電気自動車業界の風雲児NIOはどんな会社?

昔からピークオイルという考えがありました。世界全体の石油など燃料の生産が限界を迎えて減衰していくという考え方です。この考え方を元に様々な議論がなされ、新しい技術が生み出されました。その結果ピークオイル・ディマインドという考えが生まれます。シェールガスの発掘技術が発達し、石油燃料から天然ガスへと転換するという考えです。

世界各国がガソリン車の廃止を進めています。フランスは2040年を最後に、ガソリン車とディーゼル車の販売を禁止する政策を発表しました。オランダは2025年までにガソリン車の販売を禁止する動きがあり、近い将来大衆向けのガソリン車がなくなると言われています。

世界中でガソリン車を無くす政策が発表されているのに対し、EVのみを生産しているメーカーはテスラ以外ほとんどありませんでした。今回はそんな中、突如として現れたNIOについて紹介していこうと思います。

中国の新興EVメーカーNIOとは?

創業2014年の新興ベンチャー企業NIO


NIOは2014年に上海で生まれた新興EVメーカーです。独自開発のEVカーが現段階で3モデル販売されています。EVの中でも性能が高く、他のメーカーと正面から勝負できる技術力があります。EVカーとしての標準的な性能も高いですが、電気自動車のバッテリーを瞬時に交換する技術の開発に成功していて、その技術力の高さがわかります。このバッテリー交換装置は中国の主要都市に設置されています。バッテリー交換技術は様々なEVメーカーがチャレンジしてきました。ほとんどの企業は普及する段階で軌道に乗らず失敗してきた技術です。

NIOはEVメーカーの得意としないコンセプトであるEVカーのスピードを求めて開発しています。EVメーカーの中ではその姿勢が珍しく有名になりました。その姿勢が買われテンセント、シャオミ、レノボといった中国の大企業から資金提供を集め、フォーミュラEに参戦するなど活躍の幅は広いです。

フォーミュラEでは初代優勝


NIOは中国の有名企業から資金を集め、EV業界のF1とされるフォーミュラEに初出場しました。ファーストドライバーとしてルソン・ピケ・Jrを起用するなど話題になりました。その年に行われたフォーミュラEの11大会中2勝を収め、初代ドライバーズチャンピオンを勝ち取る快挙を達成しました。

ニュルブルクリンクで最速記録も更新

NIOが開発したEP9は2ドア・クーペのスポーツカーで、各車輪にモーターが1機ずつ搭載されていて4輪駆動するスーパーEVです。2017年EP9はニュルブルクリンクでタイムアタックを行い、ランボルギーニ・ウラカン・ペルフォルマンテが保持していた最速タイムを6秒以上も上回り、6分45秒90を叩き出しました。スーパーEVとして申し分の無い性能を持ったEP9ですが、生産台数は6台と少なく価格が120万ドルでかなり高価です。

NIO独自の技術力

バッテリースワップステーション

NIOが他のEVメーカーと大きく違うのはエコシステムのバッテリー交換方式です。NIOが販売するES8のバッテリー交換は3分ほどで完了します。もちろん今の急速充電技術も発達しています。しかし、直接バッテリーを交換する方が早いというのが現状です。NIOのバッテリーステーションはすでに中国の主要都市を中心に展開しています。中国は広大な土地なので全ての地域をカバーできているわけではありません。もし道中でバッテリーが切れた時はロードサービスでバッテリーを交換してくれるので安心です。

様々な製品で使われるようになったバッテリーですが、何年も使用すると劣化し走行できる距離も少なくなります。バッテリーはある程度使用したら交換する必要があり費用がかかります。バッテリーの電力が無くなるたびに毎回新しいバッテリーに交換でき、走行できる距離が短くなる心配もなく、消費者として嬉しいのではないでしょうか。もしこのバッテリー交換技術が一般層に広がれば、NIOがテスラを超える日が来るかもしれません。

音声認証NOMIで車の装備を操作するだけじゃ無い?


NIOが販売する最近の車種にはNOMIと言う名前のAIが搭載されています。他社のAIと違い音声で操作するだけのAIとは違います。ダッシュボード部分にある丸い液晶に写っていて、AIは話しかけた人の方向を向いてくれます。表情も豊かで会話中にいいねをしてくれることもあり、1人で運転するときもさみしくなくなるかもしれません。

しかし、現段階では英語と中国語しか対応していないので、日本語で会話できるのは遠い未来かもしれないです。フォルクスワーゲンやメルセデスベンツなどにもAIが搭載されていますが、いち早く市販化されたのはNOMIでした。NIOの開発するAIはSiriや他の人工知能とは違った体験を提供してくれます。

NIOの今後はどうなる?

テスラとの差別化

NIOは新しいテクノロジーとコンセプトを武器として、業界を変えようとしているところが中国版テスラと言われる由来です。事業自体はEV製品を製作、販売しているので似ています。しかし、テスラとNIOの事業を細かく分けると共通点があまり無いことがわかります。NIOはテスラと差別化しており、独自路線のコンセプトの製品が多いです。NIOが最終的に提供したいものは移動する生活空間であると話しています。自動運転があれば寝たり映画を見ることも可能です。移動中に会議などもできるので生産性がかなり向上します。快適でハイテクな空間は全てエコシステム内で可能になるとしています。

エコシステムの一部であるNIOハウスでは新たな価値をユーザーに提供する場所となっています。この施設では自動車以外の書籍など幅広く用意されていて、様々な読書を楽しめます。コーヒーを飲みながらミーティングや子供が遊ぶ場所もあります。NIOハウスはブランドとしての価値を高めていて、ユーザーとの距離を短くするための高価的な方法だと話しています。

開発費や外部委託による赤字

NIOは2018年12月期の純損益は96億元の大赤字で、2019年3月期も26億元の赤字でした。新しい製品の開発費用や外部委託の経費がかさんだのが原因です。NIOは自社製品を外部委託しており、自社工場を持っていませんでした。2019年5月に中国の政治系ファウンドから100億元の資金調達しました。新興EVメーカーは基本的に開発が主体で動いており、自社で工場を持たずほとんど外部委託で生産しています。NIOは現在委託している会社の代わりとなる新会社を設立し、自社で工場を持つことでコストカットと他社との差別化を実現できるとしています。技術の流出も外部委託と比べて少なくなるのでセキュリティ面も強化できると思います。

これからNIOが狙う市場は?

NIOは自社製品の中国国内販売台数がテスラの納車台数を超えたとされています。自社製品のES8はテスラのモデルXと直接競合であると述べています。NIOのES8の販売価格はテスラのモデルXと比べて半額以下で販売されています。NIOのエコシステムから考えるとテスラよりも環境が優れていると考えられます。環境に対して関心のある中国の消費者に向けてブランド育成し、惜しまず努力してきたNIOは十分にテスラの脅威になると考えられます。中国市場から世界市場にマーケットを広げたNIOの活躍が見ものです。

今後大手自動車会社が参入する予定のEV業界は変革の時であると思います。NIOのバッテリー交換技術はEVカーの常識を変えて、我々の生活をより快適なものに変えてくれることでしょう。


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