Aクラス系も構成は上のクラスと同じ
コンパクトハッチバックのAクラス、そしてそれをベースに大径タイヤで最低地上高を上げたクロースオーバーSUVのGLAクラス。 Aクラスのリアセクションを延長した4ドアスポーツクーペ / シューティングブレークのCLAクラス。
これらは全てAクラスとそれをベースにした派生車種ですが、基本的には4ドアセダンがハッチバックになっているだけで、その上のCクラスやEクラスも似たような構成です。 CクラスにはSUVのGLCと、2ドアスポーツカプリオレのSLCが。
EクラスにはSUVのGLEと、4ドアスポーツクーペ / シューティングブレークのCLSが。
SクラスはさすがにSUVは無くて、2ドアのSクラスクーペと2ドアスポーツカブリオレのSLですね。
一応SUVのGLSクラスはありますが、クロスオーバーSUV最上級というだけでSクラスとの関連はありません。 整理すると以下のような感じです。
メルセデス・ベンツ車基本形と派生車種早見表
基本形 (セダンまたはハッチバック) |
SUV | スポーツ (4ドアクーペ / 2ドアスポーツ / シューティングブレーク) |
|
---|---|---|---|
A | GLA | CLA | |
C | GLC | SLC | |
E | GLE | CLS | |
S | GLS | Sクーペ SL |
http://www.mercedes-benz.co.jp/
一部「どのクラスかわかりにくい名称の車」が混ざってますが、これはメルセデス・ベンツも反省していて修正中です。
いずれCLSは「CLE」と改名されるのではと言われていますね。 最終的には、派生型は最初の2文字がGLならSUV、CLなら4ドアスポーツクーペかシューティングブレーク、SLなら2ドアスポーツカブリオレ、2ドアクーペも何か2文字で表すようになるかもしれません。
このメルセデス・ベンツのクラスごと派生車種展開に、小さいながらAクラスも同じものを持っています。
安いAクラスでも他ブランドを持ち込まないメルセデス・ベンツ
このAクラス系ですが、完全にメルセデス・ベンツ車専用で、他ブランドへの流用や、その逆に他ブランドからの転用はなされていません。
ダイムラー・グループとしてはほかにスマートというブランドがありますが、スマートと他社(日産ルノー連合など)とプラットフォームを共通する車はあっても、その関係はメルセデス・ベンツには持ち込まれないのです。 Aクラスの上級車種としてハッチバック車のみ「Bクラス」が存在しますが、それだけ。
ここはメルセデス・ベンツでもっとも安価とはいえ、Aクラスがそのプレミアム感を保っている特徴でしょう。 他社ではどうかと言えば、たとえばBMWは一見、一番安い1クラスから7クラスまで「BMW専用」で固めているようにも見えます。
しかし、BMWではイギリスのローバーから買い取った「ミニ」ブランドがあり、そのブランドで作られたFFコンパクトカーはBMW車の一部に転用されています。
FFミニバンの2シリーズアクティブツアラーやグランドツアラー、それに中国市場向けのFFセダン、1クラスセダンはミニのBMW版派生車種ですね。
フォルクスワーゲングループになると、アウディもポルシェも一緒くたで、よほど車格やジャンルが異なったり、スーパーカーでも無ければプラットーフォームなどが共通です。
ベントレー車と同じプラットーフォームを使ったフォルクスワーゲンの大型セダンの存在など、代表的な例でしょう。
当然、その「使いまわし」には派生した側での妥協や、基本形がオーバースペックになるという弊害が出るほか、実態が知れるとブランドイメージにも影響が出るわけです。
Aクラスは当初から「AMGモデル」を前提にした車
その点、Aクラスには「その開発当初からプラットフォームやエンジンにAMGが関わっている」という部分はあります。
381馬力を誇るAMGエンジンを積んだ強烈な4WDターボスポーツをAMG A45とその派生車種で成立させるため、基本設計からの関与が必要だからです。
その結果、AMGモデルを前提とした高性能に耐える品質をAクラスは最初から持っていますが、それがAMGで無くとも過剰なスペックとはなりません。
むしろそれが「一番安いAクラスでもプラットフォームやサスペンション、快適性の基本性能が高い、さすがメルセデス・ベンツ」という評価につながるからです。
これがもしも他ブランドへの転用を考慮されていた場合、そのブランドには不釣り合いなほど高価な車ができてしまったり、逆にコストの問題で妥協したAクラスができていたでしょう。
そう、Aクラスとは単にメルセデス・ベンツで一番安い車というわけではなく、「一番安くとも妥協していないメルセデス・ベンツ」なのです。