今の日本に必要?軽自動車制度はいつまで続くのか

2015年から税金が上がってもなお、日本国内では根強い人気を誇る軽自動車。2018年度の自動車販売ランキングでは1位がホンダのN-BOX、2位がスズキのスペーシア、3位がダイハツのタントと上位3つを軽自動車が独占しています。ここまで人気がある軽自動車ですが、軽自動車という規格があるのは日本だけということを知っていますでしょうか。日本専用の規格であるため日本では売れていても海外では全く売れていません。グローバル化グローバル化と叫ばれている今の時代で、海外では全く意味のない日本だけの規格が未だに存在していて、その規格専用の車を作ることになんの意味があるのでしょうか。今回は軽自動車制度について、果たして今の日本に存在してもいいものなのか語っていきたいと思います。

そもそも軽自動車とはどういう車を指す?

そもそも軽自動車とはどういった車のことを指すのでしょうか?軽自動車について語る上でまずは軽自動車の規格について紹介していきたいと思います。

法で定められた規格

軽自動車という規格は道路運送車両法によって定められています。今現在定められている規格は長さが3.4m以下、幅が1.8m以下、高さが2.0m以下、そして排気量が660cc以下です。このサイズの規格は車の中でもっとも小さな規格であり、すべての条件をクリアしなければ軽自動車として認められません。従って、街中を走っている軽自動車はすべてこの基準を満たした車になっています。小型の輸入車に軽自動車がないのは全長や高さが小さくても全幅や排気量が条件を超えていることが多いためです。基本的に輸入車は海外の基準に沿って車を作っていますからそれも当然かもしれません。この規格は平成10年に制定されたもので、比較的新しくできたものです。それまでは軽自動車はなかったかというとそうではなく、平成10年以前は全長や排気量がさらに小さいものが軽自動車とされていました。

なぜ軽自動車はつくられた?

日本独自の規格となっている軽自動車ですが、なぜ軽自動車という規格がつくられたのでしょうか。なぜ他の国にはなく日本だけなのでしょう。その理由を紐解くため、軽自動車の歴史について見ていきたいと思います。

軽自動車が生まれた当時の日本の背景

軽自動車が生まれたのは1950年代。当時の日本はまだ四輪車が普及しておらず、オート三輪やオートバイなどがメインの乗り物で四輪自動車の普及率は1%を切っていました。そんな中、軽自動車の規格は経済を成長させるための一策として狭い日本の道路事情にも合うように制定されました。しかし、制定された当初は四輪車自体を製作する企業がほぼいない状態だったため、軽自動車という規格を定めてもほとんど普及しませんでした。軽自動車が国民に広く普及されるようになるきっかけとなったのが1955年に現在の経済産業省が掲げた国民車構想です。これは国民に広く普及される大衆車を生産する計画のことで日本だけでなくドイツなどでも実践された政策です。この国民車構想によって四輪車を製作する企業が一気に増え、その中でも特に大衆車として優秀だったスバル360によって軽自動車は急速に普及していきます。

日本の軽自動車が他国の大衆車と違い生き残れたわけ

国民車構想はドイツでも実践されたとお話ししましたが、もちろん国民に普及する小さくて安価な車を作ろうとしたのは日本だけではありません。しかし、今現在も国民車構想の規格が残っているのは日本だけです。それは何故なのでしょうか。その理由として、決められた規格の中で様々な種類の車を作る技術力があったということが挙げられます。日本の軽自動車は単に生活の足として近所の道路を走るだけではなく商業にも利用できるように荷物を多く乗せることのできる車を開発したり、アウトドアも楽しめるようにオフロードの走行性能を高めた車を開発したりと小さな大衆車に車種の幅を持たせました。これが、他国の大衆車と違い今もなお日本に大衆車の規格が残っている理由です。

最近の軽自動車の傾向

https://www.daihatsu.co.jp/lineup/wake/03_exterior.htm

ここまでは昔の軽自動車について、そしてなぜ今も軽自動車としての規格が残っているのかということについて見てきました。今までお話ししたことを踏まえた上でここからは最近の軽自動車の傾向を見ていきたいと思います。

加速する価格と車高の上昇

車高の上昇

最近の軽自動車の傾向として顕著に見られるのが高くなり続ける車高と価格です。車高はスズキのワゴンRが火付け役となり車高が高くなる波は加速していきます。ワゴンRでは軽自動車の室内の狭さを補うため、それまでの軽自動車の車高を大きく上回る1640mmという高さを実現したことにより軽自動車ながら圧倒的な室内の広さを確保することに成功しました。そしてそこからは他の企業もそれに続きホンダのN-BOXが1750mm、さらにダイハツのウェイクが1835mmと今ではなんだか車高をどこまで高くできるかの競技のようにもなっています。

価格の上昇

車高の上昇とともに高くなっているのが軽自動車の価格。車高を高くするとなると横風にあおられないように足回りのパーツを強化したりと、ある程度安定した走行を可能にするためには必然的に車両本体価格が上がってしまいます。ひと昔前の軽自動車では100万円を切るのが当たり前くらいの価格帯に大体が集まっていましたが、今では160万円以上にまで価格は上昇、さらに実際に買うとなるとオプションなどもつけて合計200万円は超えてしまいます。軽自動車は安いという常識はなくなりつつあるのです。

なくなる軽自動車と小型乗用車との境目

車高の上昇、そしてそれによる価格の上昇、この二つが高くなることによってなくなるのが小型乗用車と軽自動車との境目です。実際に今現在発売されている車の車両本体価格を見てみると、今一番売れている軽自動車のN-BOXの価格が160万〜200万程度、今一番人気のコンパクトカーのノートが140万〜240万程度と車を買う際に重要な価格面での差はほぼなくなってきています。

トヨタやマツダなど大手企業が参入しないわけ

街中でみる軽自動車はどれもダイハツやスズキ、ホンダばかりでトヨタやマツダなど普通乗用車で大きなシェアをしめている企業が少ないことに気づくでしょう。実は、トヨタに関しては軽自動車を販売していないわけではないのですが、OEM供給によって販売しているため本格的に軽自動車に力を入れているというわけではありません。では、なぜ参入しないのでしょうか。

日本車市場の異常なガラパゴス化を懸念

この記事の冒頭で少しお話しした通り、軽自動車という規格は日本独自の規格です。大手企業が参入しない理由としてこの日本独自の規格というところがネックになっています。最近の日本の車市場は軽自動車ばかりが売れるため多くの企業がもっと軽自動車の規格にそった車を作ろうと日本独自の方向へ進化しています。これが大手企業が懸念をしている日本車市場のガラパゴス化を起こします。日本は技術だけなら世界でもトップレベルの技術を持っています。大手企業は特にそうです。そのような世界トップレベルの技術があるにも関わらず、日本だけで車を売っていたのでは利益は上がりませんし、世界とも勝負できません。そのため大手企業は日本国内で大きなシェアを占めている軽自動車を捨ててでも海外でも通用する普通車の製造を優先するのです。

軽自動車は現代の日本に必要?

ここまで見てきていかがでしたでしょうか。国民誰もが車を持てるようにするという国民車構想によって制定された軽自動車という規格ですが、今の日本に必要でしょうか?昔は道路もあまり舗装されておらず、とても狭い道を通れるように車を作らなければいけなかったでしょう。しかし、今はどこも道路はきちんと舗装されていますし「軽自動車じゃなきゃ通れない!」なんて道はほとんどありません。日本車でなくても輸入車のコンパクトカーほどのサイズであれば特になんの支障もなく生活できるはずです。であれば、もはや軽自動車と小型乗用車の差なんてほぼほぼなくなってきているのですから、日本車市場のガラパゴス化を避けるため、日本の車の技術を世界にもっと広めるため、軽自動車だけ税金を安くするなんて制度はなくしてもいいかもしれません。いつの日か、軽自動車という名前がなくなる日がくるのでしょうか…。

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