こんな自動車メーカーがあったのを覚えていますか?アルゼンチンの誇り、国民車トリノを作った「IKA」

インドゥストリアス・カイゼル・アルヘンティーナ

コトの始まりは1951年、アルゼンチン軍のサン・マルティン准将がアメリカを訪問し、祖国アルゼンチンで自動車生産に乗り出してくれるメーカーを探したことに始まります。 当時のアルゼンチンは自動車市場が未成熟、あるいは購買層が存在しないほど貧乏なのか、貧富の差が激しかったのかわかりませんが、ともかくほとんどのメーカーは誘致を拒否しました。 ただ1社、カイザー社を除けば。 カイザー社ことカイザー・フレーザーコーポレーションは、アメリカ自動車産業がビッグ3(GM、フォード、クライスラー)に牛耳られている状況に風穴を開けるべく、1945年に発足したばかりの新興メーカーでした。 そのためよく言えば小回りが効くというか、戦後日本でも三菱が同社の「ヘンリーJ」という小型車を生産しています。 アルゼンチンでカイザーの乗用車やトラックの生産が決まり、現地で実際に製造・販売する会社として設立されたのが、インドゥストリアス・カイゼル・アルヘンティーナ社、略してIKA社でした。

最初の生産車、カイザー カラベラ

まず生産ラインが立ち上がったのは、カイザー マンハッタン改めカイザー カラベラと名付けられたセダン型の乗用車で、革張りのシートや道路事情に合わせた強化サスペンション、その他内装の一部をアルゼンチン仕様に変更したものでした。 当時のアルゼンチンでは国営自動車工場で作られるジープくらいしか無かったので、カラベラは上流社会向けによく売れています。 ほかにもいくつかの乗用車やジープタイプのカイザー車を作りましたが、1960年以降はイタリアのアルファロメオ、フランスのルノーとも提携し、大衆向け小型車市場に進出しました。 そして1966年、ついにIKAによるアルゼンチンの国民車、トリノが誕生したのです。

アルゼンチンの誇り、国民車トリノ

カイザーがアメリカ本国で提携関係にあったAMC(アメリカン・モーターズ)の乗用車、ランブラー・アメリカンをベースに、IKAがオリジナルのボディパネルを貼り付けた「トリノ」がデビューしたのは1966年のころです。 ピニンファリーナがデザインした美しいボディは原型とは異なるイタリアン、つまりデザイン的にはまごうことなきラテンの血が流れているようなデザインで、その美しいボディラインはIKAの生産技術が決して低くないことも象徴していました。 プラットフォームはAMCのものを使っていましたがホイールベースは独自に延長され、あまり良くなかった道路事情に合わせてサスペンションを強化、エンジンはカイザーが開発した3.77リッター直列6気筒OHCエンジンのIKA国産版を搭載。 このアメリカ色を完全に払拭したヨーロッパ風乗用車には4ドアセダンと2ドアクーペ2種のボディが用意され、ほとんどの部品にアルゼンチン製部品を使った、まぎれもない国産車だったのです。

アルゼンチン国民車トリノ、ニュルブルクリンク84時間耐久レースで入賞!

まさしくアルゼンチン国民、国家、工業界の誇りだったIKA トリノはキャブレターをチューニングしたスポーツモデルなど最盛期には20種類ものモデルを揃え、国際的なレースにもアルゼンチン代表として積極的に参加しています。 そのもっとも華やかな戦績は1969年に開催されたニュルブルクリンク84時間耐久レースで、現在の24時間レースでさえ過酷なニュルにおいて見事完走、しかも3位入賞という輝かしい実績を残したのでした。 1968年、IKAはカイザーからフランスのルノーに売却されてIKAルノーに改名。 それ以降はルノー車の生産に転換していきますが、1975年完全にルノーに買収されて社名を「ルノー・アルヘンティーナ」に改名してからも、ルノー傘下でありながら非ルノー車であるトリノの生産は続き、1981年まで15年に渡って作られました。

現在はルノー現地法人。ただしトリノは今も熱狂的マニアが存在

トリノ生産終了後、IKA改めルノー・アルヘンティーナは名実ともにルノーのアルゼンチン法人となり、本国から数年遅れのルノー車を生産・販売しています。 しかし、アルゼンチン国産車にして同国の誇り、最後のフロントエンジン・後輪駆動車であるトリノには現在も熱心なファンがおり、部品の供給も続いているためチューニングやレストアなど、多くのファンが国民車「トリノ」でのカーライフを楽しんでいるそうです。

次回は「マツダスピードよお前もか、幻のMS-007」をご紹介します。

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