国産エンジン史高級車その3・乗用車用として日本初・クラウンエイトのV8エンジン

しかし、1963年に日産がセドリック スペシャルに、プリンスがグロリア スーパー6に直列6気筒を搭載してくると、トヨタは一歩出遅れた形になります。

量販車への直列6気筒エンジンは2代目クラウン デラックスにM型エンジンが搭載される1965年を待たねばなりませんが、それに先んじて1964年に他社を上回るV8エンジンを搭載してきたのがクラウンエイトでした。

センチュリーのプロトタイプだった

基本的には既存車のボディをストレッチ(延長)して直列6気筒エンジン搭載と快適性向上を図ったライバルに対し、クラウンエイトは全長、全幅ともロング&ワイド化して一回り大きくしてきました。

型式からして当時の2代目クラウンがS40系だったのに対し、クラウンエイトはVG10型と全く異なっており、名前やデザインこそクラウンを踏襲しているものの、実際には全く異なるクルマである事が伺えます。

それもそのはず、VG10という型式は後の初代センチュリーがVG20という型式だった事からもわかるように、クラウンではなくセンチュリーの系譜に属する、正しくはセンチュリーのプロトタイプとして開発されたクルマだったのです。

ライバルに対してその差は歴然で、宮内庁で皇室や海外からの来賓用に特別生産された日産 プリンスロイヤルを除けば最高級車であるクラウンエイトは官公庁や大企業で輸入高級車からの代替需要が多く、発展の始まっていた国産車を使おうという要望にもマッチして好評を得ました。

国産初の乗用車用V8エンジン

そのクラウンエイトのエンジンですが、当然後のセンチュリー用エンジンのプロトタイプでもあります。

水冷V型8気筒OHVエンジン“V型”は後のセンチュリー用“3V型”の排気量3リッターより小さい2.6リッターで、日産 セドリックスペシャルの直列6気筒OHV2.8リッター、プリンス グロリアスーパー6の直列6気筒2.5リッターの中間的な排気量で、V8エンジンとしては小排気量です。

スペックこそ115馬力とおとなしめ(セドリックスペシャル用のK型2.8リッターと同じ)でしたが、まだ習作期のエンジンという事もあり、後にセンチュリー用として本格的な生産が始まる時には、燃焼室形状などが一新されてパワーアップしています。

それより特筆すべきはオールアルミエンジンだった事で、当時はまだ重かったボディ重量相殺のために軽自動車ですらアルミエンジンが存在したとはいえ、シリンダーブロックからシリンダーヘッドまでオールアルミエンジンだった事は何とも贅沢な作りでした。

このクラウンエイトと“V型”エンジンから現在に至るトヨタ高級車の歴史が始まりますが、ライバルより先に登場し、ライバルが消えた現在でもセンチュリーとして残る姿には、トヨタの先見の明と堅実な努力が伺えます。


いよいよV8エンジンまで登場した日本の高級車用エンジンですが、その後トヨタ センチュリーや日産 プレジデントのエンジンとして発展していきます。

次回はその後の国産V8エンジンをご紹介しましょう。


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コメント:
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