VWのR、それはニュービートルRSiから始まった
フォルクスワーゲン(以下、VW)では、初代ゴルフの頃からホットハッチ的なGTI、あるいは大排気量版のゴルフVR6など、スポーティ、あるいは高級版のグレードをラインナップしてきました。 しかし、それらとは一線を画しつつ高性能・高品質を高いレベルで統合したようなモデルが2001年、ニュービートルRSiとして登場しました。 通常のニュービートルに対し、そのファニーフェイスと似合わぬ225馬力の3.2リッターV6エンジンを搭載、そのパワーに見合うよう拡幅されたフェンダーや大型バンパーとスポイラー、そして4-MOTIONと呼ばれるVW独自の4WDシステムを備えていました。 ニュービートルにとどまらず、従来のVW車のイメージを一新するような特異なモデルだったRSiですが、これこそが21世紀のVWにおける「R」シリーズの始まりです。
2000年代のVW高性能車群を構成したRシリーズ
ニュービートルRSiに続き、Rシリーズ第2弾として4代目ゴルフに同じエンジンを搭載したゴルフR32が登場しました。 第1弾に比べ外観の変更点は控えめで、いわば「羊の皮を被った狼」的なモデルに近づいていますが、足回りやタイヤ、内装の違いや2本出しマフラーでちょっと見ればすぐわかる雰囲気を持っており、以後のRシリーズはこの路線が定着します。 その後も3.6リッターV6エンジンを搭載したパサートR36、4.9リッターV6ディーゼルターボをパワーアップしたSUVのトゥアレグR50が2000年代のRシリーズを構成しました。 特にトゥアレグR50は兄弟車のポルシェ カイエンにも無い高出力ターボディーゼルの搭載で、カイエンに対して明確にキャラクターの違いを出しています。 トゥアレグでは他にも、Rシリーズではありませんがやはりカイエン未搭載の6リッターW12エンジン搭載のW12 SPORTがあります。
2010年代のRシリーズは新世代高性能「R」ゴルフR とシロッコR
2010年代に入ると、6代目ゴルフおよび復活したシロッコにそれぞれゴルフR / シロッコRが設定されました。 エンジンは2リッター直4TSIに更新されたものの、現行7代目ゴルフRでは280馬力に達しており、地味ながら高性能4WDターボのコンパクトスポーツとなっています。 シロッコRは2014年3月で日本での販売を終了しましたが、代わって7代目ゴルフRではステーションワゴン版にもゴルフR・ヴァリアントとして設定しており、現在のVW高性能車はこの2車種です。
「R」とはまた別に、スタイルで表現した「Rライン」
なお、VWではゴルフRを継続しつつも、そのRの由来「Racing」に見合ったモデルは少なく、あくまで大衆車メーカーとしては本格的高性能車は同グループのアウディに任せれば良い、という思惑でもあったのでしょうか。 「R」シリーズと似たような「Rライン」を各車種で展開しています。 高性能エンジンと専用サスペンションなどで優れた走行性能を発揮する「R」シリーズとは異なり、Rラインはあくまで格好のみ。 エンジンは通常モデルと同じで、ディフューザーを含むエアロやアルミホイール、シートやステアリングにRライン専用のものを使った、雰囲気だけでもレーシーさを味わいたいという人向けの「R」です。 ゴルフのように1.4リッターTSIエンジンを搭載していればすぐわかるのですが、パサートのように2リッターTSIエンジン(ただし高出力版ではない)を搭載したRラインもあって、若干紛らわしいですが、「R」シリーズと「Rライン」はあくまで別物です。 Rシリーズほど高性能を求めなければ、Rラインでも十分というユーザーは多いのではないでしょうか。
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