令和初の国賓として、2019年5月に日本に来日したアメリカ合衆国のトランプ前大統領。
移動の際は巨大なアメ車達が日本の公道で列をなして走行している姿がテレビなどで取り上げられていましたね。
その中でも一際目立つリムジン、大統領専用車両、通称「キャデラック・ワン」。
キャデラック・ワンはその性能や機能などから別名「ビースト」とも呼ばれています。
今回はその大統領専用車両「ビースト」の秘密に迫ります。
キャデラック・ワン?ビースト?
アメリカ大統領専用車両は通称「キャデラック・ワン」または「ビースト」と呼ばれています。
大統領専用車両はGMC・トップキック(シボレー・コディアック)のシャーシにキャデラックのボディを乗せた専用リムジンとなっています。
通称「キャデラック・ワン」という名称は、大統領専用機の「エアフォース・ワン」、大統領専用ヘリ「マリーン・ワン」に倣って呼ばれています。
そしてこのキャデラック・ワン、車のサイズはもちろんの事、とてつもない重装備に加え、様々な機能や防衛性能が備わっており、地球上で最強の車という意味を込めてか、シークレットサービスなどからは別名「ビースト」(The Beast、「野獣」の意)と呼ばれています。
市販モデルでは無いため、”モデル名”というものがなく、上記のような名称で呼ばれ、いつしかそれが一般に広まったとされています。
「ビースト」の気になるスペックは?
そんな「ビースト」ですが、気になるのはそのスペックですよね?
ひと目見て、この車の大きさが「大きい!」とわかる存在感ですが、車両の詳細な寸法は保安・警備上の問題から最高機密に属しているため、残念ながら明らかにはされていません。
一説ではボディの全長は約6.8m?あると言われており、様々な重装備により、その車重はなんと8〜9トンにも達すると言われています。国産コンパクトカーの8台分に匹敵する重量です。
その重量からか、公表?されている最高速度は時速100キロ前後、燃費は2km/L〜3km/L、最高速度に達するまでのタイムは15秒前後との事。
当たり前ですが、最高速度は軽自動車やコンパクトカーの方が上。最高速度が100km/h前後しか出ないとは意外です。
エンジンは重い車体を動かすパワーが必要な事と燃料が発火しにくいという理由からディーゼルエンジンが採用されている。しかし過去にはガソリンエンジンのビーストも存在していた為、現在はどちらが使用されているかは不明。
タイヤについてはグッドイヤー社製のランフラットタイヤを履いており、ケブラー繊維で強化されています。
万が一銃弾が被弾してパンクした場合でも走行できるようになっており、タイヤそのものが吹き飛んだとしてもリムだけで走れるようになっています。
走るシェルターとも言われるビーストの防衛性能
大統領を乗せて移動する車ですので、それはそれは何かあってはいけない。
この「ビースト」は「守る装備」が半端じゃない!
その一部が下記になります。
・ボディは特殊鉄鋼やチタン、セラミックなどを使用した複合装甲といわれる装甲で強化され、近くで爆弾が爆発しても、ロケット弾で攻撃されても耐えられる作りになっている。ドア自体の暑さは20cmもあり、旅客機のドア並の暑さである。窓ガラスはガラスではなく5層のポリカーボネート製でできており、その暑さはなんと約13cmもあるとされています。
その窓ですが、運転席の以外は開閉できない仕様になっており、運転席もたったの7.5cmしか開けられません。
車体下に関しても、耐爆処理が施されており、手榴弾やIED(即席爆発装置)などからも守られています。
そして車両の後部には追っ手をまくために、煙幕発生装置もあるとか?
・ドアや運転席の窓が閉められている時は車内は密閉されており、車内の空気は完全に独立した清浄な空気で満たされている。これは、生物兵器や化学兵器の攻撃を受けた場合でも外気と完全に遮断されている為、大統領や乗員を守れる仕様になっている。そして万が一の為に酸素ボンベも車載されています。
・フロントグリルにはヘッドライトが破壊されたり、視界が遮られてもドライバーは前方を確認できるよう、暗視スコープとレーダーが隠されており、灯ひとつない暗闇でも走行が可能となっています。
・燃料タンクは直接、銃などで攻撃されても爆発しないよう爆発を防ぐ特殊な発泡体に包まれ、燃料タンク付近には自動消火装置も備わっております。
・万が一周囲の護衛を突破された場合の装備として、催涙弾やショットガンなどの武器が前席に装備されています。
・後部座席の「大統領席」には、副大統領やペンタゴン(米国防総省)などにつながる衛星電話も備わっています。
まさに地球上最強の自動車と言われている理由がわかる徹底した装備です。
大統領専用車両「ビースト」の移動
大統領専用車両、「ビースト」は予備を含めて同型の車両やビーストと同じような装備の車両が数台存在しているといわれています。
車両はシークレットサービスが管理をしていて、ドアのロック、アンロックの方法などはシークレットサービスの数名しか知らないとか?
そんなビーストですが、車列を組んで移動走行する際は、常に2台ペアで走行しています。これは大統領がどちらの車両に乗っているかわかりにくくするというセキュリティー面を考慮している為。
そしてもう一つの理由は万が一、走行不能に陥った場合、もう片方に乗り移れるように。とも言われています。
ちなみに同じように、大統領専用機の「エアフォース・ワン」も2機が用意されており、大統領がどちらに乗っているのかを分からなくし、リスクを分散させているそうです。
そしてビースト前方、ヘッドライト付近の左右にはそれぞれ旗が掲げられており、片方はアメリカ国旗の星条旗、もう片方は大統領旗となっている。
ちなみに大統領が国外を公式訪問する場合においては、大統領旗がその国の国旗に換えられるのです。
日本来日の際は左前に日の丸が掲げられていました。
大統領が郊外へ出かける際は、ビーストの車列には常に数十台の伴走車、シークレットサービスなどの護衛の他に、地元警察のパトカーや白バイ、その他に医療車両が同行し、複数の政治的側近者、医者、シェフ、その他が一斉に移動します。
日本での移動は??
ビーストはナンバープレートは基本的に国外でもそのまま使用される事がほとんどだそう。しかし、日本ではそのまま使用する事が禁止されています。
日本以外でも禁止されている国では現地の外交官ナンバーに付け替えて移動となる。特に日本の場合、外務省の方針により、「十分な任意保険に加入した上で日本の外交ナンバーを取得する」という厳しさです。
日本での外交ナンバーの割り当て国番号として、アメリカ合衆国には頭から2桁「82」「83」「84」「87」が割り当てられている。外交ナンバーとして外務省が発行する際は、同番号前後1枚ずつを1セットとしているが、冒頭にも記述したトランプ前大統領が来日した際の2台のビーストにはそれぞれ、前後異なるナンバープレートが装着され、前後それぞれ同じナンバープレートを付けた2台のビーストが運行されていたのです!
これもどちらに大統領が乗っているか特定されにように、リスクを分散するという観点からだそうです。
ちなみに、前後で違うナンバー、2台の大統領専用車が前後それぞれ同じナンバープレートを付けているという、法的な問題については、外交関係に関するウィーン条約として、外交上の権利という事なので問題はないそうです。
いかがでしたか?地球上最強の車、「ビースト」。
大統領専用車両ですから、トップシークレットなもっともっと知られていない特別な機能や秘密があるかもしれませんね。
実は200km/h出ますけど?とか。