ルパンが愛用していたチンクエチェント!
その最新版のご紹介!!
チンクチェント再び
アニメ「ルパン三世」で日本人に大人気になったのが2代目フィアット500「チンクチェント」です。
「ルパン三世」の新シリーズでも、もはや必須アイテムのように堂々と登場しています。
しかし、「チンクチェント」が好きなのは日本人だけではありません。
むしろイタリア人の方が大好きなのです。
そのため、「チンクチェント」の登場50周年にちなみ、デザインをそのまま使った4代目フィアット500が2007年に登場しました。
その名も同様の「チンクチェント」です。
ここでは便宜上「ニューチンク」と呼びます。
最新の技術を使いながら、チンクチェントそのもの
「ニューチンク」は現代の車であり、フォードの「Ka」や同じフィアットの「パンダ」とプラットフォームを共有する、FF車です。
それにも関わらず、そのスタイルは誰がどう見ても「チンクチェント」そのものなのが大きな特徴です。
かつての名車のリメイクとしてはフォルクスワーゲンの「ビートル」やBMWの「ミニ」という前例がありますが、チンクチェントの徹底ぶりは凄まじいものです。
まず4人乗りではありますが、「チンクチェント」のスタイルを忠実に再現した結果、リアシートは非常に狭いものとなりました。
「チンクチェント」を再現した上で、現代の衝突安全基準をクリアしたのですから仕方がありませんね。
ただし、助手席を極力前進させる事で、助手席の後ろは何とか座れる「トレピウーノ・コンセプト」を採用しました。
「トレピウーノ・コンセプト」とはイタリア語で「3+1」という意味で、3人乗りプラス1人どうにか…という事です。
このコンセプトそのものは、トヨタも「iQ」で同様のものを採用しています。
エンジンも「チンクチェント」そのもの
「ニューチンク」のエンジンは「パンダ」とも共有する1200cc/1400ccの水冷直列4気筒ガソリンエンジンと、1300ccの水冷直列4気筒ディーゼルターボエンジンで始まりました。
これでは「チンクチェント」らしくないかもしれない…とイタリア人は考えたのかもしれません。
すぐに「ツインエア」という新しいエンジンが追加されました。
「チンクチェント」のエンジンはやはり空冷2気筒エンジンですから、「ツインエア」なのでしょうか。
いいえ、「ニューチンク」は現代の車ですから、昔のエンジンをそのまま積んだわけではありません。
「ツインエア」は875cc水冷直列2気筒ガソリンターボエンジンなのです。
排気量が小さくとも、ターボチャージャーのおかげで85馬力を発生しますし、燃費も良いので、「チンクチェント」の2倍、1tを超える車重の「ニューチンク」を軽々と走らせます。
しかし、2気筒エンジンなので振動はつきものです。
日本でもダイハツが軽自動車用に2気筒エンジンを開発していますが、1000ccまで拡大してコンパクトカーに転用した時の震動がトヨタの基準では許容できないので、なかなか実用化に至らないと言われています。
でも、「ニューチンク」の場合は、その震動すら「チンクチェント」らしい!という事になるのです。
「車とは、何でもただ広くて快適でいいわけでは無い」ということでしょうか。
チューニングはもちろん「アバルト」
「チンクチェント」のチューニングモデルと言えば「アバルト」です。
「ニューチンク」でも、もちろんアバルトモデルが存在します。
それも以前と同じ「アバルト595」と「アバルト695」というハイパフォーマンスモデルが存在するのですから、「チンクチェント」ファンにはたまりません。
普段は午後も早い時間に仕事を終えて、カフェでナンパに精を出すと言われるイタリア人ですが、本気を出した時の仕事の徹底ぶりは日本人の及ぶところではありません。
しかも新しい提案として、高級車メーカーの「マセラティ」とのコラボレーションモデル「アバルト695エディツィオーネマセラティ」や、フェラーリとのコラボレーションモデル「アバルト695トリブートフェラーリ」まであります。
まるでイタリアという国が総出で「チンクチェント万歳!」と復活を喜んでいるような状態なのかとすら思えます。
イタリア人が本気を出した結果として、過去の名車のリバイバルとしてはもっとも徹底された「ニューチンク」。
日本の自動車メーカーも過去の名車のコンセプトを再現したと謳う車を作る事があります。
でも、大抵はデザインを現代風にして、過去の名残がどこにも感じられないものが多いです。
そうしないと居住性や実用性が…と言いたいのはわかるのですが、それなら最初からリメイクモデルなど作らなければいいだけの話です。
過去の名車を再現するのであれば、過去の名残を感じれるものにしてほしいものです。
そしてそんな名残を感じるせっかくの「ニューチンク」なので、「ルパン三世」の新シリーズにも登場しないかな…と、密かに期待しています。