「ロールスロイスは壊れない車」超高級車と航空機用エンジン

超高級車の代名詞「ロールス・ロイス」。

実は自動車だけではなく、航空機用エンジンの会社として長い歴史を持ち、今でも大出力ジェットエンジンを作れる数少ない企業の一つである事はご存知ですか?
今回は航空機用エンジンメーカーとしての「ロールス・ロイス」をご紹介します。

大英帝国の象徴として

1906年にチャールズ・スチュアート・ロールズとフレデリック・ヘンリー・ロイスの二人によって設立されたロールス・ロイス社は、第二次大戦前から大英帝国(イギリス)が誇る高級乗用車と航空機用エンジンの会社として知られていました。

戦後もロールス・ロイスは超高級車を作り続け、その圧倒的とも言える品質の高さとブランド力から、以下のような逸話が生まれました。

サハラ砂漠の真ん中で、一台のロールス・ロイスが故障した。運転していた紳士がロールス・ロイス社のサポートセンターに連絡すると、ただちにヘリコプターでサービス隊が到着し、瞬く間に修理を終えて飛び立っていった。 感心した紳士がサポートセンターに電話し、修理代を尋ねると、そのような記録は無いので受け取れないという。理由を尋ねた紳士に、担当者はただ一言。「ロールス・ロイスは壊れません。」

いかがですか?戦後に没落の一歩をたどった大英帝国にとって、失われつつ栄光が、確かにそこにあった事を象徴するエピソードの一つとしてたびたび紹介されるジョークです。
(なお、このジョークには時代や場所、駆けつけるサービス隊の輸送手段などで、いくつかバリエーションがあります)
しかし、ロールス・ロイスならそうかもしれない、と不思議に納得してしまいそうです。

二つに分かれた「ロールス・ロイス」の紆余曲折

しかし、そうした歴史と伝統、そして格式のためにロールス・ロイスは近代化や技術革新の機会を失ってしまいました。
自動車だけでなく航空機用エンジンの開発でも損失を抱えた同社は、1971年に国営化され、1973年には自動車部門が「ロールス・ロイス・モーターズ」として重工業メーカーのヴィッカースに売却されます。
その後、紆余曲折を経て現在ではBMW傘下の「ロールス・ロイス・モーター・カーズ」となったのでした。

一方、国営企業としてその後も航空機用エンジンメーカーの道を歩んだ「ロールス・ロイス」は、1987年に再度の民営化を果たし、「ロールス・ロイス・ホールディング」となりました。
以下に、ロールス・ロイスの傑作エンジンの数々から、代表作を紹介しましょう。

大英帝国を救った「マーリン」

ロールス・ロイスの航空機用エンジンの代表作で、不朽の名作と言えるのが「マーリン」です。

この液冷V型12気筒二段二速スーパーチャージャー付きエンジンは、1930年代半ばに生まれ、スーパーマリン社の「スピットファイア」という戦闘機に採用されました。

その後1940年にナチス・ドイツによる英本土大爆撃「バトル・オブ・ブリテン」が勃発し、大英帝国は存亡の危機に瀕します。
その時、「スピットファイア」と、同じく「マーリン」を搭載したホーカー社の「ハリケーン」が死に物狂いでドイツ空軍を迎撃し、見事に守りきりました。
大英帝国の救世主「スピットファイア」「ハリケーン」に搭載され、その高性能を支えた「マーリン」の名声は一気に高まったのです。

その後も、米ノースアメリカン社が作った、今ひとつパっとしない戦闘機「P-51マスタング」のエンジンを「マーリン」に換装したところ、それだけで機体が本来持つポテンシャルを引き出し、「史上最高の戦闘機」になるなど、傑作エンジンとして多くのエピソードを持つようになります。

日本でも戦時中にドイツのダイムラー・ベンツの液冷エンジンの国産化に失敗したため、「マーリン」は航空機開発技師にとって、憧れの存在だったそうです。

「YS-11」にも搭載された「ダート」

日本人にとってのロールス・ロイスのエンジンとしては、「ダート」が馴染み深いです。
端的に言えば「ジェットエンジンを動力源として駆動するガスタービンエンジンの一種」なのがターボブロップエンジンです。
その世界初の実用機が「ダート」で、1947年に開発されてから70年近い今でも実用エンジンとして使われ、日本初の国産旅客機「YS-11」の動力でもあります。

苦戦から這い上がったジェットエンジン

イギリスはドイツと並んで草創期のジェットエンジンを開発しており、ロールス・ロイスも「エイヴォン」などロングセラーとなるヒットモデルをいくつか開発しました。
1970年には米ロッキードの旅客機「トライスラー」用の新エンジン開発が難航したため経営危機に陥り、国有化の原因ともなりますが、その後「RB211」として完成してボーイングの「747」など旅客機用エンジンとして長く使われました。
現在では後継エンジンである「トレント」が、ボーイング「B777」やエアバス「A380」などに採用されています。

こうした苦労の甲斐があり、今では米のGEやP&Wと並び、大型のジェットエンジンを開発できる数少ないメーカーとして「ロールス・ロイス」は生き残っているのです。

世界で初めて成功した、VTOL専用エンジン「ペガサス」

ロールス・ロイスの偉大な功績の一つが、「世界初の実用VTOL(垂直離着陸)機」として英ホーカーシドレー社が開発した攻撃機「ハリアー」用エンジン「ペガサス」です。
4つの方向可変式ノズルを持つ「ペガサス」の成功で「ハリアー」の実用化に道が開かれ、現在でも米海兵隊やスペイン海軍などの「ハリアー」派生型で使用されています。
なお、VTOLのジェット戦闘/攻撃機そのものが、現在まで「ハリアー」と旧ソ連の「フォージャー」くらいしか実用化にこぎつけていません(米のF-35Bはまだ開発中)。
飛行機の実用化にはエンジンの成功が大きな鍵を握る事から、ロールス・ロイスの技術力と貢献度の高さが伺えます。

まとめ

いかがでしたか?
普段の生活の中ではご縁があまり無い超高級車の「ロールス・ロイス」ですが、皆さんが乗っている飛行機のエンジンは「ロールス・ロイス」かもしれません。
旅客機などは航空会社によってエンジンが違ったりしますので、その会社で使っている飛行機が、どちらのエンジンを積んでいるかに興味を持ってもいいかもしれません。
もちろん日本の航空会社の飛行機は、ロールス・ロイスのエンジンも使っています!

「ロールスロイスは壊れない」

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