着々と進行中?自動運転技術とジュネーブ道路交通条約のせめぎ合い!

自動運転が現実のものとなり、さらにそれが日常になるには、まだまだ何枚もの壁が存在するようですよ。


国際条約で制限されている自動運転、どこまで許される?

自動運転の実現にはさまざまな障害があります。

しかもそれが国際条約となると大変です。

日本も批准している「ジュネーブ道路交通条約」についてご紹介します。

◆ジュネーブ道路交通条約とは?

仮に、車の運転や自動車そのものが国によって全然違うものだったら、どうなるでしょう?

ある人は他の国に行ったら全く違う交通ルールに苦しむ事になります。

ある自動車メーカーは、他の国では全然違う車を作らなければならず、開発コストに見合わないから輸出しないとなれば、自動車を作れない国では走る車が無くなってしまうかもしれません。

日本のように他の国から海で隔てられた島国ならともかく、ヨーロッパのように陸続きで他の国と行き来するような場合は、大問題です。

それでは困るので、それぞれの国情は考慮しつつも、ある程度は統一しようと定められたのが、「道路交通に関する条約」です。

1949年に「道路輸送および自動身輸送に関する国際連合会議」がスイスのジュネーブで開催された時に決められました。

他のジュネーブ条約(戦争に関するものをはじめ、たくさんあるのです)と区別するため、「ジュネーブ道路交通条約」と呼ばれます。

日本はその当時、戦争に負けて連合軍に占領されている時代だったので未加入でしたが、国連加盟後の1964年に加入して今に至ります。

◆ 条約で制限された自動運転

http://www.j-sd.net/autonomous-cars-would-be-legal-by-amendment-of-unc/

ジュネーブ道路交通条約には、「自動車」とその「運転者」についてさまざまな定義をしていますが、自動運転に関わる項目は以下の通りです。

ドライバーと自動運転システムの役割分担の考え方 www.mlit.go.jp

第8条第1項:一単位として運行されている車両、または連結車両には、それぞれ運転者がいなければいけない。

第8条第5項:運転者は、常に車両を適正に操縦し、または動物を誘導する事ができなければいけない。運転者は、他の道路所有者に接近する時は、当該他の道路使用者の安全のために、必要な注意を払わなければならない。

第10条:車両の運転者は、常に車両の速度を制御していなければならず、また適切かつ慎重な方法で運転しなければならない。
運転者は、状況により必要とされる時、特に見通しがきかない時は徐行し、または停止しなければならない。

つまり、走る車にはドライバーが絶対いなければなりません。

運転そのものは自動運転システムが行うとしても、ドライバーはそれを制御下に…つまり監督下に置いている必要があるため「完全自動運転」自体が国際条約で認められていないのです。

そのため、自動運転について日本で認められるのは、運転手がいつでも操作できる状態にある「レベル3」までになります。

今は特例として実験的に「レベル4」の完全自動運転車の走行が認められていますが、本格的に認めるのは条約違反になってしまうのです。

それでは、そんな条約から脱退してしまえばいいかとなると、道路交通条約を批准している国同士で有効な「国際免許証」も認められなくなるので、日本で発行された国際免許証では、どこの国でも運転できなくなってしまいます。

◆もうひとつの道路交通条約は改正中

http://www.continental-automotive.jp/www/servlet/segment/pressportal_jp/themes/press_releases/pr_2014_07_07_zulieferer_innovativ

実は道路交通条約はジュネーブ道路交通条約だけではありません。

1968年にオーストリアのウィーンで締結された、「ウィーン道路交通条約」というものがあります。

主にヨーロッパの国の間で締結された条約で、日本や米国は加入していないのですが、こちらでも自動運転は認められていませんでした。

しかし、2014年にウィーン道路交通条約の改正案が採択され、「人間が運転する操作は自動運転を優先し、決して暴走しないこと(オーバーライド機能)」および「自動運転機能のスイッチはオフにできること」という条件つきながら、レベル4の完全自動運転が認められました。

まだ加盟国への賛否照会段階で発効はしていませんが、発行されればウィーン道路交通条約加盟国ではレベル4自動運転が認められるのです。

◆ジュネーブ道路交通条約も改正議論中

http://www.p4.no/story.aspx?id=637452

ジュネーブ道路交通条約も国連で改正が議論されており、日本政府が2020年をめどにタクシーなどで完全自動運転の実用化を始めたいと宣言しているのは、それを見越した動きと言えます。

それまでは自動運転車が実用化されても運転手が不在にはできません。

さらに言えば、国際条約の改正後も、国内の道路交通法でも完全自動運転は制限されていますので、両方が改正されるまでは、自動運転システムを作動させても運転席でいつでも運転できる体制にいないと、取り締まりにあってしまいますから、注意が必要です。

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