車の顔がどれも同じ?マツダから見る製品に個性を出さない理由

近年の発売されている車は昔の車と比べて個性が消えてきたと思いませんか?筆者はそう感じています。最近だとマツダ車のフロントマスクが全て統一されて車の名称も変更されました。他の競合企業ではスバルのレヴォーグやWRXのフロントマスクが似ていたり、トヨタ車はほとんど86のフロントマスクに似ています。ただ単にフロントマスクを統一するのは手抜きに感じてしまうので何か裏に戦略があると思います。今回は完全一致ではないものの、似たようなデザインへと統一されてきた理由を探っていきたいと思います。

マツダを追い込んだ5チャンネル体制

かつてマツダは5チャンネル体制という戦略で車を製造していました。5チャンネル体制とは1989年からマツダが展開していた販売戦略のことを言います。この戦略は後世に語り継がれるような名車を生み出しましたが今ではマツダの黒歴史として語られています。

マツダの5チャンネル体制とは?

5つのチャンネルを展開することによりラインナップを増やし、車の販売網を強化しようとしていました。5つのチャンネルはマツダ、アンフィニ、ユーノス、オートザム、オートラマの5つの販売店を中心にラインナップが販売されていました。アンフィニではRX-7やユーノスのロードスターなど各販売店毎に取り扱う車種が違いました。また、マツダの販売店でありながらシトロエンやフォードの車を取り扱っていたのも特徴です。

失敗した5チャンネル体制

RX-7やロードスターといった有名なスポーツカーを世に送り出した5チャンネル体制ですが、この戦略は失敗に終わります。原因は様々ですが自社製品のブランドを差別化できていない状態でチャンネル自体を増やそうとしたのが原因だと考えられています。ラインナップの性能面で差別化がうまくできておらず、一部の製品のみ人気がある状態でした。そんな中バブルが崩壊し景気の悪化がマツダに追い打ちをかける悲惨な状況へと追い込まれていきました。

現在ではこれらのチャンネルは合わさりマツダ店、マツダアンフィニ店、マツダオートザム店の3つの展開となっています。マツダ店はメインのディーラーでマツダが販売する車を幅広く揃えています。マツダアンフィニ店はユーノスとアンフィニが合わさりできたディーラーです。このマツダアンフィニ店ではマツダの全車を幅広く取り扱っているディーラーです。マツダオートザム店は軽自動車やミニバン専門ディーラーでしたがロードスターなども取り扱っています。時代背景やデザイン統一などの面から見てもこれらのディーラーの垣根は近い将来無くなっていくことが予想されます。

統一される車のデザイン

近年車の顔は一部のメーカーではありますがデザインが統一される傾向があり、メーカー独自の個性を発揮しています。しかし、デザイン統一によって一つの車としての個性が消えてしまっているように感じます。最近発表されたマツダの新車からどのように車のフロントマスクを統一しているのかを確認してきます。

マツダ2から見るデザイン

https://www.mazda.co.jp/cars/mazda2/grade/

かつて日本国内でデミオとして発売されていた車ですが今回のデザイン統一により車のネーミングもマツダ2と変更されました。上質なパーソナルカーをコンセプトに開発されたマツダ2は魂動デザインが導入されていて、フロントマスクが他の車種と統一されたのが大きな変更点です。フロントマスクが統一されたのはコモンアーキテクスチャーというマツダの新しい戦略が関係しています。

マツダ2は5チャンネル体制の時代と比べてデザインの差別化はされていません。現在のマツダは性能面や使用する用途で差別化されており一つ一つの車がニーズを捉えてより多くの人のライフスタイルに当てはまるような車が多く揃っています。

ミニマリストのような商品ラインナップ

ミニマリストとは持ち物を最小限に減らし、必要最小限なものだけで生活する人を表していています。単なる断捨離ではありません。ミニマリストは一つの目標に集中するために他の選択にかける思考する時間を減らします。その中の思考する時間を減らす一つの手段が断捨離であり断捨離はメインの考えではありません。Appleを創業したスティーブ・ジョブズもミニマリストで有名です。デザイン統一を目指すマツダやその他メーカーはミニマリスト的な考えが裏にあるのではないかと考えます。そのミニマリスト的思考が製品ラインナップにも当てはまり取り入れられていると感じます。

製品ラインナップから自らのニーズに合った車を選択することに集中できるようにデザインを統一することで消費者は製品の選択に注力でき、自分のライフスタイルに合った車を選択することに集中できるのではと考えます。

同じデザインを採用する理由

5チャンネル体制のようにデザインを統一するのには必ず何らかの戦略が存在します。その戦略を探りデザインを統一する理由、なぜフロントマスクが似ているのかを探っていきたいと思います。

失敗から生み出されたコモンアーキテクスチャー

コモンアーキテクスチャーは5チャンネル体制の失敗から作り出された戦略です。コモンアーキテクスチャーは車の部品共有を意味します。マツダが最低限護りたい製品ラインナップは8車種あり、どれも切り離すことはできないです。しかし8車種分のパーツをただ単に部品を共有するだけだと、各車ごとの最適化は不可能に近く製品としてのクオリティも下がります。ただ部品を最適化するのではなく設計から製造までを一貫して最適化することで不可能と思われていた工場の稼働率を上げることに成功しました。

マツダの車の顔が同じなのはこの戦略の一部が関係しています。マツダが販売している全体の車の数はトヨタプリウスと同じ台数であり、そんな中見た目に変化を与えても、圧倒的に販売台数のある他社製の車の中に埋もれてしまい消費者に伝わりにくいです。このことからデザインを統一することで競合他社と引けを取らない見た目のインパクトを生み出し、なおかつ部品の共有化も達成できます。

一貫した生産ラインでコスト削減

コモンアーキテクスチャーで部品が共有化されたことで各車種は同じメカニズムで動いており、工場の効率化も実現し生産コストが抑えられるようになりました。また部品共有のおかげで一つの製品がアップデートされると他の製品も一緒にアップデートしやすくなります。一緒に製品をアップデートすることで1つの車種だけなかなかアップデートされないなどの悲劇は無くなります。部品共有化の恩恵は単にコストパフォーマンスが良くなっただけではなく、部品やメカニズムの共有による運転間隔の統一感も生まれました。

自動車業界のトップと争うための戦略であるコモンアーキテクスチャーは過去の失敗から生み出された戦略であり、そのノウハウは確実に生かされています。デザイン統一により昔のような一つのメーカーの中で好きなデザインの車を選ぶ楽しみはなくなりました。しかし、そのデザイン性に惚れてしまえば同じデザインでもSUVやセダンを選べるのメリットもあります。規格統一でより良い製品を生み出しやすくなり、消費者にとって企業にとってより良い未来が待っているのではと思っています。


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