ロータス72の遺産6つ!70年代F1マシンの名車が残した技術革新とは

ロータス72とはモータースポーツ世界選手権であるフォーミュラ1(F1)で活動したチーム・ロータスがデザインしたフォーミュラ1カーです。魅力的なデザイン性もさることながら通算20勝を挙げた機能性を兼ね揃えたロータス72について詳しくご説明します。

ロータス72とは

1966年にF1は1.5リッターから3.0リッターに排気量拡大するレギュレーション変更をしました。レギュレーション変更に対応しV8ユニットのエンジンであるコスワースDFVを開発しました。このコスワースDFVを初めて搭載したのがタイプ49です。1968年にWタイトルを獲得した成功作であるタイプ49の後継車とし、1970年に発表されたのがタイプ72である「ロータス72」です。ロータス72の魅力はコスワースDFVの優れたエンジン性能だけではありません。

ロータス72のデザインは天才コリン・チャップマン

コーリン・チャップマンは1960~1970年代にF1グランプリで活躍したチーム・ロータスの創業者です。彼の天才的なアイディアから生まれた名車はF1グランプリにて華々しい活躍を見せました。中でもロータス72は、1960年代までフロントに搭載していたラジエーターをサイドポッドに移設することで、空気抵抗を大きく減らしヨー慣性モーメントも大幅に低減させることができ、コーナリング性能を高めることに成功しました。

ロータス72の遺産6つ

1960年代の活躍から1970年代の新時代へ大きくモデルチェンジをしたことにより、独創的かつ機能性に優れたロータス72は、その後のF1界に大きな影響を与えました。革新的なデザイン性だけでなく、新たな設計を取り入れることによりたくさんの「遺産」を遺しました。 6つに分けてロータス72が遺したものを詳しくご説明します。

ロータス72の遺産1:70年代F1マシンの「常識」を一新

60年代の常識ではラジエーターはフロントへの搭載が一般的でした。しかし70年に発表されたロータス72は、車両の両サイドのサイドスポットにラジエーターを搭載しました。空気抵抗を減らすことができ、車体回転軸周りのヨー慣性モーメントも大幅に減少させ、コーナリング性能をアップさせる新常識のデザインとして高い評価を獲得しました。

ロータス72の遺産2:ウェッジシェイプの革新デザイン

ロータス72はラジエーターをフロントではなくサイドスポットへ搭載しました。ラジエーターをサイドスポットに搭載することで、従来の空気抵抗を減らすために細長く作られた葉巻型のデザインより、車体の前方を低く後方を高くすることができました。この形のデザインをくさび型という意味を込めウェッジシェイプといい、前方からの空気抵抗を極限まで減らすことができました。これは従来のF1カーのデザインを革新的に変えました。

ロータス72の遺産3:トーションバー使用のサスペンション

ロータス72の遺産は革新的なデザインの変化だけではありません。ブレーキディスクをインボード化し、トーションバーを採用しました。これによってコイルに比べ部品を軽量化することができ、更にスピードを追求することができました。

ロータス72の遺産4:3度のコンストラクターチャンピオン

F1グランプリにおいて、ドライバーに与えられる賞とは別に車の製作者に与えられる栄誉がコンストラクターチャンピオンです。ロータス72では新機軸の改良から更なる速さをライバルへ見せつけました。これにより70年・72年・73年に3度コンストラクターチャンピオンを獲得しました。

ロータス72の遺産5:70年・72年ワールドチャンピオンを輩出

ロータス72は従来の葉巻型デザインからラジエーターをサイドスポットに搭載しウェッジシェイプを実現しました。更にサスペンションに使われていたコイル・ダンパーユニットからトーションバーを使用することで軽量化に成功しさらにスピードを追求しました。その結果、ライバルを一切よせつけない走りを見せ、70年にはヨッヘン・リント、72年にはエマーソン・フィッティパルディの2名のワールドチャンピオンを輩出しました。

ロータス72の遺産6:75年までに通算20勝を獲得

1970年のF1スペイングランプリで登場したロータス72ですが、デザインや従来のサスペンションに使われたコイル・ダンパーと違いトーションバーを使用することで速度への追求を更にすることが出来ました。新機軸が足を引っ張ることもありましたが改良を重ね、1970~1975年の間で通算20勝を獲得しました。

ロータス72の歴史

60年代のF1グランプリの従来のF1カーから新常識をふんだんに取り入れたロータス72は、これまでたくさんの改良を重ねてきました。初代ロータス72から、B・C・D・E・Fまでの6台を生み出しており、ロータス72の歴史を塗り替えてきました。6台のロータス72の進化をご紹介します。

72

先述したような革新的な特徴を多く備えた、ロータス72のベースモデルです。このベースモデルを活かしつつ、様々な改良が加えられ、後のモデルが誕生していきました。

72B

ロータス72は、走行中の車体の姿勢変化を抑える必要がありました。アンチダイブ・アンチスクワットなどの走行中の加速や減速時に車体の姿勢変化を抑えるジオメトリーがサスペンションに組み込まれました。しかし、初期のサスペンション・ジオメトリーに組み込まれたアンチ・ダイブ機能とアンチ・スクワット機能が、操縦を困難にする問題があり改修が施されました。アンチ・スクワット機能が取り外され改良されたのが特徴です。

72C

ロータス72は、走行中の車体の姿勢変化を抑えるアンチダイブ・アンチスクワットなどの走行中の加速や減速時に車体の姿勢変化を抑えるジオメトリーがサスペンションに組み込まれました。ロータス72Bでは、後方のアンチ・スクワット機能が取り外され操縦性を高めました。更に、ロータス72Cでは前方のアンチ・ダイブ機能も取り外され操縦性が改良されたのが大きな特徴です。

72D

1971年にBRMからデザイナーのトニー・ラッドが移籍したことで更なる変化を実現しました。リアサスペンションやリアウイングを手直しロータス72Dが誕生しました。またボディカラーも従来の赤白金の「ゴールド・リーフ・カラー」から黒いボディカラーに金色のストライプの「JPSカラー」に変更されました。エマーソン・フィティパルディをドライバーとし、12戦中5戦を優勝し、1972年にはコンストラクターを獲得しました。

72E

1973年に走行性だけでなく安全規定の変更を受けました。1973年のスペイングランプリからは新ルールも執行され走行性や速度の追求だけでなく安全性を考慮しロータス72Dのデザインからロールバーが延長されました。これにより速さをそのままに安全性も高めた72Eへと進化しました。このロータス72Eは、1973年に前年に続きコンストラクターを獲得しました。

72F

1974年に、ロータス72を新開発されたロータス76に交代させる予定でした。しかしロータス76の不調により急遽ロータス72Eの現役続行を決定しました。すでにロータス72は4シーズン目を迎えており、ライバルの性能が向上していたことから、1975年のシーズンにはホイールベースを延ばし、リアサスペンションにトーションバーではなくコイル・ダンパーを装着した72Fとアップデートされました。

チーム・ロータスの歴史

フォーミュラ1(F1)グランプリにおいて数々の功績を収めたチーム・ロータスは、1970年のロータス72の発表で革新的なデザインであるウェッジシェイプを採用することでF1カーの歴史に名を残すことになりました。現在ではF1カーの基本デザインであるウェッジシェイプを開発した歴史あるチーム・ロータスの歴史を振り返りましょう。

チーム設立

1952年コーリン・チャップマンはロータス・カーズを設立しました。1956年にロータス6を、更に1957年にロータス7をキットにし販売しました。その後フォーミュラカー(F1カー)の開発・製造に参入し、F2で大きな成功を収め1958年に「チーム・ロータス」としF1へ参入しました。1958年から1994年までF1に参戦し、コスワースDFVの開発や走行性能を上げる独自の技術開発により、F1界で大きな革命を起こしたのが「チーム・ロータス」です。

主チーム関係者

チーム・ロータスは「コーリン・チャップマン」を始め、レーシングマネージャーでドライバーの「ピーター・ウォー」、デザイナーの「ピーター・ライト」、1983年にテクニカル・ディレクターの「ジェラール・ドゥカルージュ」、1989年にジェラールの後任としてテクニカル・ディレクターに就任した「フランク・ダーニー」、1991年にチーフデザイナーに就任した「クリス・マーフィー」が主な関係者です。この6名で数々のF1カーを開発しました。

主チームドライバー

多くの功績を残したチーム・ロータスにはたくさんのドライバーがいました。1969年に移籍した「ヨッヘン・リント」はオランダからドイツGPまで4連勝を飾りました。 F1界で唯一死後にドライバーズチャンピオンを獲得しています。また、1970年のシーズン途中に移籍した「エマーソン・フィッティパルディ」はシーズン中3勝を飾り、1973年にロータスに移籍した「ロニー・ピーターソン」はシーズン中4勝を飾りました。

F1初優勝

1958年の4月21日大雨の中開催された第二戦ポルトガルGPで、チーム・ロータスは「ジェラール・ドゥカルージュ」が手掛けたロータス97Tを駆り出しました。F1カーで初めてバージボードを採用し、フロントホイールとサイドポッドの間の空力パーツでタイヤ周りの空気を清流させてマシン後方へと導くことで走行性を向上させました。悪天候の中「アイルトン・セナ」をドライバーとし、2位に1分2秒978と大差をつけF1で初優勝しました。

F1撤退

1982年12月のシーズン中に創立者のコリン・チャップマンが急死してしまいます。長年在籍しコリン・チャップマンと共に新しい時代を作り上げてきたピーター・ウォーがチーム・ロータスの指揮を執ることになりました。1983年にはコスワースDFVからエンジンを変更し1985年に活躍したアイルトン・セナが加入しました。しかし1988年以降マシントラブルの多発により人気が低迷し財政難に陥ります。1995年1月17日F1からの撤退が発表されました。

名車ロータス72の歴史からF1の歴史を学ぼう

現在のF1カーに採用されているウェッジシェイプの歴史はロータス72から生まれたものです。コスワースDFVとトーションバーの採用もロータス72の大きな特徴で、デザイン性でなく機能性を高めたロータス72は、F1の歴史を変え新たなF1の可能性を広げることに成功した名車です。ロータス72の他にも名車と呼ばれるものは数多くあります。興味を抱いた方は歴史を掘り下げてみましょう。

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