自動車用バッテリーが今、新たな試練にさらされている。高度な電子制御化や家電化による電力消費量の増大、繰り返されるアイドリングストップからの再始動で酷使されるバッテリー。
旧時代の通常車、アイドリングストップ標準のエコカー、それにハイブリッドモデルやエネチャージなど最先端のモデルも含めて、市販バッテリーで最適モデルを探る!
ある整備士の不安
最近、バッテリートラブルで整備工場やショップに持ち込まれる車が増えているそうです。
共通しているのは、その大半が「アイドリングストップ車」であること。
渋滞の激しい日本の都市部では、頻繁にストップ&ゴーを繰り返します。
ラッシュアワーや行楽地の渋滞などであればなおさらです。
だからこそ燃費改善のためにはアイドリングストップは有効ですし、メーカーも盛んにそれを宣伝しては、多くの車にアイドリングストップが設定されるようになりました。
しかし、頻繁にアイドリングストップをするという事は、頻繁にエンジンの再始動をするという事でもあります。
エンジンの始動には瞬間的に大きな電圧が必要で、バッテリーには十分な充電が必要ですが、エンジンが止まっている車は発電ができません。
この矛盾が災いしたのか、最近はバッテリー上がりが増えているという話が出ています。

解決策の例が、スズキの「エネチャージ」と「S-エネチャージ」
もちろん自動車メーカーもただ手をこまねいているわけではありません。
解決策として具体的な一例が、CMでもよく目にするスズキの「エネチャージ」です。
エンジンが止まる事で充電のための発電が十分にできないというならば、オルタネータ(発電機)を高出力・高効率なものに交換し、減速時にのみ作動させる事でオルタネータの負荷増大による燃費の悪化を防ぎつつ、減速時には一気に充電できるようにしています。
さらにバッテリーを一般的なホームセンターでも売っているような鉛バッテリーだけでなく、プラグインハイブリッド車にも使われている高性能リチウムイオンバッテリーと合わせて搭載。
電力を使う機器はこの2つのいずれかから電力を供給される事により、バッテリー一つあたりの負荷を減らし、エンジンのスターターモーターを始動できないほどにバッテリーが弱る事を防いでいます。
さらに発展型の「S-エネチャージ」ではリチウムイオンバッテリーを使って発進時にオルタネーターをモーターとしても使う事でモーターアシストを行い、さらに負荷低減に役立てているのです。
アイドリングストップ車用バッテリーもあります
さらに、通常の鉛バッテリーそのものもアイドリングストップ車用が発売されています。
前述のバッテリートラブルの中にはもちろん純正バッテリーのトラブルもありますが、それが上がったからとホームセンターで適当なサイズのみ合うバッテリーに交換してしまった例も見受けられます。
かつてアイドリングストップが無かった時代の車ならそれでも良かったのですが、短時間で充電と放電を繰り返すアイドリングストップ車のバッテリーは負担が激しく、通常の鉛バッテリーでは極端に寿命が短くなり、必要な電圧を得られなくなってしまうのです。
そのため、アイドリングストップ車用のバッテリーは耐久性を重視するだけでなく、通常のバッテリーよりも大容量オルタネーターなどから急速充電を受けるため、「充電受入性能」が高いものが登場しています。
そのバッテリーは通常のものより高価ではありますが普通に販売されており、箱に「アイドリングストップ用ロングライフ」などと明記されていますから、自分で交換する場合には注意して購入しましょう。
また、やむをえず通常タイプのバッテリーを購入する際には、あくまで間に合わせと考えて、すぐにアイドリングストップ車用に交換するのが無難です。
各社のアイドリングストップ車用バッテリー
現在のところ、バッテリーメーカー各社からは以下のようなアイドリングストップ車用バッテリーが販売されています。
(順不同・あくまで一例で、これが全てではありません)
・パナソニック:caos Pro(カオス プロ)
・古川電池:ECHNO IS(エクノ アイエス)
・ジーエス・ユアサ:ECO.R LONG LIFE(エコアール ロングライフ)
・日立化成:Tuflong Premium(タフロング プレミアム)
・ボッシュ:BLACK-AGM(ブラック エージーエム)
・ボッシュ:ハイテックプレミアム
いずれも急速充電に対応した充電受入性能と耐久性が売りになっています。
中には「ECHNO IS」のように、」バッテリーの中に、低容量ながらも急速充電に適した「キャパシタ」と呼ばれる電気を一時的に貯めておく装置を仕込み、急速充電された電気をスターターモーターを回すような高電圧が求められる時に使用するものまで登場しています。
昔と違って自動車は複雑な制御を伴いますし、多数の電子制御された電装品を装備するようになりました。バッテリーも昔のままでは十分な威力を発揮できませんので、最新の技術を使ったバッテリーで快適なカーライフを送れる様にしましょう。
進化の途上にあるエコカーではバッテリーも常に新型モデルの開発が進んでいるので、日ごろの情報収集もとても大事ですよ!
バッテリー交換時に、最適なモデルがわからない場合は、一度お近くの整備工場に相談するのも良いと思います。Repeaではあなたの「お住いの地域」、「車のメーカーなどの情報」を入力して頂くだけで、お近くのあなたの要件にあった最適な整備工場をご紹介いたします。Repeaは下記リンクよりご利用いただけます。