今回は、フェラーリが誇る5代スペチアーレの中でも最高峰の「エンツォフェラーリ」について紹介したいと思います。スペチアーレとは、フェラーリが限定で生産した非常に希少性の高い車のことを指します。エンツォフェラーリはそのスペチアーレの中でも価格、性能、デザインいずれもトップクラスのマシーンで、フェラーリの中でも伝説的な人気を誇っています。フェラーリ社にとっても創業者の名前をつけるほど思い入れの強い車で、今回はそのエンツォフェラーリの魅力についてお伝えしたいと思います。
エンツォフェラーリとは
5大スペチアーレの最高峰「エンツォフェラーリ」
エンツォフェラーリは、フェラーリ創業55周年を記念して限定生産されたスーパーカーです。288GTO、F40、F50に続く4代目のスペチアーレ(限定生産者)で、発売前はF60と称されていましたが、フェラーリの創業者エンツォフェラーリ(1898-1988)から名前が付けられ話題となりました。世界で399台が限定生産され、日本国内に正規輸入されたのはたったの33台でした。新車価格は約7,850万円で、よほどのお金持ちでないと手を出せない代物でしたが、フェラーリの正規代理店に購入希望者が殺到しました。しかし、お金があるだけではエンツォフェラーリを手にすることはできなかったようです。正規代理店のCORNESが購入条件を設けたためです。その購入条件とは①F40を購入していること②F50を購入していることです。冒頭に紹介したように、F40、F50はエンツォフェラーリと同様にフェラーリが誇るスペチアーレで、フェラーリとの長期的な関係を構築・維持していなければエンツォフェラーリを購入することはできなかったのです。2006年には、ローマ教皇がチャリティーを目的として受注されたことでも話題になりました。
約3秒で100km/hに到達するハイパーマシン
エンツォフェラーリの基本スペックは以下の表の通りです。約3秒で時速100kmに到達し、最高時速は355kmを記録しています。かなりのハイスペックマシーンで素人が運転できるのか不安になりそうですが、ASRという横滑り防止装置が搭載されており、制御不能に陥るリスクを抑えています。
フェラーリ会長が認めた日本人デザイナー
数あるフェラーリ車の中でも、創業者の名前を名付けるほど注力されていたエンツォフェラーリのデザインを手掛けたのは、日本人デザイナーの奥山清行氏です。イタリア人以外でフェラーリのデザインを手掛けたのは奥山氏が史上初です。当時、奥山氏が務めていたピニンファリーナ社は、新しいスペチアーレのデザインをフェラーリから委託されていました。社運をかけたプレゼンでは、フェラーリの会長から認めてもらえなかったのですが、ピニンファリーナ社の社長がフェラーリの会長を15分足止めしている間に奥山氏がデザインを書き上げ、それが会長に認められたのです。後日談ですが、奥山氏はあらかじめデザインを用意しており、自分のデザインを披露するチャンスを狙っていたそうです。また、奥山氏はガンダムからデザインの影響を受けていると明かしています。2016年には、フェイスブックの投稿から奥山氏が念願のエンツォフェラーリを購入したことが判明しました。
発売価格の3倍以上の値で取引されているエンツォフェラーリ
冒頭で説明したように、発売当初の新車価格は7,850万円で売り出されていたエンツォフェラーリですが、現在の海外オークションサイトでは2.5億から3億円で取引されています。5代スペチアーレ(288GTO、F40、F50、エンツォフェラーリ、ラフェラーリ)の中で最高値で取引されており、発売価格の約4倍の価格となっています。仮に7,850万円でエンツォフェラーリを購入し、今まで保有し続けていれば2億円以上の利益を得ることができた計算になります。莫大な初期費用を必要としますが、プレミアムがつくことを見越して高級外車を購入するというのもいいかも知れませんね。
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