音の鳴る道路を走ったことはありますか。日本の様々な場所に存在する音の鳴る道路の正体メロディーロード又はメロディーラインとはどんなものなのか知らない人は多いと思います。知らないで通ると少し怖いですが、知ってみるとその道を走ってみたくなるはずです。そんな走りたくなるメロディーロードの音が鳴る仕組みと目的、そして設置されている場所を紹介していきます。
音のなる道路の正体
まず最初は音の鳴る道路の正体について見ていきます。
メロディーロードとは
メロディーロードはメロディーラインとも呼ばれ、ある一定の速度でその道路を走ることで地面とタイヤの摩擦で音が生じメロディーを奏でる道路のことです。メロディーというので音楽が流れると思いますが、実は音楽だけではなく「カーブです。スピードを落として下さい」と注意喚起の言葉が聞こえるものもあるのです。また、メロディーロードは日本でだけではなく海外の道路にも存在します。
メロディーが聞こえる理由
メロディーロードは道路とタイヤの接触音が音楽として聞こえるように、道路に横方向の小さな溝を連続で刻みます。その上を車が走ることで溝の中で接触音が反響して音が聞こえ、それが繋がることで曲になります。溝の幅が狭いと小さな音になり溝の幅が広いと大きな音になったり、溝の間隔が狭いと高い音(高周波)になり逆に溝の間隔が広いと低い音(低周波)を奏でたりします。また車のスピードでも音は変わり、早く走ると高い音(高周波)になり逆に遅く走ると低い音(低周波)を奏でます。
このメロディーロードの仕組みは道路だけではなく氷の上にも作れて、車で音楽を奏でる事が可能なのです。2019年4月10日にトヨタRAV4の新型が販売される際に公開されたウェブムービー「Play the Biggest Record」で「ベートーヴェン交響曲第9番」を氷の上で奏でました。
メロディーロードの目的
速度抑制
メロディーロードは一定の決まった速度で走ることで曲のように聞こえる作りになっています。時速40㎞ほどで走行すると綺麗に曲が聞こえる場合が多いです。そのため、曲を聞くには通常の速度よりも少しスピードを落として走らなければならないので速度抑制の効果があります。また急なカーブがある場所に作られることもあり、カーブでスピードを出して走行させないようにもなっています。
居眠り防止
メロディーロードは居眠りの防止にも繋がります。普通の道路を走行していても音は鳴りません。そのため、通常の道路だと思いながらメロディーロードを走行していて突然音が鳴り出すで驚きと共に目が覚めますし、一定速度で走らなければ音は曲のようには聞こえませんで一定速度で走ることを意識するため眠気も吹き飛びます。
観光地
メロディーロードはその土地に縁のある曲を奏でられるように作られている場合がほとんどです。そのため、曲の舞台が右手に見える道路でその曲が奏でられたりその土地の民謡が奏でられたりとメロディーロードを走りながらその土地を感じることができます。
メロディーロードを走るには
一度はメロディーロードを走ってみたいなと思っている人も多いと思いますが、実は日本の様々な場所にメロディーロードはあるのです。
メロディーロードがある場所
日本全国に約30か所ほど存在します。全部紹介したいですが、今回はその中から4つを紹介したいと思います。
国道292号 群馬県吾妻郡草津町
「正調草津節」
国道292号を大津から草津方面へ進む道にあり、道の駅手前約500メートルのところに作られています。
群馬ではメロディーロードではなくメロディーラインと言われています。このメロディーラインでは草津と言えばの曲と言っても過言ではない「正調草津節」が聞けます。草津で有名な気の板でお湯の温度を下げる為に温泉をかき回す湯もみの時に唄われる歌です。草津に向かう途中にこの歌を聞いてから、実際に湯もみを見ると草津をさらに堪能できます。
鳥取県道47号米子境港線
「ゲゲゲの鬼太郎」
米子から境港方面に向かう県道47号境港線の左側車線333メートルの区間に作られています。
『ゲゲゲの鬼太郎』の生みの親、漫画家水木しげる氏の故郷である、鳥取県境港ならではの曲が聞けます。この近くには妖怪ブロンズ像が立ち並ぶ水木しげるロードや妖怪神社などがあります。ゲゲゲの鬼太郎の世界に入り込むにはぴったりの曲ですね。
国道502号線(片ケ瀬) 大分県竹田市
「荒城の月」
国道502号線(片ケ瀬)の豊後大野市からの玄関口でもある場所に作られています。
日本の有名な作曲家、滝廉太郎氏が作曲をした「荒城の月」を聞けます。この道の右側には「荒城の月」のモデルとなった岡城址があります。そのため、「荒城の月」を聞きながらそのモデルとなった岡城址を眺めることができると何とも贅沢な体験ができます。
北海道標津群標津町
「カーブです。スピードを落として下さい」
標津町市街地へ行く途中の国道272号に接続するサーモンパーク方面へ向かう道に作られています。
日本の様々な場所にメロディーロードは存在しますが、しゃべるのはここだけです。交通安全を促す言葉が聞こえてくるため、通称「防災道路」とも呼ばれているようです。音楽を奏でるだけでも難しいことなのに言葉を発せられるようにするとは多くの研究や実験が行われてきたのだと思います。また、北海道はメロディーロードが生まれた場所でもあり、メロディーロード第1弾も実は北海道に存在します。こちらも併せて通ってみてはいかがでしょうか。
うまく聞こえるには
せっかくメロディーロードを走るなら綺麗に曲を奏でたいですよね。綺麗に曲を奏でるには走行速度が速すぎても遅すぎてもうまく音を奏でることはできません。その道路に作られている曲を上手く奏でるのに最適な速度がメロディーロードに突入する前に看板などに書いてあるのでその速度で走行しましょう。その他に、硬いタイヤで車重が重いと綺麗に音を奏でることができるようです。
またメロディーロードは道路なので変わらずそこにあるため夜に知らずに走ると突然音が鳴り、驚きと恐怖を感じてしまい危険です。そのためメロディーロードという「走ることで音が鳴る道路」があるということを知っておいて下さい。
ドライブや旅行の寄り道に
道路と車で奏でる音楽はとても素敵ですね。車は移動手段だけではなく音楽を奏でることができると思うと車に様々な可能性を感じられました。また、音楽を奏でるだけではなく道路から言葉を発せられるようになるとは時代の進化に驚かされました。車だけではなく道路のこの先の進化にも期待したいですね。是非ドライブや旅行のついでメロディーロードを走行してみるのはいかがでしょうか。きっと愛車で素敵な音楽が奏でられること間違いなしです。