消滅した自動車メーカー・もうひとつの国産水平対向エンジン、コニー~愛知機械工業

かつては九九式艦上爆撃機などで知られた「愛知航空機」

後に「コビー」や「ヂャイアント」のブランドで三輪トラックや軽自動車を作る愛知機械工業。
その前身は現在でもガスや水道のメーター製造企業として現存する愛知時計電機の航空機部門で、愛知時計電機自体は1893年(明治26年)の創業(創業当時は「愛知時計製造」)です。
1920年に日本海軍からの委託で「横廠式ロ号甲型水上偵察機」の生産を始めたのを機に航空機部門が立ち上がり、ドイツのハインケル社から技術提供を受けて自社設計機の生産も始めました。
出世作となったのは空母から発着が可能な急降下爆撃機「九九式艦上爆撃機」で、損害も多かったものの、搭乗員が最高の技量を発揮した時には90%以上の凄まじい爆撃命中率を誇り、太平洋戦争でもっとも多くの連合軍艦艇を撃沈した航空機とも言われたのです。
その後も艦上爆撃機「彗星」や水上爆撃機「瑞雲」、艦上爆撃機「流星」、潜水空母用の特殊水上爆撃機「晴嵐」など、数多くの傑作機を作り、また高性能の航空機用水冷エンジン「熱田」を生産していました。
三菱や中島(後の富士重工)など、戦闘機から重爆撃機まで作る大メーカーでは無かったものの、日本海軍にとって無くてはならない航空機メーカーのひとつだったのです。

戦後は自動車メーカーへ

1943年に愛知航空機として愛知時計電機から独立したものの、1945年8月の終戦で航空機メーカーとしての役割を終えました。
三菱や中島のように財閥解体による企業の分割こそ免れたものの、民需生産への転換は避けられず、数度の社名変更を経て1952年に「愛知機械工業」として再出発します。
民需のメインは1947年に三輪トラック「ヂャイアント号」の生産を始めたのを皮切りとする自動車生産で、当初は「ヂャイアント」ブランドの三輪トラックを主体としていましたが、1950年代末期には四輪自動車メーカーへ早々に転換。
当初は「ヂャイアント・コニー」、途中から「コニー」へとブランドを変更しつつ、スバルやスズキ、ダイハツ、マツダと並ぶ軽自動車メーカーとして知られる存在になったのでした。

意欲的だった「コニー」

コニー車最大の特徴は、他車のようにフロントやリアにエンジンを搭載せず、フロア下に搭載した空冷水平対向2気筒エンジンでした。
同時期に同形式のエンジンを採用していたのはパブリカやヨタハチ(トヨタスポーツ800)、商用車のミニエースに空冷2気筒水平対向エンジンを搭載していたトヨタですが、それらがフロントエンジンだったのとは全く異なります。
エンジン全高が非常に低いという水平対向エンジンのメリットを最大限に生かしたアンダーフロアミッドシップ、あるいはリアエンジン配置、ギリギリまでエンジン全高を下げるためオイルパンを廃してオイルを強制圧送循環させるドライサンプ方式を採用するなど、非常に意欲的な設計だったのです。
その結果、パワーユニットのスペースは最小限で、積載性、居住性に優れたコニー車は、使い勝手の良い軽自動車として、市場から当初好評だったのでした。

第一次パワーウォーズで脱落

1961年には200cc強制空冷単気筒2サイクルエンジンを搭載、より簡便なピックアップトラック、コニー グッピーを発売するものの、あまりの動力性能不足で大失敗。
リアエンジンのライトバン、コニー 360コーチも売れ行き不振で経営が悪化し、1965年には提携していた日産の傘下に入ります。
さらに、ホンダが初期の軽トラックT360の反省を生かし、実用的かつパワフルなTN360を発売、軽トラックの世界にもパワー競争の時代が到来すると、わずか20馬力のライチバン、コニー 360や、軽トラック/軽1BOXのコニー 360ワイドでは性能的に対抗が困難になりました。
販売台数の激減で新型車の開発もままならなくなり、1970年には独自の自動車生産から撤退、自動車メーカーとしては消滅します。
元々、日産傘下に入った時点で日産には軽自動車「コニー」を存続させる意思が無く、下請けメーカーとして日産車を生産させる意図だったため、幕切れはアッサリしたものでした。
販売店も「日産コニー店」へ、やがて「日産チェリー店」へと改名し、1980年代に「日産プリンス店」へ統合されて、現在の日産レッドステージ店へ至っています。

愛知機械工業のその後

独創的ではあったものの、結局は賭けに負けたような形で自動車メーカーとしては消滅してしまい、「コニー」ブランドも消滅した愛知機械工業ですが、その後は日産車の生産工場になりました。
さらにその日産が経営悪化して以降は完成車生産からも撤退し、現在は日産のエンジンやトランスミッション製造企業です。
R35 GT-Rのデュアルクラッチトランスミッションも愛知機械工業製で、現在は他メーカーへも販路を広げています。
次回は、映画で有名となりながら、自動車メーカーとしては非常にあっけなく消滅した「デロリアン」をご紹介します。

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