アクセルを踏み込むのが本当に楽しいエンジンだったものです。 しかし、この2つのエンジンが不幸だったのは、双方の搭載車にホンダから強力というより完全無欠のライバルが現れたことです。 そう、FTOに対するインテグラタイプRと、ミラージュに対するシビックタイプR。 どちらも90年代後半を代表する名車である一方、三菱の2台はその名車と戦わねばならなかったことが、運命を決めます。 決して性能的にそう劣ったものでは無かったものの、ミラージュはシビックのように現在までモータースポーツで使われることはほとんど無く。 FTOなど現役当時から使われることは稀でした。 特にFTOの6A12は間違いなくV6エンジンの気持ちよさとパワフルさを持った名機でしたが、KF-ZE同様忘れ去られる運命なのが残念です。

以上、今回は三菱とマツダの「恵まれなかった名機」を紹介しましたが、どんな名機でもメーカーが傾いたり、より強烈なライバルが出てくると後世に語り継ぐ者すら少ないのが不びんでたまりません。 次回は、「いすゞ最後の最強スポーツターボ・いすゞ4XE1-WT」をご紹介します。

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