「妥協」はない。ブラバスの徹底したクルマづくり

メルセデス・ベンツのチューニングブランド・ブラバス(BRABUS)。日本では、黒ずくめでその迫力からか、好き嫌いが分かれるクルマです。ですが、ブラバスほどメルセデス・ベンツに心血を注いだメーカーは他にないと思います。またドイツのモノづくり文化の究極形の1つともいえるかもしれません。

自分が思い描く1台を作る為にスタート


ブラバスの始まりは、ボード・ブッシュマンは自分のベンツをカスタマイズしようとしたものの、既存のショップでは自身が満足できる仕様が作れないというのがわかり自分自身でブランドを立ち上げました。1977年に学生時代の友人クラウス・ブラクマンとそれぞれの名字先頭3文字を取って「BRABUS」を設立(のちにクラウスはすべての株式をボードに売却しクルマ業界から離れる)。

2代目Sクラス(W126)をチューニングしたコンプリートカーがBRABUS最初のモデルとなりました。
BRABUSコンプリートカーは、圧倒的なパワーと快適・機能性を追求しているのが特徴です。ベースモデルを遥かに上回るパワーを発揮するエンジンは、AMG認定マイスターが組み立てたAMGユニットであろうとも躊躇なくバラバラにし、ブラバスマイスターの手によって「よりもう1段階」上のユニットになって搭載されます。それに伴い、駆動系から足回りも見直されます。

絶対的な性能とコンプリートカークオリティの高さを証明するために、同国のタイヤメーカー・コンチネンタルが主催する最高速計測イベントで数々の記録を打ち立てました。

2010年にはCLSに750馬力を発揮するV12ツインターボエンジンを搭載したその名も、「BRABUS ROCKET」。イタリアの高速周回路・ナルドで4ドアセダン最速の365.7km/hを記録しています。

こちらは、昨年の記録イベント(0-3000mの最高速計測)でS65AMGを900馬力までチューニングした「BRABUS ROCKET 900」。3000m地点で340.4km/hを記録しています。


絶対的な性能だけではなく、快適性を追求したモデルも製作しています。「iBusiness」と名付けたコンプリートカーは、後部座席にこれでもかとApple製品をインストールし「世界最速のビジネスカー」となっています。


ワンボックスモデルのスプリンターというモデルをベースした「Brabus Business Lounge Sprinter」というVIP車両まで製作されています。

最近では、キャンピングカーも手がけています。

メルセデスの歴史を後世に伝えるブラバス

高い技術力をもつブラバス、ただただ既存のベンツをチューニングするだけではなく、メルセデス・ベンツの歴史を現代に伝える為、2016年に新事業として「BRABUS Classic」というレストア事業を開始しました。コンプリートカーの製作の片手間というのではなく、レストア専用ファクトリーを新設し、ボルト・ナット単位で徹底的なレストアを行っていきます。

レストアされた車両は、本社ディーラーにて展示販売されます(当然価格はASK)
ブラバス曰く、「現代の技術で当時メーカーが提供できなかった理想のクオリティで蘇らせられる」と解説しています。

日本では、東京都世田谷区にある「エリートスポーツ」がブラバスの正規ディーラーとして展開しています。