【ahead vol.175】ヒエラルキーを超えるスバル 〜 SGP第2弾「XV」

頑張らなくても運転がうまくなったように感じる。 メートルも転がせば、良さがわかる──。

スバルが目指した「10メートル乗ればわかるスバルの良さ」

「そんな難題を出されたって」と開発に携わった技術者は当初思ったそうだが、インプレッサはそれができたし、インプレッサに次いでSGP(スバル・グローバル・プラットフォーム)を採用したXVも「到達できた」と、その技術者は説明する。

10メートル転がせばわかる良さを実現できた理由はいくつかあるが、注目したいのは車種ラインアップの上下関係を取り払って開発したことだ。スバル車の頂点はレガシィである。これまでは、レガシィだったら投入するけれども、インプレッサやXVにはやりすぎだと、開発を遠慮する部分があったという。

スバルを成功に導いた意識変革

ざっくばらんに言えば、インプレッサやXVはレガシィより性能が良くなっては困るのだ。この性能とは、エンジンの出力といった数字で評価できる要素に限らず、安心感やいいモノ感といった感覚的な「良さ」も含んでいる。頂点にレガシィありきでクルマづくりに取り組んでいたスバルは、上下関係にとらわれず、車種ごとにいいクルマにしていくアプローチに切り換えた。新しいプラットフォームであるSGPをレガシィからではなくインプレッサから投入したのも、意識変革の現れだ。

いい車を作ることを諦めなかったスバルの技術者たち

そのSGP、実は’16年に新型に移行したインプレッサのみならず、新しいXVに投入するのさえ、「ウソでしょ?」とくだんの技術者は思ったという。あまりに大仕事すぎてとても実現不可能だと感じたのだ。プラットフォームの一新などせず、受け継いできたものに手直しする手もあった。それなら、話は簡単だ。SGPは技術的にクリアすべきハードルが高く、開発の途中で「今からでも遅くない。元に戻した方がいいのでは」とさえ思ったという。

だが、スバルの人たちは諦めなかった。良くなるとわかっていることを途中で放り出したくなかったのだ。高いハードルのひとつはこうだ。10メートル転がせばわかる走りの良さをもたらすサスペンションが、車体骨格側の協力もあって実現できた。しかしそれは試作車での話で、工場で生産して同じ品質を確保するには生産工程側の協力が欠かせない。XVの良さである追従性の高いしなやかな脚を実現するため、部品を組み付ける際の向きやボルトの締め付け精度にまでこだわった生産態勢を整えた。生産ラインにいろんな車種が流れるなかでXVだけ特別扱いするのは実に面倒なのだが、それをやってのけたのである。

SUBARU XVのスペック・価格

● SUBARU XV 車両本体価格:¥2,678,400(税込、2.0i-S EyeSight、AWD) 総排気量:1,995cc 最高出力:113kW(154ps)/6,000rpm 最大トルク:196Nm(20.0kgm)/4,000rpm

もっとやりたい、まだできるという思いを一部の従業員だけでなく全社で共有しているからこそ、いいクルマができる。XVはその象徴だ。

●世良耕太/Kota Sera F1ジャーナリスト/ライター&エディター。出版社勤務後、独立。F1やWEC(世界耐久選手権)を中心としたモータースポーツ、および量産車の技術面を中心に取材・編集・執筆活動を行う。近編著に『F1機械工学大全』『モータースポーツのテクノロジー2016-2017』(ともに三栄書房)、『図解自動車エンジンの技術』(ナツメ社)など。http://serakota.blog.so-net.ne.jp/

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