【映画と車】お前らのやってる事は、全部お見通しだ!トヨタ・パブリカ in TRICK~劇場版~

長身の阿部寛の愛車はなぜか40年落ちのトヨタ・パブリカ

「TRICK」シリーズで阿部寛扮する上田教授の愛車として登場するのが初代トヨタ・パブリカです。

全高1,380mmの旧車を、身長190cmの上田教授が窮屈そうに運転するアンバランスさが味を出しています。
この車は1965年式のパブリカデラックスUP10-D型、メドウ・グリーンのボディ・カラーは純正色ではありません。

”次郎号”と名付けられたこのパブリカですが、奈緒子(仲間由紀恵)にサイドミラーを破壊され、ドラマ版ではドアが外れるなど、回を追う毎にボロボロ度に拍車が…
しかし上田教授はこの車に魔改造?を施し、シリーズの終盤ではなんと自動運転が可能なハイブリッド車になっています。
尊敬する恩師から譲り受けたこの車を、上田教授は最後まで愛着を持ち大切にしていました。

トヨタのクルマづくりの原点となったパブリカ

戦後の混乱から立ち直り、日本経済が高度成長前夜にあった1955年。
当時の通商産業業(現:経産省)は近い将来のモータリゼーション時代を予期し、「国民車育成要綱案」を立案します。
その内容は以下のようなものでした

・4名が搭乗した状態で時速100kmが出せる(ただし、定員のうち2名は、子供でもよい) ・時速60kmで走行した場合、1リッターのガソリンで30kmは走れる ・月産3,000台(構造が複雑ではなく、生産しやすいこと) ・工場原価15万円/販売価格25万円以下 ・排気量350 – 500cc ・走行距離が10万km以上となっても、大きな修理を必要としないこと ・1958年秋には生産開始できることja.wikipedia.org

しかし1961年、経済成長のまっただ中に生まれたパブリカは販売数を伸ばすことができませんでした。
走行性能は高いものの内装・外観ともに質素なパブリカは、より車に豪華さを求め始めていた大衆のニーズとのズレが大きかったのです。

そのため2年後のマイナーチェンジでは外観・内装のグレードアップを図った「デラックス仕様」が用意され、これでパブリカの販売は軌道に乗ります。
「大衆ニーズにあった車づくり」の必要性を反省したトヨタは、この失敗をカローラの企画・設計・販売に活かしていきました。

1969年に登場した2代目パブリカは、ターゲットを若い世代(団塊の世代)へ変更します。

エントリーカーとしてただ安いだけではなく、スタイリッシュなファストバッククーペとして売りだしたのです。
ただし、そうなると本来の役割である「大衆車」からブランドイメージが剥離していってしまい、また大衆車市場はすでにカローラや日産・サニーにシェアを奪われていました。

そこでトヨタはパブリカブランドを捨て、よりスポーティさを追求した「スターレット」に移行することとなりました。

「現場主義」を貫く、それがトヨタ車だ!

その後スターレットはコンパクトカー「ヴィッツ」に受け継がれ、大ヒット作となります。

コンパクトながら広々とした居住空間、女性でも扱いやすい操作性、燃費性能の良さ…
トヨタは販売や向上の現場で上がってきたフィードバックを分析し、その時代に合った車を作ることでトップに降臨し続けています。

トヨタは「カイゼン」など生産効率の良さが強調されがちです。
しかし本当のトヨタの魅力は現場の声を第一に、時代のニーズを先読みした車を企画し実現する力にあります。

トヨタがパブリカで学んだことは、50年以上経った今でも生かされています。


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