ゼロから車両製作!学生フォーミュラ日本大会ってどんな大会?

F1というと皆さん1度は耳にしたことがあると思います。このF1で使用されるフォーミュラカーを1から作り、デザインや速さを競い合う大会が学生の間で行われているのをご存じでしょうか。あまり知られていませんが、様々なスポーツのインターハイのようなもので、学生1位を決める大会です。今回はこの学生フォーミュラについて書いていきます。

フォーミュラカーって何

そもそもフォーミュラカーとは何か知らない人も多いと思いますので、まずフォーミュラについて見てみましょう。

フォーミュラカーとは

皆さんが1度は耳にしたことのあるF1はフォーミュラ・ワンの略です。このフォーミュラレースは世界的に有名なモータースポーツと言われており、フェラーリやメルセデス、ルノーやホンダなどの世界的な自動車メーカーがスポンサーとして付いています。ドライバーとしてはミハエル・シューマッハなどが有名ですよね。そのフォーミュラレースで使用される1人乗りの車輪と身体がむき出しになっている車のことをフォーミュラカーと言います。身体がむき出しになっている為、事故などが起こってしまった場合、直接身体に衝撃がいってしまい死亡事故に繋がりやすい常に危険と隣り合わせなレースでもあります。

学生フォーミュラ日本大会

常に危険と隣り合わせのフォーミュラカーを学生が1から造り走行まで行う大会が毎年行われています。

学生フォーミュラ日本大会とは

学生フォーミュラ日本大会とは、学生による日本最大級のものづくりの大会です。毎年9月に静岡県のエコパスタジアム駐車場で行われています。日本の学校のみではなく、海外の学校もこの大会の為に来日し参加をします。毎年約100校もの学校が参加し、4日間の開催で約5,000人以上が来場する大会なのです。この大会は公益社団法人自動車技術会が主催し、2003年に第1回大会が行われてから基本的に毎年行われています。そして現在も未来のエンジニアを育てる為に開催されています。学生が自分たちで、ゼロから企画書を作成しスポンサーを集め資金調達を行い、設計や製作を行い1台の車両を作り、走行までの全てを行います。その為、良い設計や製作を行い速い車両を作るだけではなく、その前段階の企画書を作成し資金調達までも学生のみで行うので、まるで1つのベンチャー企業の様なことを行っているのです。

審査

車検

まず車検の審査があります。実際に走行まで行う為、造られた車両が安全に造られているかや安全バーの確認、強度や設計要件の適合などを見ます。例えば、ドライバーが5秒以内に脱出できるのかやブレーキ試験として4輪ロックを行ったり、騒音審査やチルトテーブル審査が行われます。この車検を通過した車のみが走行が許可され動的審査を受けることができるのです。参加チーム全体の半分くらいがこの車検を通過できずに動的審査を受けられないことがよくあるようです。1年かけてこの大会の為に制作を続けてきた車両が大会で走行できないことは辛いですがドライバーの安全を考えると、とても残念ですが仕方ないですよね。

静的審査

静的審査では、車両製造コストや車両設計、製作した車両を自動車メーカーに売り込むという仮想シチュエーションのもとでの車両に関するプレゼンテーションの3点をレポートや質疑応答で評価されます。高いお金をかけてより良い車両を造ることが必ずしもいいことではなく、限られた資金の中で如何に最大限良い車両製作するのかなどのコスト妥当性や車両自体の独創性やどのようなコンセプトで設計を行いどのような工夫を凝らしたのか、また自動車メーカーに売り込むという仮想シチュエーションの為、製作した車両の良さを上手くアピールすることができるのかなども大切です。ここではただ技術が高いだけではなく、その高い技術を相手にわかりやすく伝える力までも求められるのです。

動的審査

動的審査では4種目の競技を行います。まず直線のタイムを競うアクセラレーション。ここでは直線0-75mの加速タイムを競い、加速性能つまりエンジンの性能の評価が行われます。次に8の字旋回のタイムを競うスキッドバッド。ここでは8の字のコースを右回り1周と左回り1周の合計タイムを競い、コーナリング性能つまり重量やサスペンションの動きなどの評価が行われます。そして1周約800mの周回コースで1ラップのタイムを競うオートクロス。ここでは1周約800mの複合コースのタイムを競い、車両のハンドリング性能の評価が行われます。最後にオートクロス同様の周回コースを約20㎞連続走行しタイムを競うエンデュランス。ここでは1周約1㎞複合コースを2人のドライバーが約20㎞を半分ずつ、つまり10周ずつ走り合計タイムを競い、耐久性や燃費、車両の総合評価が行われます。

そして、車検・静的審査・動的審査の全3競技の合計1000点満点の得点で最終順位が決まります。その為ただ速い車両を造ればいいのではなく車両の安全性やコストの妥当性なども必要になります。そしてそれをアピールする力まで求められ、まるで各学校が本物の会社のようですね。

学生フォーミュラの1年間の流れ

各学校によって1年間の流れやチーム構成や班構成なども変わってくると思いますがここでは1例を見てみたいと思います。

班編成

呼び方や編成は大学によって違いますが、車両作成は3班で構成されていることが多いです。まずは吸気・排気・燃料・ECU・電装などの製作を行うエンジン班です。パワートレイン班と呼ばれることもあります。次にフレーム・ブレーキ・サスペンション・ハブ・ステアリング・ドライブシャフト・アップライトなどの製作を行うシャシー班です。そして最後にフロントウィング・リアウィングなどの製作を行うエアロ班です。外装班と呼ばれることもあります。その他にも、各競技毎に班編成が組まれていたり、班の中にまた別の班分けがされている学校もあります。

1年の流れ

目標設定

全日本学生フォーミュラ大会は毎年9月に開催されますので、その年の大会が終了してすぐに翌年の目標を決めます。その年の大会の分析を行い、自分達の足りていない部分や自分達の強みを見つけ、翌年の目標点数の決定を行います。そして目標点数に達する為には、どのようなコンセプトで車両を製作すればいいのかをチームで話し合いを重ね決定します。

設計

3ヶ月ほどかけて車両の設計を行います。三次元CADを用いて、各部品の設計を行います。設計を行うにあたり前年度の車両よりも良い車にしようという考えで設計を行う為、前年度の車の性能を測定し解析を行い、過去のデータと比較検証を重ねより良い部品やパーツを目指して設計解析を繰り返します。

製作

4ヶ月ほどかけて車両の製作を行います。設計したものを基に鉄の部品から製作するものもあれば、スポンサーに部品提供をしてもらいそれを自分達の車両に合わせて加工をすることもあります。そしてフレーム溶接を行い機械加工をし、すり合わせを行います。学校で行える製作は学校で行い、行えない製作はスポンサーのところで部品を造ったりアドバイスをもらいます。スポンサーと言うと資金援助のみを想像しますが、技術を援助して下さったり部品製作を手伝って下さったりと様々な形でサポートして下さるのです。こうして様々な人の力添えがあって1台の車両が完成します。

走行評価

車両が完成したら大会に向けて実際に製作した車両でサーキット走行を行います。実際に走行させることで、見えてくるトラブルやその車両の欠点などの洗い出しを行います。そして見えてきたトラブルや車両の欠点を解消させるために車両に修正を加えていきます。また、各種計測を行い動的審査の4種目に向けて練習を行います。

大会

最後の集大成を見せつける大会です。1年間試行錯誤を重ね、時には仲間とぶつかり合いながらもより良い車両を造ろうと努力を重ねてきたものを見せつける場所です。大会というのでやはり、優勝することが1番です。しかし、勝っても負けてもこの日の為に努力してきたものは裏切らないはずです。

最後に

ものづくりの大会と聞くと少し地味に見えてしまいますが、学生がこの大会の為に1年間試行錯誤を重ね全力をかけて造り出した1台の車両には様々な思いが乗せられているはずです。車好きならきっと楽しめる大会だと思います。2019年に全日本学生フォーミュラ大会から名前が変わり、学生フォーミュラ日本大会になり更なる熱い走りが繰り広げられていくはずです。是非1度観に行ってもらいたい大会です。

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