【ドイツの自動車市場】ドイツもフォードの本場です(前編)

ヨーロッパ・フォード

2016年1月末。今年いっぱいで、フォードが日本市場から完全に撤退することが発表されました。突然のニュースでした。
1900年代初期からの永きに渡り、日本でフォード車が販売されてきたことを思えば、これは非常に寂しい出来事です。

メーカーの再編がグローバルに進んでいるとは言え、特にここ10年ほどの日本では、外国車ブランドの撤退や規模縮小が顕著に見て取れます。もちろん、メルセデスベンツなど一部の勢力は日本でも販売を伸ばしているため、一概に外車が売れていないとは言えませんし、実際輸入車は今でも街中で数多く見かけます。

しかし元来島国であり、しかも国内でたいていのことはまかなえるこの日本においては、 海外のクルマを含めた上での、市場における「多様性」は、どうしても乏しくなりがちです。

このコーナーでは、ドイツ市場を見たときに感じられる「多様性」というキーワードをも念頭に置きつつ、ストーリーを展開して行きたいと思います。そこでこのたびは、2回連続で、ヨーロッパ・フォードを取り上げることにします。

フォード=アメ車?

日本で「フォード」と聞くと、いわゆる「アメ車」を想像されるケースも多いようですが、我が国で正規販売中のフォードには、大きく分けて北米からの車群と、ヨーロッパからの車群があります。 (2003年までは、日本フォードという、マツダからOEM供給された国内専用モデルの車群もあったものでした。)

つまり同じフォード車と言えども、アメリカ向けとヨーロッパ向けのラインナップには、けっこうな違いがあります。前者はSUVやスポーツカーや北米専売の大型セダンが看板車種であり、 後者ではコンパクトな車種やセダンがメインとなっています(「フォーカス」など、一部オーバーラップするクルマももちろんあります)。

世界的には、ほかにもブラジルやインド、オーストラリアなど、独自のラインナップを展開するために現地工場を設けてきた地域が数多くあります。そしてヨーロッパ・フォードの本部は、ドイツのケルンに置かれています(開発拠点はイギリスにもあり)。実際の製造工場はポーランドやドイツであったり、スペインであったりもしますが、そんな訳でヨーロッパ・フォードのクルマならば、「ドイツ車」と表現しても差し支えありません。

日本未発売のフォード車たち

「マスタング」(スポーツクーペ)、「エクスプローラー」「クーガ」「エコスポーツ」(SUV)などが、日本でいう近年の「フォードブランド」のイメージにふさわしいキャラクターのクルマかも知れません。アクティヴで、比較的カジュアルな輸入車・・・というのが、一般的なイメージになるでしょうか。これらの大部分は、ドイツでも販売されています。

そのほかヨーロッパ・フォードからのクルマとしては、ゴルフのライバルであるCセグメントの主力モデル「フォーカス」や、それより一回り小さいBセグメントの「フィエスタ」が、日本でも購入できます。

それでは、現在の日本に正規で輸入されていないヨーロッパ・フォード車には、どんなクルマがあるのか?
ドイツをはじめとする欧州市場で馴染みのある代表車種を、4つご紹介しましょう。

「Ka」

1990年代後半には日本でも初代モデルが販売されていた、同社最小のモデルです。
丸っこいボディーの四隅にタイヤが踏ん張り、とがった可愛らしいヘッド&テールランプデザインを持つ初代Kaをご記憶の方も多いでしょう。

現在も欧州で売られる2代目(2009年デビュー)は、初代と異なり、見かけ上の丸さが弱められています。全長は3.62mと同じサイズを保ちながらも、全高が7cmほど高くなったことも影響しているでしょう。

エンジンは、69PSの1.2Lデュラテックエンジン(フォード製)のみを搭載。
現行フィエスタは伊フィアット社と提携して開発され、「パンダ」「500」などとプラットフォームを共有しています。

しかしながら、車格がよく似たフィアット最小のモデル「500」よりも、さらに仕様がシンプルであり、そのために価格が数百ユーロ以上安いことでも知られます。車両本体価格は、9,310ユーロ(約121万円)〜14,110ユーロ(約148.3万円)となっています。

「C-MAX」および「グランドC-MAX」

フォルクスワーゲン「トゥーラン」やシトロエン「C4ピカソ」などと同クラスの、中型ミニバンです。
C-MAX自体は、日本でも2008年まで先代モデルが販売されていました(当時は「フォーカスC-MAX」)。その後も、現地ではフォーカスから独立した新型に切り替わりつつモデルが続行し、ファミリーカーとして根強い人気を保ちます。

最近の欧州車のラインナップでは、基本形として背高の5人乗りの車種を設定し、それに「グランド」などの名を付けた7人乗り仕様を設けるという手法がよく見られます。

現行モデルは2010年に登場し、2015年4月にマイナーチェンジされたものです。
全長は5人乗りモデルが約4.39m、7人乗りであるグランドC-MAXが約4.52m(こちらはホイールベースが14cm長い)ですが、全幅はいずれも1,828mmであり、最近の欧州車によくある、フルサイズに近いものです。

エンジンは、その割には小さい1.0リットルエコブースト(ターボ)から設定されているのが驚きです(100PSと125PSの2種類)。このほか、1.5リットルのエコブーストと、ディーゼルとしては2.0リットルのターボが存在します(それぞれ細かく出力の違うバージョンあり)。

車両本体価格は、17,950ユーロ(約233.3万円)〜32,200ユーロ(約418.6万円)となっています。

「モンデオ」 (Mondeo)

Dセグメントのセダンおよびステーションワゴンです。ワゴンタイプには、「トゥルニエ」のサブネームが付きます。
現地ではフォルクスワーゲン「パサート」やアウディ「A4」、メルセデスベンツ「Cクラス」、オペル「インシグニア」といった、手強いライバルの多い激戦区のモデルとなります。

モンデオの伝統として、セダンには標準的な4ドアの3ボックス(ノッチバック)タイプのほかにも、リアウィンドウが傾斜してトランク部分が短いハッチバックタイプ(5ドア)も存在し、幅広いニーズに対応しています。これはオペル車などにも見られるラインナップ構成です。

モンデオは、4ドアセダンとワゴンが、日本でも2008年(先代モデル)まで販売されていました。
ヨーロッパで現在売られているモデルは、2007年に登場し、2014年に大規模なマイナーチェンジを受けたものです。

近年高級ブランド化しつつあるパサートと比べ、グレードによっては比較的安価で手に入るモンデオは、その割にスペースも広く、一定の人気があります。エンジンは、Dセグメント車最小となる1.0リットル・エコブーストエンジンから選択できることも特筆に値します。そこから1.5リットル、2.0リットル(ガソリンおよびディーゼル)と、多彩なラインナップが続きます。また、現行車からハイブリッドも追加されました。

飛ばし屋が好む車種が変化しつつある、最近のドイツのアウトバーンでも、かなりの速さで疾走するモンデオ(特にトゥルニエ)を頻繁に目にすることができます。

車両本体価格は、25,750ユーロ(約334.8万円)〜39,475ユーロ(約513.2万円)となっています。

「S-MAX」

このほど2世代目に切り替わったばかりの、アッパーミドルサイズのミニバンです。
車台は、モンデオと共通のものから成り立っています。

フォード最大のミニバンとしては、「ギャラクシー」というものがあります(こちらも2015年秋にフルモデルチェンジ)。ギャラクシーは、縦に大きなサイドウィンドウを持ち、背の高さも特徴とするモデルです。

これに対し、S-MAXの方は現地で「スポーツバン」というカテゴリー分けもされるとおり、低く長めのボディーによる運動性能を売りとしています。そのため、ヤングファミリーから支持されています。

新型S-MAXのスリーサイズは、4796mm×1916mm×1655mmであり、日本では扱いにくいほどの幅広ボディーと相まって、かなり低重心が強調されているようです。エンジンは、1.5リットルや2.0リットルのガソリンおよび2.0リットルディーゼルから選べます。

車両本体価格は、30,400ユーロ(約395.2万円)〜40,500ユーロ(約526.5万円)と公表されています。

フォードは、ミニバンや背高ワゴンが販売のメインではない欧州において、日本での国産メーカー並みのラインナップを誇ると言えるでしょう。

日本撤退は非常に残念…

このように、日本では売られていないものの現地では有名なモデルが、たくさん存在しています。

上記のクルマの多くに共通しているのは、日本でも2000年代中盤ごろまで販売されていたモデルが多いことです。そう考えると、日本でそれらの新型モデルを買えなくなったことは、充分残念なことと言えます。

多くの欧州車が輸入される日本において、そのメーカーのラインナップ中、一部だけ(フィエスタやフォーカスなど)しか入ってこないというのも、珍しいケースです。

後編では、ドイツに本社を置くヨーロッパ・フォードを軸にしながら、日本撤退を余儀なくされたフォード社の全体像について、もう少し見ていきたいと思います。

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