もしもホンダが無かったら岡村製作所の消滅は間逃れた?

モーターショーに堂々登場した「ミカサ」

1957年に開催された第4回全日本自動車ショー(現在の東京モーターショーの前身)に、当時としては画期的なオートマチックトランスミッションを搭載したFF車(フロントエンジン・前輪駆動車)が2台展示されました。 その2台は乗用スポーツ車「ミカサ・スポーツ」と、商用ライトバン「ミカサ・サービスカー・マークI」。 製造したのは横浜の家具・産業機器メーカー岡村製作所で、同社は「ミカサ」ブランドにより自動車産業への参入を高らかに宣言したのでした。

航空機メーカーの後進とも言える岡村製作所

岡村製作所が設立されたのは1945年10月。 太平洋戦争の敗戦で航空機産業が停止された日本で、仕事を失った航空機メーカーのひとつ、日本飛行機を退職した社員によって設立されました。 中島飛行機のように財閥解体を受けたわけではありませんが、分割されたカケラのひとつが後に自動車を作ったという意味では、似たような経過をたどっています。 日本飛行機そのものは自衛隊向け部品生産メーカーとなって後には戦後初の国産旅客機「YS-11」を生み、2016年12月現在も川崎重工の子会社として存続していますが、戦後すぐの時期はとにかく仕事が無かったのです。 当初は進駐軍向けスチール家具メーカーから始まってオフィス用家具メーカーとして現在でも高いシェアを誇っていますが、1949年からは産業用機器にも参入。 1952年には岡村製作所自身も朝日新聞社からの注文で国産飛行機N-52を開発しています。 その後 「トルクコンバーター」と呼ばれる流体変速機/クラッチを開発して国鉄(現在のJRグループその他)に採用されるなど、オフィス家具と産業用機器の大メーカーとなりました。 仕事場のデスクに「Okamura」のロゴを見たことがある人も多いのでは?

日本初のオートマ車を開発

「トルクコンバーター」は現在でも自動車用オートマチックトランスミッションに広く使われている機械で、オートマ車に乗ったことがある人ならば、ブレーキを離せば勝手にクルマが進む「クリープ現象」をほとんどの人が体感していると思います。 そのクリープ現象を生み出しているのがトルクコンバーターで、特許を取った米ボルグワーナー式オートマチックトランスミッションが日本でも普及するのは1970年代です。 岡村製作所はそれ以前に開発された、数少ない日本製トルクコンバーター式オートマチックトランスミッションメーカーであり、それを活かしたオートマ自動車メーカーを目指したのでした。 開発に当たって構造などの参考にしたのはフランスのシトロエン2CVで、スペース効率の高い前輪駆動のFFレイアウトや、水平対向2気筒エンジン(586cc)は2CVを踏襲しています。

「ミカサ」出撃!

1955年に完成した1号車は日露戦争の日本海海戦で連合艦隊旗艦として活躍した戦艦「三笠」から「ミカサ」と命名。 「ミカサ」は1号車のセダンのほか、スポーツカータイプのミカサ・スポーツ(後にミカサ・ツーリング)とライトバンのミカサ・サービスカーマークI/マークIIが作られました。 当時はまだトヨタから初代クラウン、日産からダットサン110といった戦後初めて成功した国産量産乗用車がデビューしたばかりであり、その中でもミカサ車は美しいスタイリングとイージードライブを可能にするオートマチックトランスミッションで、一躍脚光を浴びたのでした。

メインバンクに「ミカサ」撃沈さる

しかし、「ミカサ」の量産体制を取ろうとした岡村製作所に対し、メインバンクの三菱銀行(現在の三菱東京UFJ銀行)から待ったがかかりました。 当時の三菱銀行はホンダを支援しており、その二輪車事業が波に乗ったところであったため、岡村製作所に対しては本業(オフィス家具と産業用機器)への専念を要望したのです。 あるいは、1962年にホンダが四輪車に参入宣言を行う前から三菱銀行に話があったのかもしれません(というより、あったでしょう)。 1960年に岡村製作所は自動車産業への参入を断念し、ミカサ車はツーリングが10台程度、サービスカーが500台程度生産されたのみで「撃沈」されてしまいました。 もしもホンダが無かったら、あるいはミカサが量産されて好評を博し、現在でも続いていたかもしれません。 実際にはミカサ車はそれっきりで終わり、ミカサの自動車用トルクコンバーターも、コニー グッピーとマツダ R360に使われただけで終わりました。

ミカサ・コマーシャルは現存するのか?

生産されたミカサ車は一部が販売された他は岡村製作所の社用車として使われたと言われていますが、確認されている現存車は1台のみ。 岡村製作所の「オカムラいすの博物館」に展示されているミカサ・ツーリングがその唯一の現存ミカサ車と言われています。 しかし、世の中広いもので、実はミカサ・サービスカーを持っている人もいるらしいのですが、どこにあるのか、実動が可能なのかなどハッキリしたことはわかりません。 たった5年だけだった幻の国産車ブランド「ミカサ」は、これからもまだ新しい発見があるかもしれませんね。

次回は無骨なミリタリールックのSUVで名を馳せた、米ハマーをご紹介します。

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