寒くなって来る時期や雨上がりの朝、またはエアコンを付けた時やハンドルを切ったときなど車のベルトが「キュルキュル」と音が鳴る。
皆さん1度は経験したことがあると思います。
ベルトからキュルキュルと音が出るのは”ベルト鳴き”と言われる現象です。
ベルトの役割からベルト鳴きの原因、交換時期など筆者が実際に整備した車の事例を交えてご紹介したいと思います。
ベルトの役割
車にはエンジンの補助をする機械(補機類と言います)を動かすベルトが付いています。エンジンのクランクプーリーの回転を利用して補機類に動力を伝達する役目を担っているのがベルトです。ベルトはエンジンからエアコンや発電機、パワステに動力を伝える大切なパーツです。
走行中に電気を発電させバッテリーを充電させるオルタネーター。エアコンに送風する為の空気を圧縮させるエアーコンプレッサー。ステアリングを動かす為のパワーステアリングポンプ。など全てエンジンからベルトによって駆動されています。
“ベルト鳴き”の原因
ベルトはゴム製なので熱気や経年劣化などでヒビが入ったり、硬化したり伸びて緩むことがあります。最悪の場合切れてしまうことも…この様なベルト系の異常が原因で“ベルト鳴き”がするようになります。
車の車種やエンジンの型式によって違いがありますが、補機ごとにベルトを2~3本使用している場合と、最近では1本のベルトで全ての補機を駆動させる車種もあります。
全ての補機がベルトによって駆動しているので、1本でもベルトが切れてしまうと正常な機能が出来なくなりエンジントラブルや事故の原因に繋がります。
ベルト鳴きの原因は全てベルトの劣化や緩みが原因ではありません。もちろんその他の原因が潜んでいる場合もあります。ベルト自体の値段は高いものではありませんが常に回転により摩擦されているので劣化は避けられません。切れて周辺部品の破損や大きな故障に繋がると大変な修理になりかねませんので、早めにきちんと点検・修理をしてもらうようにしましょう。
実際に入庫してきた事例
ホンダ ライフ
今回は以前入庫してきた、ホンダ ライフの事例をお話します。
入庫してきたホンダ ライフは1本ベルトを使用していました。ベルト鳴きが気になるという事でしたのでベルトを外してみました。ベルト自体の劣化はそこまでひどくありませんでしたが、少しの亀裂とベルトの側面の傷が目立っていたのでこれがベルト鳴きの原因だと思われます。今回は新品のベルトに交換することにしました。
ホンダ車はベルト部がとても入り組んでいて作業スペースがあまり無いのが難点ですが、ベルトの調整は簡単な構造になっているので短時間で交換ができます。車種によってはバンパーを外さなければ交換できないものもあります。外車などは専用の工具を使ってベルト調整をするものもありますが今回のライフはテンショナーで張りの調節をしているので通常の工具で交換することができました。ベルト交換後はエンジンの調子も良く、ベルト鳴きも解消されました。
皆さんも機会がありましたら1度ボンネットを開けてどこにベルトが付いているか確認してみるのも良いかも知れません。ただ、エンジンが動いている場合や暖気されている状態でエンジンやベルトを触るのはとても危険なので気をつけましょう。
ベルトの交換時期
交換の目安は一般的に50000キロに一度、または車検の2回に1回は点検・交換が良いと言われています。予防も兼ねて一定距離やタイミングで交換しましょう。
筆者はよく、「ベルトが切れても走れますか?」と聞かれることがあります。実際走行は可能ですが、そのまま走り続けると必ず車は故障することになります。ベルトが切れて発電系の補機が動かなければ、バッテリーが充電されずにエンジンがかからなくなります。ファンベルトが切れたり、切れたベルトがラジエターや周辺部品にぶつかり破損、オーバーヒートすることもあります。またパワーステアリングが動かなくなれば、ハンドルは重くなり運転に重大な危険性を及ぼします。
1本ベルトの場合は、もし切れてしまうと全ての補機の駆動が停止してしまうことになります。なるべくエンジンの始動は避けましょう。
ベルトは車にとってとても大切な部品です。しかし、消耗品ですので、もし気になるような音が聞こえたらすぐに点検に出すことをおすすめします。点検する整備工場をお探しの場合は、整備工場検索ツール『Repea』がおすすめ。各工場の作業実績なども見ることができ、検討した上で依頼出来るので安心して作業を任せることが可能です!
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