いすゞ最後の最強スポーツターボ「いすゞ4XE1-WT」

1990年代前半、SUVを除くいすゞ乗用車の終焉

1980年代中盤に始まったバブル景気は1990年頃にそのピークを迎えたものの、直後の「バブル崩壊」で日本経済は急失速、一転して底の見えない不景気へと急激に転がり落ちていきます。 その状態が何年も続いたことで日本経済は慢性的赤字に悩まされ続けることになりますが、その中で自動車メーカーも数社が深刻な経営危機にさらされました。 中でも重症だったのがいすゞで、1950年代から1960年代にかけての国産車復活当初はトヨタ、日産と並ぶ「御三家」とまで言われたものの、それ以降は開発・生産能力ともに小規模だったことから、販売している車が慢性的に陳腐化していきます。 わりと初期にスポーティなDOHCエンジンを実用化、スタイリッシュな117クーペや、塊感のあるデザインが好評だったベレットGT typeRに搭載されるなど存在感を示していたのが、1970年代中盤には「ただの古い車」になっていました。 その状況を打破するため、GMグループの一員としてその世界戦略車のいすゞ版「ジェミニ」を開発、さらに2代目ジェミニは逆にグループ世界戦略車に採用されます。 しかし、そもそも開発・生産・販売全てが小規模過ぎたいすゞが他社のように数年サイクルで次々と新型車を開発していく体制には無理があったのです。 モデルサイクルが長いSUVはともかく、アスカやジェミニといった乗用車はバブル崩壊もあって全く採算が取れなくなり、ついに1993年7月を最後にいすゞ乗用車はその歴史に幕を閉じました。 GMグループの一員としてSUVやピックアップトラックの生産・販売は続行したものの、2017年3月現在は日本市場での販売は行っていません。

いすゞ最後の傑作、ジェミニ・イルムシャーRと4XE1-WT

そのいすゞが最後まで生産していたのは、3代目ジェミニJT151 / 191 / 641型でした。 ジェミニとしては2代目、FFとなってからは初のJT150 / 190 / 640型からわずか5年という、1つのモデルを陳腐化するまで作り続けてきたいすゞ乗用車としては異例の速さでモデルチェンジされた3代目ジェミニ。 必ずしも好評ばかりでは無かったものの、その丸みを帯びてスタイリッシュかつ、塊感があってエネルギッシュなデザインは、市場から好評を受けたのです。 しかし、月販目標5,000台に対して生産能力が4,300台しか無いことでもわかるように、どれだけ好評だとて、いすゞには開発資金を急速に回収する手段がありませんでした。 そこにバブル崩壊の不況で販売台数が急減したことが乗用車メーカーとしてのいすゞにとどめを刺した形になりますが、その中で歴史的な1台が生まれています。 いすゞ JT191Sジェミニ・イルムシャーR。 搭載されていたエンジンはFFジェミニ用に開発された1.6リッター直4DOHCエンジン、4XE1をターボ化した「4XE1-WT」で、イルムシャーR仕様は最高出力180馬力、最大トルク21.2kgm。 このスペックは当時の1.6リッターエンジン最強で、後にホンダ EK9 シビックタイプRがNAながら高回転型VTECで185馬力を発揮したB16Bを搭載してデビューするまで、最強の座を維持した、ハイスペックなエンジンでした。

イルムシャーR、ダートラで最後の活躍

当時はダートトライアルで1.6リッターターボが主力のクラスで三菱 ランサーターボやミラージュターボとイルムシャーRが戦い、ラリーではNAの4XE1を搭載したイルムシャーが、同じくミラージュやシビック、マーチR(スーパーターボ)と戦っていました。 いすゞワークスによる参戦は1993年まで続き、その最後の年に行われた夜間のラリーではルーフに「ISUZU」と派手に電飾したジェミニ・イルムシャーが走っていたと伝えられています。 しかし、いすゞの乗用車撤退は、ジェミニの戦いの終わりを意味しませんでした。 ラリーやダートトライアル用のいすゞ競技車製作で定評のあった「トンボハウス」が、一時参戦の途切れていたジェミニ・イルムシャーRを前線に復帰させたのです。 全日本ダートトライアルという晴れ舞台で再び4XE1-WTの咆哮を響かせたイルムシャーRは、単なるイロモノではなく実力あるマシンとして、1.6リッターターボが戦うA3クラスで幾度も優勝。 規則改正でイルムシャーRが主力として参戦可能なA3クラスが廃止される、2002年まで戦い続けました。 最後の戦績は2002年11月にオートランド丸和で開催されたJAFカップダートトライアル、湯本選手の「KYBトンボFKアライジェミニ」による5位表彰台。 この日を境に、1960年代以来いすゞのスポーツエンジンが響かせた爆音は、永遠に消えました。

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